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高崎一生の最強向かい飛車
著者 高崎一生
今すぐ使える現代振り飛車。急戦編では基本図から後手の指し手について、飛車先逆襲の成否をそれぞれ詳しく述べた。持久戦編では先手8六歩の仕掛け以外にも、飛車を4筋に転換して居...
高崎一生の最強向かい飛車
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商品説明
今すぐ使える現代振り飛車。急戦編では基本図から後手の指し手について、飛車先逆襲の成否をそれぞれ詳しく述べた。持久戦編では先手8六歩の仕掛け以外にも、飛車を4筋に転換して居飛車陣に襲い掛かる変化などを紹介。角道を止めない振り飛車なので攻撃力は抜群、先手番の利を最大限に生かしている。
■CONTENTS
【序章】先手向かい飛車の基礎知識/【第1章】急戦編(基本図から後手6二銀/基本図から後手4二玉/基本図から後手5二金右 ほか)/【第2章】持久戦編(角道封鎖/端歩交換/急戦志向 ほか)/【第3章】実戦編(自陣飛車を撃破―対村山慈明五段戦/追撃をかわす―対中村修九段戦/突然の逆転―対行方尚史八段戦)
■著者
高崎一生(タカザキイッセイ) 1987年2月12日生まれ、宮崎県日南市出身。1998年6級で米長邦雄永世棋聖門。2000年初段。2005年10月1日四段。2010年2月2日五段。第21期竜王戦で5組へ昇級。第68期順位戦でC級1組へ昇級。第51期王位戦でリーグ入り。※著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
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紙の本
指すチャンスは少ない?
2010/08/27 21:42
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ココちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
若手振り飛車党の高崎五段、以前若手四人による共著「新鋭振り飛車実戦集」で自戦記を書かれていますが、
高崎五段単独では初の棋書執筆になります。
高崎五段はプロに成り立ての頃は四間飛車党でしたが、
現在は力戦形の振り飛車も指されていて、本書の向飛車もそうです。
向かい飛車といえば、振り飛車の中では一番棋書が少ない戦法であり、
「最強向かい飛車」は先手番でのみ指せる戦法であり、角道を止めません。
初手から▲7六歩△8四歩▲5六歩△8五歩▲7七角△5四歩に対し、
▲8八飛で向かい飛車というオープニングです。
後手番でも指せる角道を止める向飛車とはかなり違うのでご注意を。
△5四歩には▲5八飛の中飛車も有力で、
鈴木八段の「パワー中飛車で攻めつぶす本」などが参考になります。
ちなみに▲7六歩△3四歩なら▲7五歩から石田流を、
▲7六歩△8四歩▲5六歩△3四歩なら▲5五歩から位取り中飛車を、
高崎五段は勧められています。
残念ながらアマ将棋では最強向かい飛車の出だしになることは少ない印象で、
石田流・位取り中飛車を指すことが多くなるかと思います。
▲5六歩△8四歩▲7六歩からの最強向かい飛車もありますが、
こちらも▲5六歩△3四歩から相振り飛車への誘導が多いでしょう。
本書では第1章・急戦編と第2章・持久戦編が定跡の解説ですが、
なんと現在急戦は居飛車側に細心の序盤作戦を採られると上手く行かないと序章で明かされます。
じゃあ本書の半分近くを占めている急戦編の解説って?という感じでしょうが(笑)、
プロ定跡の進化を見ていく流れになっており、6つの居飛車の対応を丁寧に調べてあります。
細かな形の違いで仕掛けが成立したり、全然ダメになったりするのは勉強になりますが、
即戦力を求めて本書の急戦編を読むと肩すかしを食うことになってしまいます。
必勝法の紹介ではなく研究の発表というイメージでしょうか。
というわけで「最強向かい飛車」は第2章・持久戦編がメインとなるのですが、
やはり角道を止めていないのが大きく、柔軟で面白い作戦が多いです。
相手が角道を止めれば8筋から動く、端歩を受ければ4筋へ飛車を転換する、居飛車が急戦をみせればそこで角道を止める、
挙げたのはあくまで一例ですが多彩さは伝わると思います。
第2章・第4節・緩急自在で解説されるのが「最強向かい飛車」の最新形のようです。
現代将棋の肝である「後回しできる手は後回しにする」策を、
居飛車が採ってきた場合、そこで改めて最初に見送った向かい飛車からの急戦に出るのが有効なようです。
第1章ともつながる面白い結論であり進化だと思います。
最後は第3章・実戦編でまとめです。本書の持久戦に該当する将棋が3局掲載されています。
急戦編は丁寧で細かい定跡解説、しかも結論は向飛車容易ではないという正直なもの。
持久戦編は狙う駒組や方針が明快で、居飛車の作戦ごとの分類がわかりやすく作られています。
高崎五段の気合の入った良書だと思います。
いくつか挙げた注意点により評価を星ひとつ下げましたが、本の出来は素晴らしいです。