- 販売開始日: 2014/09/26
- 出版社: 偕成社
- レーベル: 星野富弘 花の詩画集
- ISBN:978-4-03-963540-2
速さのちがう時計
著者 詩・画:星野富弘
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使...
速さのちがう時計
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
商品説明
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
11年間新聞に連載された詩画の中から79点とエッセイ11編を収録。ふるさとの花を中心に、自然とのふれあいをサインペンで描く。
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
ペン画の陰と陽
2009/02/24 23:03
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
速さのちがう時計 星野富弘 偕成社
群馬県みどり市にある星野富弘美術館を訪れました。栃木県日光市からレンタカーでトンネルをくぐり、右へ左へと曲がる山道を45分ほど走って美術館に到着しました。
作者は、1970年6月(昭和45年)中学で体育教師をしていて、運動中に頚椎を損傷し手足が動かなくなりました。その後作者は、口に筆をくわえて絵や文章を書き始めたのです。
タイトルの本はペン画です。美術館で彼の絵を鑑賞して、作者の本音がもっともよく表れているのがタイトルのペン画集だと感じました。陰と陽、光と影、体が不自由になったことに対する暗い気持ちとがんばろうという明るい励ましが、黒と白の色彩に描きこまれています。
勉強もできてスポーツにも長(た)けていた。本人にとって事故は、相当のショックだったでしょう。24歳からの9年間の寝たきり入院生活は絶望の淵におられたとお察しします。展示室冒頭にある経歴紹介コーナーでは、ガッツあふれる人だと涙がにじみました。
私も小学生の頃に、作者のふるさとの近くで生活していました。作品「ねこやなぎ」では、渡良瀬川(わたらせがわ)のほとりで咲いていたやさしいふわふわの白い毛をまとったねこやなぎを思い出しました。
作品「ひとりしずか」は、まっすぐな姿形がいい。12ページにあるエッセイ「背負い台」は、私の実家がある九州では背負子(しょいこ)と言っていました。わたしは、高校の運動部の練習で、背負子にブロックを積んで長い階段を上り下りしました。作品「とんぼ」の絵と言葉がいい。作品「ぶどう」では、分かち合うのがいい。「ききょう」「月見草」から続くページには、作者の苦しさが表れています。
口に絵筆をくわえて描く。おそらく1枚を仕上げるのにひと月ぐらいかかるのではないか。緻密な観察で丁寧に描かれています。最初から上手だったのではなく、徐々に上達したのでしょう。人は、自分の死後に自分がこの世に存在していた証を残したいと考えます。一枚一枚の絵は彼にとっては「こども」なのでしょう。「あるがままを受け入れる。」勇気が湧いてきます。