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旅館再生 ――老舗復活にかける人々の物語
著者 著者:桐山 秀樹
国内旅館の99%が赤字といわれる。過渡期を迎えた旅館業界にも再編の波が押し寄せ、外資も参入を始めた。長年国内旅館の取材を続けてきた著者が、地方旅館の現状と再生の成功例を裏...
旅館再生 ――老舗復活にかける人々の物語
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旅館再生 老舗復活にかける人々の物語 (角川oneテーマ21)
商品説明
国内旅館の99%が赤字といわれる。過渡期を迎えた旅館業界にも再編の波が押し寄せ、外資も参入を始めた。長年国内旅館の取材を続けてきた著者が、地方旅館の現状と再生の成功例を裏話も交え赤裸々に綴る渾身のルポ
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紙の本
日本旅館のあるべき姿とは? 成功例/失敗例をふんだんに盛り込み、主張が明確である。
2008/11/30 21:35
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本式旅館の在り方に大きな変化があり、経営や接客の考え方も変わってきている。本書はそのレポートである。桐山は『ホテル戦争』を著わして、近年わが国で生じている超高級ホテル、分けても外資系ホテル間の熾烈な競争をレポートした。
バブル期に団体客を当て込んで施設の整備に巨額の投資をしたが、時代の流れは団体客ではなかった。投資をするように助言したのが、旅行会社である。旅行会社も必死である。なにしろ口銭商売だから、数を売らなくてはならない。
しかし、世間では団体旅行はもう流行らない。個人旅行の時代になった。投資が回収できず、破産したところはコンサルタントや売却先を見つけて何とか再生計画を立案でき、その路線に進むところはまだ良いが、そういう環境に恵まれなかったところは廃業である。
本書では、どのような方針で再生させたところがどうなったかをレポートしている。まさに旅館業を営む人々の悪戦苦闘ぶりを描いている。桐山は最後にこれらのレポートをまとめて、次のように結論付けている。
日本旅館の魅力は人であり、清潔、安全、静寂であるという。この要素はホテルにも共通している。これらの要素が揃えば、基本的には充分であるという。それに他の要素が加われば、一層魅力のある旅館が出来上がるというが、まさにその通りであると思う。
桐山のホームグラウンドであるホテルとの違いも強調する。旅館はホテルの路線を進み始めて崩壊してしまったというのだ。大勢の旅行客を集めて、宿泊させ、飲食させて組織的に対応し、接客も分業して職員の訓練を施すのがホテルで、旅館はもっと個別の対応が必要なのであると。女将の人柄や旅館の宿屋としての個性などがなければならないという。
われわれに馴染みの例も数多く出てくるので、読者の興味をそそるはずである。私も年齢のせいか、ホテルよりは旅館の畳の方が寛げる。自分に合った旅館を探すのも旅行計画立案の楽しみの一つなのかもしれない。
ただし、苦言を一つ言いたい。第1章、第2章に日本の旅館が国際的なホテルに評価されているとか、共通点を見出している章を立てているが、この第1、2章はまったく不要である。かえって、読者の頭を混乱させるだけだ。最近上陸した国際的なホテル・チェーンの和風テイストのことや、旅館の国際化の方向性などは、また書を改めて紹介すればよいことで、本書の趣旨とはまったく無関係であるからだ。