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電子書籍
厄落とし
著者 著者:瀬川 ことび
その夜、年明けの挨拶回りにつきあわされ、くたびれ果てて帰宅した恭子を待っていたのは、高校時代のクラスメイト、恵からの電話だった。「お正月早々に墓掘りすることになったんよ」...
厄落とし
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商品説明
その夜、年明けの挨拶回りにつきあわされ、くたびれ果てて帰宅した恭子を待っていたのは、高校時代のクラスメイト、恵からの電話だった。「お正月早々に墓掘りすることになったんよ」――。表題作「厄落とし」をはじめ、青春ホラーの傑作短編5編を収録。第6回日本ホラー小説大賞短編賞「お葬式」につづく、待望の書き下ろし。
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紙の本
瀬川ことびという毒を
2001/08/24 10:27
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投稿者:seimei - この投稿者のレビュー一覧を見る
「厄落とし」故郷に住む親友からの年明けの電話「正月早々に墓堀りすることになったんよ」、このことから恭子に親友のご先祖が取りつく。特典は美肌効果、恐怖つき。
「テディMYラブ」何かと凝る妻が凝り出したのはテディベア造り、そこから始まる夫とクマの家庭内のはーどぼいるどな惨劇。武器はチタンのゴルフクラブ。
「初心者のための能楽観賞」好きな子から誘われた能楽定例公演。公演は「杜若」、そして二回目は「猩々」彼女の説明を受け、気持ちよく睡眠に入ると隣に誰かがいるような奇妙な感覚が、そして夢には猩々が。蚊に好かれると婿殿になれるらしい。
「形見分け」母が知人から貰ってきた形見の品々、江戸題材のレポートにいいかもと思いながら、着物や三面鏡の前に立つとそこには…。
「戦慄の湯けむり旅情」若い女性4人組が目指すは秘湯の露天風呂。漫才をしながら着いたのは冥土温泉に三途旅館。そしてモチロン惨劇が…。
最高! 各編の主人公と親友との、部下との、恋人未満の女の子との押しの強い母、元気な妹とのやりとりが、軽くて楽しく、傍から見たらお馬鹿な気のおけない者同士のやりとりが頷きながら読める。そのすっとぼけた語り口から、恐怖も生活だという落ちへの繋がり、演出効果も巧い。とにかく健康に良いすっとぼけた毒のあるホラーだ。この作品にある一文、毒も少量ならば薬になるのと同じ論理。夏の暑さに瀬川ことびという毒を、ホラーを。