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電子書籍
母
著者 三浦綾子
「わだしは小説を書くことが、あんなにおっかないことだとは思ってもみなかった。あの多喜二が小説書いて殺されるなんて……」明治初頭、十七歳で結婚。小樽湾の岸壁に立つ小さなパン...
母
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母 (角川文庫)
商品説明
「わだしは小説を書くことが、あんなにおっかないことだとは思ってもみなかった。あの多喜二が小説書いて殺されるなんて……」明治初頭、十七歳で結婚。小樽湾の岸壁に立つ小さなパン屋を営み、病弱の夫を支え、六人の子を育てた母セキ。貧しくとも明るかった小林家に暗い影がさしたのは、次男多喜二の反戦小説「蟹工船」が大きな評判になってからだ。大らかな心で、多喜二の「理想」を見守り、人を信じ、愛し、懸命に生きたセキの、波乱に富んだ一生を描く感動の長編。
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電子書籍
母の想い
2017/07/08 22:02
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
小林多喜二の母が語る、多喜二や家族のこと。母の言葉そのまま書かれているからこそぐっと距離が縮まり、子への気持ちが手に取るように伝わってくる。子を虐殺された母、どんなに辛かろう。母は子が全て。だから多喜二が何をしたとか、世の中がどうとか関係ない。なぜ小説を書いて殺されなければならなかったのか。この一言につきる。多喜二が殺されて、数十年たち母はクリスチャンとなり共産党へ入党する。が、母の軸はここでも多喜二。多喜二がいいと言っていたのだから間違いはないと道を行く。宗教思想政治すら凌駕する母の想い。強く大きな愛。
紙の本
小林多喜二の母親セキが多喜二や家族について語っ手いる本
2001/08/05 16:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みんみん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「蟹工船」の作者、小林多喜二の母親セキが自分の嫁入りの話から始まって、多喜二の幼い頃からその死までを思い出しながら語っている作品。母親セキは、字を読めず、多喜二が書いたものも理解していなかったが、多喜二のすることは正しいと信じていた。多喜二は貧しい家に生まれ育ったが、明るく、家族思いの勉強家だったらしい。正義感が強かった為に、貧乏人の味方をした本を書き、警察に目をつけられ、無残な殺され方をする。母セキは、多喜二が死んでから何年もの間、多喜二の死に苦悩していたが、あるキリスト教の牧師と出会い心を癒される。
紙の本
三十年見守りつづけた母の記録
2001/09/29 10:01
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:湖畔の住人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小林多喜二の母セキが生涯を振り返って語る本。訛りのあるセキの一人称で読者に昔話を聞かせるような文体は、時に温かく時に切ない。多喜二をはじめとする周囲の人々は「清貧」という言葉が似つかわしく、透き通るような心の交流を繰り広げている。
多喜二の死後、セキは地獄の年月を送るが、ある牧師との出会いによって、自分を殺そうとする者たちのためにさえ祈ったキリストの深い愛を知るに至る。ことに作品中、スパイに騙され拷問を受け殺された多喜二と、裏切り者の密告によって十字架にかけられて殺されたイエスとを重ねあわせる部分は圧巻。
小林多喜二の作品をすでに読んでいればその母の視点から見た多喜二と彼の生きた時代を知るのも面白いだろう。また、多喜二の作品をまだ読んでいなければ、「母」読了後読みたくなるかも知れない。