読割 50
電子書籍
アムネジア
著者 著者:稲生 平太郎
「すべてを覚えている」理絵はそういった。でも、僕たちはすべてを覚えていることなどできない。すべては消えていく、墜ちていく──僕が巻き込まれた、数千億もの金が動くという闇金...
アムネジア
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
アムネジア
商品説明
「すべてを覚えている」理絵はそういった。
でも、僕たちはすべてを覚えていることなどできない。
すべては消えていく、墜ちていく──
僕が巻き込まれた、数千億もの金が動くという闇金融の世界。その暗がりから朧に立ち現れてくる、チョコレート・ケーキ、かみのけ座、殺人、奇妙な機械……触れてはいけないものによって優しく、そして残酷に侵食されていく現実の中で、僕がついに見出す“本当の物語”とは?鬼才・稲生平太郎が放つ究極の幻想ミステリ。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
この作品の最大の問題点は、類似作品が多いっていうことじゃあないでしょうか。文章も上手いし、話の展開もいいんですが、どこかで読んだような・・・
2006/03/25 20:33
18人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんなこと書くと怒られてしまうんですが、老人くさいペンネームだな、って思いますね。まず、若い人じゃないですよね。で、読み始めるでしょ。上手いです。ある範疇に入ってしまうムードと内容ではあるんですが、ともかく読めます。ただし、くどいようですが、どこかで読んだような、っていう印象は否めませんね。
で、例のごとく著者略歴を見て納得しました。稲生平太郎は1954年生うまれ、本名 横山茂雄、奈良女子大学大学院人間文化研究家教授というのだから、まず文章が上手いのは当然。時代の影響を受けているというのは、ご本名の茂雄にも現れていますが、やっぱりペンネームはイマイチ。
小説では『アクアリウムの夜』、研究書には『聖別された肉体 オカルト人種論とナチズム』などがあるそうで、後者は知る人ぞ知る傑作だそうです。ま、読みませんね、私は帝国陸軍もナチスもオカルトもあまり好きじゃありませんから。それはともかく、巻き込まれ型の伝奇ホラー、とでもしておきましょうか。
「以下の「物語」は一九八〇年初頭を背景にしている。
しかし、それがどんな時代であったかを知る必要はおそらくない
携帯電話もインターネットも存在しなかったという事実を除いては。」
主人公は編集プロダクション「アルファ企画」に勤める島津伶、恋人は理絵です。社長は宇田川で、年齢は書かれませんが、50代後半でしょうか。従業員は総勢4人ですが、それでも中堅どころといわれる会社です。主な仕事は企業相手のパンフレットや商品マニュアル。時たま、社史や社長の自伝の編集といった作業をしています。
そして伶が気にしているニュースというのが、酒に酔った男が路上で死亡、所持物から身元は一応割り出されたものの、警察の紹介作業の結果、意外な事実、男は戸籍上、既に数十年前に死亡していたことになっていた、というものです。なぜ、それがそんなに気になるのでしょうか
実はその名前は伶が担当している華僑系商社の社史編集のために渡された資料の中に出てきたものだったのです。その謎を追いかけるために接触した関西日報の記者・澤本 申に会ったことで、伶は否応なくもっと大きな事件の渦の中に巻き込まれていきます・・・
ある範疇に入る作品で、要はそこでの位置づけになります。今は亡き天才・半村良、あるいは健筆を振るう山田正紀、あるいは若手の恩田陸、小野不由美といった強敵を前にしたとき、やはり一歩格下、という気がします。やはり今回の世界に関しては、一線を越えていません。
むしろ、傑作といわれる『聖別された肉体 オカルト人種論とナチズム』の側からのアプローチこそが正しいのでしょうが、正直、この世界も手垢がついたお話で溢れています。年齢に相応しい文章ですが、読者が酔うという高みには達していないのではないでしょうか。
補足ですが、装幀 アートディレクターは帆足英里子、プロデューサーは栗本知樹です。