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黒猫の眸のほめき
著者 著者:西村 寿行
13人の編集者が取材旅行で東北自動車道を北上していた。待ち合わせた地点で先着しているはずの西村寿行の姿はなかった……。神隠しか?3ヶ月後の同時刻、編集者たちは、再びその集...
黒猫の眸のほめき
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黒猫の眸のほめき (角川文庫)
商品説明
13人の編集者が取材旅行で東北自動車道を北上していた。待ち合わせた地点で先着しているはずの西村寿行の姿はなかった……。神隠しか?3ヶ月後の同時刻、編集者たちは、再びその集合地点に向かった。なんと、そこには失踪した時と同じ服装の2人がいた。作家の不思議な妄想の世界へと案内する、抱腹絶倒冒険譚!
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紙の本
オヤジ・スラップスティック
2007/01/20 20:58
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説家西村寿行が編集者達と取材旅行に出るが、東北自動車道の待ち合わせのパーキングエリアに寿行と秘書の乗った赤いベンツは現れない。行方不明となる。調べてみると料金所に通行券が回収されていない。どこに消えたのか? そして3ヶ月後、寿行は記憶を失って忽然と現われる、「神浴温泉郷始末記」という千枚の原稿を携えて。
失踪のトリックはともかく、寿行はその小さな温泉郷の乗っ取る謀略を企てていた、って年収数億のベストセラー作家がなにやってんだか。むろん、事情はあるのだが、おだてられ、色仕掛け、それに本来の(?)粗暴で野心的な性格に合ったのか、相当にムキになっている。口癖の「バカタレ」は自身の作品の登場人物そのままだ。もっとも、バイオレンスは得意でないらしく、恫喝、陰謀、子細工のオンパレード。しかし動物の扱いはさすがに絶妙で、野犬を飼いならして利用し、蜈蚣を大量に集め、妖猫の冠者次郎に×××、敵も権左衛門狐という妖狐を使う元イタコで呪術者の老婆など、いい味を出している。
それにしても、どうせ小説の中ということでか、だからこそか、大人気ないというよりも大人の悪ハシャギとでも言うべき、腹黒いおっさんの欲望むき出しで、卑怯、横暴、狼藉の限り。しまいに「寿行乱心!」「蜈蚣ばんざいー!」とは、有名作家の地位を乱用しての大騒ぎ。元々モラル破壊が身上ではあるが、これには秘書兼愛人も呆れたことだろう。そんな寿行に付け込まれる旅館経営者達もまた、どっちもどっちである。こんなスラップスティックな世界こそ、まさに下劣な大人のファンタジア。本書をどのくらい笑えるかで、品性の脱落度合いが分かろうというものである。