- カテゴリ:一般
- 販売開始日: 2015/04/15
- 販売終了日:2016/05/24
- 出版社: KADOKAWA/角川書店
- レーベル: 角川文庫
- ISBN:978-4-04-873576-6
読割 50
商品説明
劉健一。あの男がいる限り、おれは安らかに眠ることができない。劉健一を殺さなければならない。新宿歌舞伎町の中国裏社会で生きる武基裕。ある日、彼の所属する組織のボスが殺された。武は事件の真相を調べるため、情報屋・劉健一のもとへ。そこから彼の運命は劇的な加速を始める。謎の男の存在、幼馴染みとの再会、麻取の刑事の転落死……。全ては劉健一が仕組んだ周到なシナリオの序章にすぎなかった。血塗られた憎悪の連鎖に終止符を打つのは誰か。「不夜城」三部作、ここに完結!
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紙の本
新宿を舞台にした不夜城三部作の完結編.組織のなくなった新宿で力を持つものは
2005/01/23 22:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:格 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新宿を舞台にして,中国人マフィア達の動きを中心に描く96年の「不夜城」,00年の「鎮魂歌」に続く不夜城完結編.新宿は変わった.劉健一が牛耳り,混沌のなかにも組織的に統制のできた時代から,福建人,東北人が入り乱れ,まったく組織の力が働かない時代になってしまった.
主人公は李基,1970年黒竜江省生まれの中国人だが,在留邦人二世になりすまし日本に入国,武基裕の日本名で日本人としてのパスポートを持っている.まともな暮らしをしていたが,勤めていた会社が倒産,以後,結局黒社会に暮らすようになってしまった.
そして,武のボスが突然殺される.その復讐に仲間と動きだした武は,劉健一と接触するようになる.劉健一は,今では,新宿で小さな飲み屋を経営しているだけだが,PCを駆使し,多数の情報屋を操り,新宿黒社会の情報を一手に握っていた.以前とは別の力を持っていたのだ.
極端に走った馳の著作は読まなくなってしまっていたのだが,本作を久しぶりに手に取ってみると,パワーがだいぶ落ちて,淡々と書かれている印象である.劉健一は力ではなく,情報を操って暗黒社会を牛耳っている.今風と言えば言えるが,それは恐ろしい力でもある.また,主人公が臆病者でかつ,主人公の思う女性の感情がいま一つ見えないという面もあり,不思議な感覚で読み進んでいける.ちょっと馳も変わったのだろうか.
紙の本
健一が帰って来た!
2004/12/04 22:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る
「不夜城」シリーズは大好きだ。陰惨な暴力や裏切りを描きながらなぜこんなに人は美しいのだろうといつも思っていた。その完結編なのだから面白くないはずはない。本書への期待はふくらみ続け、読んであまりの迫力に衝撃を受け、読後はしばらく放心してしまった。
あの美しく、血の臭いも鮮烈な「不夜城」、健一が影となり新たなる主人公が血に染まった「鎮魂歌」。そしてこの世の全ての秘密を盗み見た健一は完結編たる本作で何を思うのか…。
ノワール好きならばぜひ、不夜城シリーズを順に読むことをおすすめしたい。読めばこの作品が読者に与える衝撃がいかにすさまじいかが、わかってもらえることと思う。
あまり詳しく内容を記すと興がそがれるおそれがあるのであらすじは記さないことにする。馳作品ならではのスピーディでドキドキする展開にあふれており、めぐらされる陰謀のドス黒ささえ、あまりの手際よさに美しく見えるほど。
健一は変わっていなかった。絶望はより深く、人の欲望に飽き飽きして、それでも彼は強大な存在としてあり続けていたのだ。本作で中心となるある人物が、ラストにある選択をせまられる。彼の選んだ方法がある者には呪縛からの解放という救いになり、またある者には新たなる血と怨念と業を生み出した。彼は幸せだろうか、これでよかったのであろうか、生が地獄ならば解放となるのはそれしかなかったのだろうか。
確かにこれは見事なまでの完結編だ。続編の希望を感じさせぬ終わりも終わり、完璧なる終焉。
ただ、私は彼が選ばなかったもう一つの選択肢、絶望の果てにあるものを見てみたかった。それだけがひとつ心残りである。