リベラルとアーツ
2016/01/25 20:32
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:IGBS - この投稿者のレビュー一覧を見る
多角的、かつ、豊富な知識を持ち、世の中の事象を自分なりの考えで意味づけし、他者に伝えることが出来るようになりたいと思い、本書を手にした。
前半のリベラルアーツの意義についての記述は、分かりやすい論旨でよいのだが、
少々言葉遣い、言い回しがくどい感はある。
参考になったところでは、以下。
・ササラ型とタコツボ型。ヨコタテモノという表記 by 丸山真男
・ブルー・スエード・シューズ by エルビル
・自分なりの批評の定点を持つ
・「みずからの存在被拘束性」:不安な確信のない人たちのやり方に従って、存在する問題や矛盾をみたいことにしたり。。 by カール・マンハイム
後半は、作者自身のまさに育ってきた時代、場所、環境に色濃く影響されているため、世代の異なる人間からするとすこし違和感を感じる
ただし、科学系の記述は分かりやすく、客観性、ある種の普遍性があるため、まさにリベラル・アーツの醍醐味。おもしろい。
ただ、一方で芸術や文学のほうになると、かなりよみにくく、共感しにくい。
同じ社会的なルールや、法則、人間関係のコミュニケーションの本質を学ぶのでも、世代が異なると、書籍やツールが異なるという当たり前のことを知った。
それぞれにおかれた環境に応じた学びの入り口、サイクルを定義すればよい。
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こぶーふ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルからお分かりの通り、いわゆるビジネス系の本ではありません。しかし、知っておいて損はない知識なので、ビジネスマンの方もざっと読まれるといいかと思います。
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申し訳ありませんが、私の一番嫌いな内容。
出版社・装丁・タイトルで面白そうと思って
買いましたが。。。
内容的には最悪(個人の感想なので申し訳ありません)
著者は東大出身の裁判官で大学の教授。
法曹界や東大を官僚的悪のはびこるところとみなし、
それらから自分は異端な立場を誇張している感じ。
とてもリベラルではない感じがします。
また、アメリカが大好き(1年間しかすんでい
ないようですが)で、自由主義や経験主義を
標榜しますが何か勘違いしている感じ。
何がいやかというと最悪が、これはリベラルアーツ
でありこれは違うみたいな区分けをしていて、その
基準が自分の独断というか自分の趣味で選んで
いて、その趣味に何らかの高尚な目的をもっている
かのうような物言い。
すごく全体的に鼻白む内容で、ときどき読んでいる
本をたたきつけたくなるような内容。
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単なる知識ではなく、柔軟な思考力、想像力、感性を身につける為のもの。
自身振り返って本好きであるが、体系的に自分の心のあり方に、過去読んだ本が影響を受けているかどうか怪しい。
この本に挙げられている本(あるいは音楽、絵画)をざっとみてみても、とくに自然科学についてはほぼ触れたことが無く、反省。私自身としては、第二部のリベラルアーツの学び方が非常によかった。
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実学ではなく、すぐに役立つものではない、というものなので、教養というものは、ゆとりなんだな、と思った。
懐が少し深くなるかもしれない、苦しかったり辛かったりするときに支えてくれるかもしれない、ややこしいことを考えるときに助けになってくれるかもしれない。でも全部、かもしれない、だけ。それがなくとも、懐の深い人はいる、別の支えも多分ある。ややこしいことの本質にずばっと迫る、いわゆる教養からは縁遠い人もいる。
まあ、でも、ゆとりはあった方がいい。
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裁判官から大学教授に転じ、専門である法学系だけでなく、文化や芸術などを含めた教養全般に造詣の深い著者が、リベラルアーツを学ぶ意義や重要性を解説するとともに、著者が推奨する作品を紹介した一冊。
著者はリベラルアーツを「広がりと奥行きのあるものの見方=パースペクティヴ」と「洞察と直感により本質をつかむものの見方=ヴィジョン」を身につけるための「基盤」であるとして、個々の作品を「消費」するのではなく「対話」し、批評的・構造的に捉えたり、歴史的な位置づけを考えたりして得た学びを、他の分野に転用することなどによって、単なる知識ではなく、その人固有の人生観や世界観として身についた教養になると主張する。
今日の日本の法曹界や社会全般に対する批判については、やや説教臭いところもあるが、幼少の頃からの膨大な量とオールジャンルな読書体験に加え、映画、音楽、漫画など幅広い分野の教養に真摯に接し、さらには海外経験もある著者が解説する「グローバルスタンダード」な教養のあり方には耳を傾ける価値がある。知識バカでもインテリ気取りでもない、真の教養を身につけるための格好のガイドとなっている。
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浅い。言葉が、浮き足立っている。取り上げている作品は、ある一定の水準にあると思うが、リベラルアーツとは何かという問いになんら言葉を与えていない。価格も高い。
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元裁判官で法科大学院の教授が、自分の大好きなロックと映画を中心に一般教養とはどんなものかについて、好き勝手に語ったもの。誰もが同感できるかどうかは問題あり。
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読みたい本が沢山紹介されているので、続けて読みたいと思う。その中に既に読んだ本が登場すると、なんだか褒められたような気分になる自分(笑)。
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リベラルアーツの蓄積を元に自分は何を生み出したいのかというアウトプットの側面をも考えながら学ぶ。機能性とコストを考える。なるべく自分がよく理解していて、手の内に入っており、かつ自分のこれからの仕事、また人々や社会に与える影響、効果の大きいテーマを選択する。
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著者は、2013年にベストセラー『絶望の裁判所』を発表した元最高裁判事の瀬木比呂志。
「リベラルアーツ」の起源は、ギリシャ・ローマ時代に自由人が学ぶ必要のある7科(文法学、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽)であり、現代でも一般的には大学における基本科目を指すが、近年注目されている意味での「リベラルアーツ」は、むしろその本来の意味、即ち、「人の精神を自由にする幅広い基礎的学問・教養」という趣旨、とりわけ、その横断的な共通性、つながりを重視する含みをもって用いられている。
著者は冒頭で、「考えられる方法や感じる方法の生きた蓄積であるリベラルアーツは、個々人がみずから考え、発想し、自分の道を切り開いてゆくための基盤として、まず第一に必要とされるもの」、「リベラルアーツは、perspective、すなわち広がりと奥行きのあるものの見方と、vision、すなわち洞察力と直感により本質をつかむものの見方、双方の基盤となるもの」と述べ、本書において、第1部でリベラルアーツを学ぶ目的・理由、第2部でリベラルアーツを身につける方法を語り、第3部でリベラルアーツを学ぶための多数の作品を紹介している。
第3部で取り上げられている作品は、「自然科学」では、コンラート・ローレンツ、リチャード・ドーキンス、スティーブン・ジェイ・グールド、フランシス・クリック、V.S.ラマチャンドラン、オリヴァー・サックス、フロイト、ユング、アドラー、V.E.フランクル、レイチェル・カーソン、「社会・人文科学」では、バートランド・ラッセル、ニッコロ・マキアヴェリ、ルース・ベネディクト、マックス・ヴェーバー、フェルディナン・ド・ソシュール、ロラン・バルトなど、比較的オーソドックスなところであるが、その後に、「芸術」として、文学のほか、映画、音楽(ポピュラー、クラシック)、漫画等が多くのページを割いて紹介されている点が本書の大きな特徴となっている。
著者の経験・嗜好がベースとなっていることから多少のバイアスは感じられるが、それを割り引いても、「リベラルアーツの世界の歩き方」として十分に参考になる一冊と思う。
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読了。東大卒の元裁判官で法科大学院教授の本である。自然科学、哲学、社会科学、音楽、芸術(漫画含む)を学びなさいとあった。20代に読んでいれば、あれもこれも勉強していないと思い、途中で読むのを放棄していたと感じた。40過ぎたので仕方ないかと思いながらガイドブックを読む気分で読めた。著者は、1952年生まれで、団塊世代より下の世代で、事務所のシニアの人と同じぐらいの年代である。ロック、映画、クラシック、漫画など趣味が多彩だなと感じる。この世代は、バランス良く取り入れて、人生を楽しんでる世代なのかなと思った。内田樹は、1950年生まれである。
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本の読み方本。
客観的なお勧め本というよりは、プラグマティズムに傾倒している筆者の「俺の好きな本はこれだ」という紹介本。
個人的には、(ロックを除く自然科学関連書籍)好みが近いので、読みたいと思った本も数冊あった。
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1部 なぜリベラールアーツを学ぶ必要があるのか
これまでの蛸壺型の知識では得られない、生きるために必要な課題を設定し、それを解いていくような、「知恵の活用方法」を身に着けることであることをまとめている。
2部 リベラルアーツを身につけるための基本的な方法と戦略
1章は、6つの観点から、批評的・構造的、作品と対話、歴史や体系の中で、視点を移動し、他分野への転用、相対化して客観的に見つめることの大切さを説いている。
2章は、情報収集、ストックの仕方、コレクションの意味についてまとめている。
3部 実践リベラルアーツ:3章にわけて解説する
1章は自然科学の分野として、生物学・脳神経学・精神医学関連・自然科学その他の分野について
2章は社会・自分化学・思想・批評等として、哲学・思想・批評・ノンフィクションなどについて
3章は芸術として、文学、映画、音楽、漫画、美術について
400ページもあるが、ディスカバリーだけあって余白やイラスト(本の表紙や作者の人物像)が多く、あまり苦にはならない。
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リベラルアーツ論の中でも、かなりユニーク本だと思った。大学教員が教育上推奨する文献と、本書で紹介されている作品とでは選書基準が異なる印象を持った。その理由の一つには、著者が専門職大学院としての教員ではあるが、良い意味でディシプリンにしばられていないセレクションとなっていることが挙げられよう。大学における教養教育を視野にしておらず、あくまでも学び直しのための独学に供するためのブックガイドとなっている。各推薦書の配列についても、なんとなく示すのではなく、著者自身によるある意味での流れを読者に随時説いてくる。自然科学から始まり、脳科学に積極的に取り上げている。色々な意味で揺さぶられた1冊だった。ただ通底する「横断的共通性」について、もう少し説明があるとよかった。また「リベラルアーツとしての教養」(p.39)、「リベラルアーツ的な教養」(p.230)という表現は、ややトートロジーを感じさせかねない。この前後の文脈からこう書きたい気持ちは推量できるのだが。