紙の本
瞬間にして永遠の恋
2015/09/29 15:55
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
兄の北斗と妹のすぴかは母の安西なつめを選び日本で生活しているにもかかわらず、天文学者である父の如月大祐を選び、中学校にも通わず南の島で宇宙を眺めることを選んだ如月海良は、父の助手の滝沢美穂や田代ゆきに勉強を教えてもらいつつ、しかし、同い年の子供たちとは交流することなく生活していた。
そんなある日、彼女の前に、τ-38502aw、タウと名乗る少年が現れる。彼は未来で彼女と知り合い、七日間を過ごして来たといい、名残惜しげな、愛おしげな表情をしながら、別れを告げて消えていく。タウは、ミラとは逆の流れの時間を進む、ダークマターでできた不可視の天体なのだ。
はじめて出会った少年から向けられた親密な表情に戸惑いながら、ミラはタウとの七日間を過ごし始める。夜の間だけ人間の姿をとれるというタウど時間を過ごすうちに、タウに心惹かれていくことを自覚していく海良だったが、逆にタウは、海良と初めて出会う瞬間へと向かっていき、段々と海良との距離を感じさせる態度を取っていくようになるのだ。
ちょうど真ん中、互いが互いを等分に知る瞬間のみが、彼女たちが共に恋人同士となれるとき。それより前も後ろも、どちらかの心の距離が遠くなっていくのだ。
最初で最後、七日間に限られることが既に決まっている恋。後は互いに、もう出会えないことを知りながら、思い出だけを抱えていくしかない。でも、タウは出会えてよかったという言葉を残して去っていく。はたして七日目に海良に去来する思いとは?
すごく好きなんだけれど、相手は自分のことをまだ知らない。そんな矛盾した状況に対応しなければならない感情を抑える気遣いが切ない。相手の気持ちは離れて行き始めているのにそれを必死に追いかけるというのは現実の恋愛でもあり得る状況なのだが、同じ現象であっても、この設定の中ではそれはとても煌めいて見えるのが不思議。
よくこんな変な設定を考えたなあ。
紙の本
片思いで両思い
2015/11/24 20:29
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投稿者:遥 - この投稿者のレビュー一覧を見る
7日間のすれ違いで出会った感情は叶わない初恋。
1日目に出会ったタウは片思いで、7日目に出会ったタウに片思い。両思いなのにすれ違いだから片思いにしかならない淡い感情がきらきらとした宝物(思い出)として語られていて、思わず自分のそうした思い出を探してしまいました。
決して切なさが最後に残るわけではないので、読み終わった後の感情に引きずられる方にもお薦めです。
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天体として太陽系の軌道をめぐる少年
天文学者を夢見て星空を見上げる少女
二人は出会い、恋に落ちる
けれど
それは七夜限りの逢瀬
すれ違う二つの流れ星……
*
設定はとても面白かった
いつの間にか天体になっちゃったとか、
高次元の存在ゆえに何でも出来るとか、
ちょっと白けることもあった
少年少女が出会って恋に落ちるけれど、
少女が出会ったのは7日目の少年
少年が出会ったのは7日後の少女
天体としての少年の特性で、少年は時間を遡る存在
ゆえに、お互いの想い合う深さが逆で
ただの一日だけ想いは通じ合い、
あとは日を追って離れていく
そのもどかしさや複雑さなどは表現するの難しかっただろうなぁ!と思う
ちょっと想い合うスピードに疑問というか違和感もあったし
永遠なのか、刹那なのか、
それは私たちには認識出来ないんだなぁ
ただ一つだけ
これがこの作家さんのクセなのかもだけど
主語の後の助詞を抜くのがどうも気になってイライラした
「あたし、〜した」とか「タウ、やってくれる」
みたいな感じの。頻出。
それさえなければ、スッキリ読めたなぁと思うので
☆マイナス
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読みやすくて軽めのSFで良いボーイミーツガール。
悲恋じゃないけれども切ない話。こういう雰囲気のお話が好きなので、満足です。
たった七夜の淡い恋を、永遠に留めて天体の少年は宇宙の時間を遡り続ける。
時間軸と時間軸の流れの交点での一瞬のめぐり会い、というところから円城氏の「墓標天球」を少し思い出したりしながら読んだ。
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星をモチーフに時間を絡めてちょっと難しい感じのお話でしたが、進んでいくにつれて交差する部分がたくさん見えて面白かった☆
相手のために。と言ってても実は自分のためだということを認めたくないことも多いということを教えてくれた☆
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疑問点とか、いろいろと気になるところはあったけど、深く考えずに雰囲気として読むならとても良い感じ。
少年と過ごす世界はとても綺麗。
主人公と天体少年は、7日間だけすれ違う。
主人公の1日目は、少年の7日目で、
少年の1日目は、主人公が最後に会える日。
だからこそ、もどかしい。けど、これでいいんだ、きっと。
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時を遡る少年とすれ違い続ける少女が織りなす、たった七夜のラブストーリー。
設定はとても面白いと思うし、世界観はかなり好きな部類です。
ただ、ラノベというカテゴリのせいか、主人公が幼い少女だからか・・・、感情も行動も薄っぺらい感じがして、いまいち物語が胸に落ちませんでした。SF的な設定も、ちょっと無理やりな感があり、疑問符がちらほら。
でも、設定は本当に面白いものだと思うので、作者の今後に期待大。
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最高だと思います。
この本に出会えて良かったです。
むしろ本なんて読まなかった私が今読書家になっているのはこの天体少年のおかげです笑
内容ですが時間の進行が違う二人という発想がすごいですしそれを7夜で表現したとゆう点もすごいとおもいます。
この話の作りは容易じゃないなと思いました。
また、時間の進行が違うからこその切なさがたまらなかったです。
切なすぎてこれを読み終わった数日切ない余韻に浸っていました。
だって、天体少年はまた一人で暗い宇宙を彷徨うんです。
恋い焦がれた気持ちと共に。
それはとても純粋で美しいと思いたした。
渡来ななみさん、この本を書いてくださってありがとうございました。
この一冊は紛れもなく私の大切な宝物となりました。
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世界観が透明で、物語全体に流れる空気がとても心地よかった。
未来に向かう主人公と、過去に向かう少年の時間は7日間だけ重なるのですが、二人がお互いのことを同じくらい知っている状態なのはたった1日だけなんですよね。そこに切なさを感じました。
軽い文章なので、一気に読めてしまうと思います。
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少女が少年と初めて出会った時、少年は少女と七夜を供にしていた。
出会いの日が別れの日、異なる時間を進む少女と少年の約束された最初の出会いと避けられない最後の別れ、それはたった七夜の恋物語。
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天体や宇宙に知識も興味もないので、
矛盾や難しいことは一切考えず、ただ、二人の心の動きと、触れ合いだけを追えた。
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不思議な物語。
もちろん題名にひかれて手に取った本です。
読んでいると、星が好きな気持ちが高まったような気がします。
きっと作者さんが星が好きな気持ちがあふれているのだろう。
空を眺めて物思いに耽りたくなる一冊です。
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タイトルと表紙に惹かれて買って見た本。内容があまりにも切なくて読みながら泣いてしまった。恋って切なくて苦しくて、でも大切なものなのかなぁ、と思った。
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透明で不思議な世界観が印象的でした。
たった7日間の短い間にすれ違いながらも恋に落ちる2人。
海良は明日にはタウのことをもっと好きになってるのに、そんな明日のタウは今日のタウより海良のことを知らない...切ないです。タウも同じような想いで海良に会っていたんだと思うともっと切なくて何度も泣いちゃいました。
そして「大切なことはさよならの悲しみに頬を濡らしたそのあとに、それでもあの人を愛せてよかったと振り返れること」何よりもこの台詞がすごく心に残りました。
この本に出会えて本当に良かったと思います。
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んー、評判が良かったので結構楽しみにしてたんだけど、合わなかった。たった7日間だけ、時間を毎日逆行して会える宇宙少年との初恋話。なんかこう「人が人を好きになることに理屈なんかないよねっ!」って感じで、タウとミラが引かれあう感覚がよく分からなかった。タウはまだ分かる。初めて反応を返してくれた人間がミラだったから。ただミラは、なんでタウを好きになったのかが伝わってこなかった。たったの7日、それも3日目でお互い好きになるし。ミラの戸惑いとタウの正体と自省で物語が過ぎてゆくので、触れ合いに紙面が裂かれている訳でもない。絶賛までされる理由は分からなかった。現に今恋愛している人なら共感するのかもね。