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ここに紹介された事件は世間を賑わせ、加害者は極悪人のごとく人々の記憶に刻まれる。それでも時間が経過すると人々は忘れ、その事件がなぜ起こったのか、犯罪を犯した者の生い立ちや心を踏み込むことは特に知る機会がないままだった。
加害者が犯してしまった罪は消えることはないが、加害者も生まれつきサイコパスだったわけではなく、犯罪行動を起こす芽が、歪んだ家族関係や環境にあるのだ、そういう意味では加害者もこの世に望まれて生まれてきた人間であるにも関わらす、社会の中で孤立する被害者だったともいえるのではないか。と考えさせられる一冊だった。
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十大凶悪事件の犯人の心に迫る。
確かに事件がどうして起こったのかがどこまで追求されているのかは不明である。
作者は臨床心理士で、事件を起こす過程には、犯人の幼少期の家庭環境等が大きく影響しているという。
そのため、事件の真相を知るためには、その過程を知ることが大切なのだという。
確かに現在の凶悪事件の犯人の低年齢化が進んでいることを考えれば、事件の真相がわからなければ、また同じことを繰り返してしまう危険は否めないのではないかとも感じる。
2017.4.30
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殺人者が不幸な幼少時代を送っているケースが多い、というのは以前からコリン・ウィルソンなども指摘しており、虐待児と犯罪の因果関係はかなり高いというのは昔からわかっている。
のだが、残酷な事件が起こるとマスコミなどは表層的な部分をクローズアップして興味本位で煽るだけで、個別の犯罪者の履歴に迫ろうとしない。「今後このような事件が起こらないように詳しい捜査が必要です」と言っておしまいである。
であるから、いつまでたっても凶悪犯は繰り返し出てくる。そしてここ十数年は親に虐待されている子供のニュースが非常に多いが、これはあと数年経ったら凶悪犯罪が増えるということとイコールである、ということがこの本から想像できる。本書は、子を持つ親と教育関係者が読むべき本だろう。
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この本を読んで、殺人事件の加害者や裁判についての認識が変わった。
どの事件も猟奇的で衝撃的なものばかりだが、そうなるべくしてなったものばかりであることが分かった。もちろん、一人の臨床心理士による解釈に過ぎないため真の事実は分からないが、加害者にも何かしらの事情があることは確かであるだろう。
殺人は絶対に許されないことであるし裁かれなければならないことである。しかし、なぜそのような凶悪な殺人事件が起こったのかという事実解明をしていくことは、殺人事件を見ていくうえで必要なことなのではないだろうか。
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読みながら、色々と考えた本。客観的に外側の資料だけでしか分からない事実もあるし、やった本人にしか分からない感情もあるけど、こうして向きあう人にしか分からない(犯人にすらも分からない)こともあるんだろう。
これまで、裁判記録やルポ等でしか考えた事のなかったあの犯罪が、やった方はその時どう思っていたのか、生い立ちはどうだったのかという所から迫っていくのはとても興味深かった。
「人はなぜ人を殺すのか」というのは、私の中で根強くある疑問で、その答えが少しだけでもわかった気がする。ただ、完全に性善説に基づいて書かれているので、それを越えてしまっている殺人者もいるよなあ…とは、思う。
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【商品の内容】(「e-hon」レビュー引用)
[要旨]
世間を震撼させた凶悪事件の殺人者たち―。臨床心理士として刑事事件の心理鑑定を数多く手掛けてきた著者が、犯人たちの「心の闇」に肉薄する。勾留施設を訪ねて面会を重ね、幾度も書簡をやりとりするうちに、これまで決して明かされなかった閉ざされし幼少期の記憶や凄絶な家庭環境が浮かび上がる。彼らが語った人格形成の過程をたどることで、事件の真相が初めて解き明かされる。
[目次]
第1章 なりたくてこんな人間になったんやない
―大阪教育大学附属池田小学校児童殺傷事件 宅間守
第2章 私は優しい人間だと、伝えてください
―東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件 宮崎勤
第3章 ボクを徹底的に調べてください
―大阪自殺サイト連続殺人事件 前上博
第4章 私のような者のために、ありがとうございます
―光市母子殺害事件 元少年
第5章 自分が自分でないような感覚だった
―同居女性殺人死体遺棄事件 匿名
第6章 一番分からなくてはいけない人間が何も分からないのです
―秋田連続児童殺害事件 畠山鈴香
第7章 常識に洗脳された人間に、俺のことが理解できるかな!!
―土浦無差別殺傷事件 金川真大
第8章 私は小さい頃から「いい子」を演じてきました
―秋葉原無差別殺傷事件 加藤智大
第9章 命日の十一月十七日までに刑を執行してほしい
―奈良小一女児殺害事件 小林薫
第10章 これって私の裁判なんですね。はじめて裁判官の顔が見えました
―母親による男児せっかん死事件 匿名
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あんな非道で残酷な鬼のような犯人は早々に処罰すべきだという世評は多い。著者は、警鐘を鳴らす。「裁判所は、量刑判断の場で、真実解明の場ではないと公言し、人々の誤解を解いてほしい」「刑事司法が犯罪抑止に積極的に向き合うように」人々の誤解を解くためにこのような著作が世に広まる事を願う。2016.4.2
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犯人の名前を聞けばすぐに思い出すような残虐な事件がいくつもとりあげられている。
裁判は迅速化が求められていて真実とは離れたところで決着がついてしまうことも多く、犯人の心理にじっくり迫らないと本当の問題解決や事件の予防にはならないという長谷川さんの訴えは痛いほどわかる。わかるけど、それは無理なんじゃないかと思ってしまう自分もいる。
ここに出てくる加害者の生い立ちを知ると同情するし涙も出て苦しいけど、正直どうしたらいいのかわからない。混乱してしまう。
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臨床心理の立場から犯罪をみる。様々な見方があって、もちろんこれが全てではないのだけれど、単なるニュースへの見方も変わるかな、と思う。「なりたくてなった人はいない」これが何よりの事実。講義中の場面があまりにリアルで、絶する程過酷な現場なのだなと思い返していた。あー...本当真面目に勉強しておくべきだったな、と今になって後悔しているのは秘密。
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副題にあるように、十の凶悪事件はいかにして起きたのか、犯人との面会と対話を通して、彼らの心の闇に迫る。
本書で取り上げられている事件の犯人は、皆幼少期に何らかの虐待、いじめを経験している。
それらが彼らの中に暗い影を落としているのは、間違いないが、きっかけが無ければ、このような罪は犯さなかったかもしれない。
心の傷となんらかのトリガーが、事件を誘発してしまうということが分かった。
彼らがもっと自分の傷に、自覚的であったなら別の選択肢もあったのではないかと思ってしまう。
しかし、幼少期の辛い体験は想像を絶するものであり、そのために精神障害を起こしてしまうこともある。
大人になって加害者になってしまったけれど、子供のころは被害者であったのだ。
なんともやるせない切ない気持ちになってしまった。
また、裁判とは事実関係を精査する場ではないということは初めて知った。事件の真相を解明して、再発防止をするためにもそのような機関やシステムがあればと思う。
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これまで を 変えることはできない
でも
これから を 変えることはできる
起きてしまったこと(犯罪)を
済んでしまったこと(犯罪)に終らせることなく
起きてしまったこと(犯罪)から
それが
起きてしまわぬように
あらゆる立場から
社会的な問題として
とりあげて、
考えることは
とても大切だと思う
犯罪の抑止というものは
そこからしか始められない
と思う
こうしている 今も
犯罪につながってしまう怖れのある
親 子ども 家庭 社会
が あるのは 事実だ
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殺人者はいかに誕生したか:「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く。長谷川博一先生の著書。凶悪犯罪者と呼ばれる殺人事件の加害者たちのこれまでの生育環境、家庭環境、生活環境に焦点を当てています。人間の人格形成や価値観の形成にあたって、生育環境、家庭環境、生活環境がどれほど重要であるかが理解できる良書です。もしこの本で紹介されている「殺人者」たちと同じような壮絶な環境に置かれていても同じような犯罪事件の加害者にならなかったと断言できる人は多くないのではないでしょうか。
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題名のせいか、読みだすまでに時間が掛かった。しかし読み始めると、ディープな内容に関わらず、どんどんと引き込まれてゆく。
真実を明らかにして、同様な犯罪の再発防止と、社会的支援のあり方を探ろうとする著者が、量刑判断の場としての裁判所、そして、量刑を軽くする事を一義的目的とする弁護団との間で苦労する姿に感動を覚える。
メディアの報道では、発生した事件そのものにしか触れないが、その背後にある犯人の成長過程にまで遡ると色々な事実が浮き出てくる。その様な事態に至る前に、社会として何か出来たのではないか?と思わざるを得ないと同時に、社会の位置構成員である自分の無力さ、ある意味の無関心さに不甲斐なさを感じる…
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重大凶悪事件を起こした人達を
臨床心理士との獄中対話で読み解いたルポ
重大凶悪事件は以下
池田小学校児童殺傷事件の宅間守
埼玉連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤
大阪自殺サイト連続殺人事件の前上博
光市母子殺人事件の元少年
同居女性殺人死体遺棄事件の男性
秋田連続児童殺害事件の畠山鈴香
土浦無差別殺傷事件の金川真大
秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大
奈良小一女児殺害事件の小林薫
母親による男児せっかん死事件の女性
面接と対話を繰り返すことで
殺人を犯した人たちの内面を浮かび上がらせようとする
臨床心理士の長谷川博一氏
語られなかった幼少期のこと
罪を犯した人たちが何を思い何を考えているのか「心の闇」を読み解いていこうとしてる。
幼少期にどんな環境だったとしても決して殺人は許されないとは思う。しかし、本書に記される人々の幼少期はあまりにも悲惨すぎる。ひどい環境でも立派に生きている人もいるのでそれを殺人の理由にしてはならないが、何かやるせないものを感じてしまう。
と同時に、この本を読み終わって心の底から恐怖を感じたのは日本の司法の在り方。
きちんとした精神鑑定ができていない現状
死刑廃止論で盲目的に動く活動家
裁判を有利に運びたいがために真実をゆがめる人々
殺人者が罪を償うということ…
それは「自分が人の命を奪った、人生を奪った」ということを自分で理解し、殺した人に対して謝罪することなんだと思う。
でも、きちんと理解ができていない罪人たちは
自分がなぜ死刑になるのかわからないまま
反省なきまま死刑になる。
または、死刑を回避しようと弁護団に入れ知恵された嘘を重ねる。
被害者も加害者も救われない裁判…。
現実とはそんなものなのか…。
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臨床心理士による殺傷事件の加害者との交流からの考察。
幼児期の愛着関係、家族との関係性の質、学校や社会での対人関係、事件が起こる直前のストレスなど複合的に絡み合っていることを物語のように説明。
加害者本人寄りの発言と自らだけに心を開いているという思いを強調しているような印象は否めないが、再犯予防のための真相解明の必要性、裁判での量刑判断重視の方向性については考えさせられた。