紙の本
社会をドライブするもの
2011/02/11 15:16
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投稿者:kc1027 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書第16章-仕事と働くことと働く人たち-と題された章にこうある。
「仕事とは客観的なものである。なされるべきものである。そこにあるものである。したがって、仕事には物に対するアプローチをそのまま適用できる。そこには論理がある。それは、分析、統合、管理の対称となる。」
これに対して、こう続く。
「働くことすなわち労働は働くもの自身の活動である。それは人の活動である。人の本性である。論理ではない。」
労働の側面には、
1.生理的な側面
2.心理的な側面
3.社会的な側面
4.生計の資の側面
5.政治的な側面
があって、それらのいずれの側面においても、働く者が生産的な存在たるためには、成果をあげなければならない、とドラッカー先生は語る。
管理可能な仕事というモノを、複雑な側面を持つ労働によって、成果へと昇華させていく、そのプロセスに組織があってマネジメントがある。課題があり、責任があって、実践が必要となる。
『もしドラ』によってマネジメントがブレークしたこの社会は、好むと好まざるとに関わらず、老若男女が課題を責任を持って実践するステージに突入している。ハプスブルグ帝国の官僚支配とヒトラーの専制支配を生身で味わった20世紀の泰斗が、それに代わるものとして人類のために生み出した『マネジメント』は、現代の論語として、ケータイという人体の拡張器を手にした21世紀人類によって日々の実践段階に到達した。
女子高生までがマネジメントを語りだしたこの国は、その先端にいてポスト産業資本主義社会の行く末を左右するポジションにいるわけだが、自らを社会生態学者と位置づけたドラッカー先生にとっても、日本は興味深い社会であったようで、明治維新や渋沢栄一の事業、大戦後の高度成長をひとつの成功例として紹介している。そして今、世界史に類を見ない少子高齢化社会に突入したこの国にとって、そんな近い将来が見えてしまった我々にとって、それを知りながら害をなすことは許されなくなってしまった。
とはいえ、人は弱い。悲しいほどに弱い。とドラッカー先生も語る。
それでも、人はその強みゆえに働く。組織は人の強みを発揮させるためのもので、生理的・心理的・社会的・経済的・政治的な障害を乗り越えて実践できる人は、自分なりの居場所を見出し、創り出せた人だろう。それは学びさえすれば誰にも出来ることだと、ドラッカー先生は語り続ける。人類社会はこういう人の仕事によって、これからもドライブしていく。
紙の本
往年の名作・・・
2019/05/06 11:05
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投稿者:まっしゅ - この投稿者のレビュー一覧を見る
一部には「バイブル」とも呼ばれているマネジメントは、エッセンシャル版なるものが広く書店で出回っているが、それの元となっているのがコチラの書籍である。上中下巻に分かれていて3巻合わせるとかなりの分量となる。エッセンシャル版との違いはエッセンスとして凝縮されてしまった言葉たちのそれぞれの成分がわかることにある。
エッセンシャル版が読みにくくて断念した過去を経て、現在敗者復活的に読み始めているのだが、こちらの方が幾分か読みやすいように感じる。
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目的は何か。
何のための目的なのか。
いったん本質に遡ってから考えることで成果への最短距離が見えてくる。
組織における目標の重要性を教えられた。
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マネジメント 課題・責任・実践
の上巻。
上巻は第Ⅰ部、マネジメントの役割について。
マネジメントの役割とは
1.自らの組織に特有の目的とミッションを果たす。
2.仕事を生産的なものとし、働く者に成果をあげさせる。
3.自らが社会に与えるインパクトを処理するとともに、社会的な貢献を行う。
この3つについて、企業および公共サービス機関での
適用について論じている。
具体的な方法についての言及は少なく、
マネジメントに必要とされることを中心に書いてある。
読む人の仕事や立場によって、よくわかる部分、よくわからない部分、
役に立つ部分、すぐには役に立たない部分が違うと思う。
しかしながら、本書の内容は
組織に属する人全てに必要な知識、実践すべき活動であると思う。
顧客は誰か、事業は何か、自らの仕事は生産的か・・・
自らに、また自らの属する組織に問い続けるべき課題の提言が数多い。
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ドラッカー名著シリーズ、氏が63歳のときのマネジメント集大成!
上中下巻と、上巻だけでも400頁強とかなりのボリュームですが、読み応えがあって、40年近くも前に書かれたとは思えない文章には、いつも新たな気付きをもらえます。ではマネジメントって一体何?数100?はあったと思われる表現の中から、今回腹落ち感があったのは、次のフレーズ。
「われわれの次の世代の課題は、個人、コミュニティ、社会のために組織を役立たせることである。それがマネジメントの役割である。」今、本当に必要なことは、マネジメントという原則に立ち返ることなのではないでしょうか。
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マネジメントとは何か。
マネジメントは組織のための機関である。組織がなければマネジメントはありえない。その組織は社会のための機関である。機関とは何を行うかによって定義されるものではない。何を貢献するかによって定義される。
マネジメントには3つのポイントがある。
自らの組織に特有の目的とミッションを果たす
仕事を生産的なものとし、働く人達に成果をあげさせる。
仕事が社会に与えるインパクトを処理するとともに、社会的な貢献を与える。
大事な事は
顧客は誰か
顧客にとっての価値は何かを常に考えること。
戦略計画の重要性についても触れている。
戦略計画は予測ではない。予測は可能性の範囲内、戦略は可能性を変えること。
昨日を廃棄し何をいつ行うか、それが戦略計画である。
20110604
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エッセンシャル版と違い、3冊の分かれているものの1冊目。マネジメントの焦点は成果にあるべきで、何をやるかにあるべき。事業の目的は何かが究極的に大切である。仕事を生産的なものとして、ヒトに成果を上げさせるようにするのがマネジメントである。これは、企業に留まらず、公的機関も同様である。
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上中下巻の上巻です。
マネジメントについて書かれているのですが、本書を読んだからといってマネジメントはこうだということがわかるようになるわけではないと思います。
マネジメントというものが科学ではなく実践だからだと思います。
つもり、その時々によりマネジメントとして取るべき言動は異なるということです。
そうはいってもマネジメントとして共通する指針やスキルがあり、その一部が書かれているのだと思う。
<要点>
■マネジメントは成果に責任を持つ。成果は外の世界にある。
■利益は事業を維持・向上させるために必要な分だけ上げなければならない。
■仕事と遊び(学習)の違いは他社へのアウトプットがあるかないか。
■性善説が正しいか。性悪説が正しいか。この議論は意味がない。単に、人間は異なる状況では異なる反応をするというだけである。
最後に本書のイメージ的には下記のような感じです。
----イメージ----
A社は成果を上げているが、B社は成果を上げられていないような状況で、A社の成功要因はなにかを考えてもその要因を網羅することはできない。ある1つの要因が強く影響しているであろうと突き止めても、その要因を支える前提条件が隠れているかもしれない。
だからといって、A社の成功事例を学ぶことが意味の無いことなはずはなく、いざ自分が同じような状況になったときに、A社から学んだことをどこかで使っているはずである。
マネジメントも同様で、状況ごとに様々な要因で成功・失敗が分かれる。ただし、ある状況で成功したマネジメントを学ぶことは自分がマネジメントする上で貴重なものであるはずである。
----イメージ----
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難しいぃぃ。
試験前に返さなくてはいけなかったので、かなりの走り読み。
頭にはほとんど入りませんでした。
ほんの少しはヒントをもらったかな。
何をやるのか、何を売るのか、何の会社なのか。
マズロー、マクレガー、テイラー等、おなじみの名前もありましたが、特にアメリカの近代経済史に疎いので、ハードルが高かった。
が、続きも予約入れました。
いつかのお仕事に活かしたい。
読まないよりは、読みましょう
そうそう、日本好きなのかしら?
それともそれほど日本は興味深いマネジメントなのか?
(H24..1 図)
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この本を教科書にした勉強会に参加して、1ヶ月に1章ずつ読み進めていたが、細切れ過ぎてあまり深く読めていなかった。
このたび、5日間の出張に携行してやっと読み切ることができた。
企業の目的とは、利潤追求ではなく、「顧客の創造」であるというところに感銘を受けた。
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この本は何度も読み返して頭の中に叩き込むしかないだろうと思う。圧巻。時々、こんな事まで予見、あるいは事実として捕らえているのか・・・と感心して、感心の涙を流すこともあるくらい素晴らしい。
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多くの人に読まれているだけあって、非常に示唆に富んだ本。抽象的な内容であるため、どうとでも解釈ができ、わかった気になる度合いは非常に高いので、注意が必要。
特に印象に残ったのは、マネジメントの意義のうち、
・マネジメントは人を使って成果を上げさせるもの
・組織に社会貢献させるためにマネジメントがある
という考え方。
マネジメントを担う人間に対する示唆はもちろんのこと、現代の社会における組織の中でどう振る舞うか、という個人の問題としても捉えられる。
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本書はマネジメント書の中でもバイブル級に位置づけられるが、これまであえて積読状態にしていた。しかし、自分の中でようやく読むべき時がきたのを感じたので、手に取ってみた。まだ上巻を読んだだけだが、考えさせられる点が多々ある。以前にエッセンシャル版を読んでいたが、やはり原典の重みは違う。
ドラッカーの他の著作を読んでいるので既視感の高い章も多かったが、この本ならではの記述として印象に残ったのは第18章「仕事を生産的なものにする-管理手段とツール」と第25章「社会に与えるインパクトの処理と社会への貢献」だ。第18章はITが発達して様々なツールがビジネスに利用される中で、管理・ツールとはどうあるべきかを改めて考えさせられた。おそらく多くの企業で現場の生産性を落としている管理やツールが横行していると思われるが、もう一度、ドラッカーの言葉に立ち返る価値がある。また、第25章はSDGsがブームとなりつつある現代で企業が本当に何をすべきか、何をすべきでないのかを考える視点を提供している。
ドラッカーは日本についてもよく研究しているため、本書には日本の事例も多数紹介されている。その中には現代では失われてしまった旧き良きマネジメント慣行も多い。原著は1973年に出版されたものであるが、古臭いと思わずに温故知新ととらえて、組織のマネージャークラス以上の方には是非、読んでいただきたい。
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前書きで専制に対抗するものとしてマネジメントを位置づけるあたりからして気合が違う。1970年代前半という時代背景もあろうが。マネジメントの技術よりも、何をなすべきかを中心に置くとも。「組織の構造は戦略に従う」。
全体的にきわめて明晰な書きぶりで、内容も説得力に富む。箴言の連発。
ある意味、オーソドックスというか当たり前に感じるところも。それも、いかにドラッカーの言説に後の世代が影響を受けているかの現われかも。
今後の課題として予想されている、イノベーションのマネジメントや、知識労働者のマネジメントは今もって課題だ。生産性の測定が大事と言っても、マクロ指標ではいまだ生産性は残余概念でしかない。さらにイノベーションに関しては、この本以後の目ぼしいイノベーションであるITでは、大きな部分がガレージから興ったことを考えると、イノベーションに関してはマネジメントの旗色は悪いか。
顧客あっての企業。よってマーケティングが重要。販売とマーケティングは違う。販売を不要にするのがマーケ。プラス、イノベーションが第二の企業家的機能。
事業の目的とミッションについての明確な定義→目標→実行
「われわれの事業は何か」の問いは、しばしばマネジメント間での根本的なことでの考えの違いを明るみに出す。だからこそミッションの問いかけは大事。
「われわれの事業は何になるか」は、別個の問いとしてある。イノベーションの領分。そのためには新規分野だけでなく、既存の事業の廃棄も必要。
目標は複数あるべき。目標間のトレードオフを意識する。短期と長期など。
戦略計画。予測でもなければ、未来の意思決定を計画することでもない。明日のために現在の意思決定を行うことである。
企業内サービス部門(俺らか!)も公的サービス機関と同じく、顧客から得る利益ではなく、予算からコストを賄っている。これらの抱える最大の問題は効率性ではない。予算から支払を受けるために適切な方向づけがされないことに問題がある。おのれの事業を定義して成果志向にマネジメントしなければならない。
→ドラッカーによる問題点の指摘はもっとも。しかし、解決策のほうは、成功している公的サービス機関の例を挙げたりするが、企業編での切れ味に比べるとどうにもボンヤリしている。
公的サービス機関においては非生産的な仕事をやめることが、企業に比べてはるかに難しい。それだけ意識的にやらないといけない。
公的サービス機関の種類&マネジメント手法
1.自然独占・・・民間にやらせて規制の下に置くのがベター。電力などか。
→ドラッカーは企業内研究所をこの自然独占にグルーピングしているが、2番目の類型の方が当てはまりそう。複数組織による競争が有効。アメリカの宇宙開発は意図してかどうかは知らぬが、この時代にはまだ複数競争の形になっていた気がする。
2.予算から支払を受けて事業を行う公的サービス機関(学校、病院)・・・複数のサービス機関による競争が有効。
消費財のマーケテ���ングを事業と定義している会社の事例が興味深い。本社にマーケティング支援専門部隊がいるが、それを使うかどうかは事業部の裁量。外部リソースを使っても、自前で抱え込んでも良い。各部の業績と、内外のマーケティング専門化利用状況とには相関を見出せないそう。
3.伝統的な政府活動(司法、国防)・・・独立した機関による監査
仕事は客観的なものであって、物と同じアプローチで対処できる。しかし、働くのは人間であり、仕事の論理とはことなる労働の力学がある。
アメとムチは機能しなくなった。働く人間に仕事への責任を持たせること。
→日本企業褒め、しかし労働力の移動が困難なのは欠点だと。ラインでの流れ作業の困難を指摘し、セル生産を思わせる箇所も。
社会的責任も主体的にやらないと痛い目にあうと。しかしできもしない責任を取ろうとするのはまずい。
規制について、抜け駆けの防止として、企業にとってもありがたいものだと。
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エッセンシャルはずいぶん前に読了、今回は全三巻にトライしてみた。
マネジメントの役割とは何か、からしっかり考えながらこの本を最初から丁寧に読んでいくことは、非常に意義深いと思えた。
企業とは何か、企業の目的とは、自分達の事業は何か、顧客は誰か、それを踏まえた目標は?
常に考えているつもりにはなっているが、ズレている、原点を忘れた自分に気づく。長い、やや冗長かもしれない本だが、本棚に置きいつでも参照できるようにしておきたい。
中でも「仕事と働くことと働く人たち」の章が必読。ここをイメージだけでなく、必要な言語・用語とともに理解できたら「人こそ最大の資産」の境地に到達し、そして上巻の主題「マネジメントの役割」の悟りにつながっていくのではないだろうか。