電子書籍
映画の原作
2021/03/02 10:03
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投稿者:kama_bo - この投稿者のレビュー一覧を見る
「日本で一番悪い奴ら」の原作。
映画はとても見応えのある内容で、真っ黒な部分を惜しまず描いてとても見応えあり。だからこそ、このノンフィクションも読んでほしいです。
映画の主人公は、後ろ暗い所を気合で押し込めて、前に進む愚直なキャラ。原作は淡々と描かれていますが、深い闇に対峙しつづけた、暗い重い魅力があるように思います。原作に忠実な映像作品も見てみたいです。自傷のくだりとか。
正義感と目を背けたい現実のはざま、そのもの。
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「日本で一番悪い奴ら」を観た勢いで読んだ。文章は単調なんだけど、まあ面白かった。当時の銃器摘発はめちゃめちゃだったんだなあと感心した。マンガに出てくるほぼヤクザのマル暴刑事とかあながちウソじゃないんだなあと。
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驚いた。
真っ黒だ。想像を超えている。
『日本で一番悪い奴ら』 という名前で映画化されているが、この内容をそのまま描いたものだとしたら、ノンフィクションと理解されるか心配だ。
にわかには信じ難い、ノルマのための拳銃摘発の代わりに覚醒剤と大麻密輸を見逃すという件は、北海道新聞と道警との間の戦いを描いた高田昌彦『真実』にも書かれている。根拠がなかった、としておわび広告を掲載させられ、「新聞が警察に跪いた日」と書いた泳がせ捜査失敗記事のさらに深い闇の真実。『真実』を読んでいなかったら、もっと深く驚いていただろう。
それにしても、当事者であった著者の口から語られる、首なし拳銃摘発の実態、エスと呼ばれる協力者の存在、覚醒剤に手を染めていく様子、覚醒剤密輸見逃し事件に至るまでの腐敗ぶりはすさまじい。彼はエース捜査官とも言われていたのだ。おそらく組織の中では、困ったときには頼りになると評価されながらも 、やりすぎで個人の暴走とも映っていただろうことも想像に難くない。それにしても犯人を検挙する必要のない拳銃だけの「首なし拳銃」の摘発をよしとすることは、犯罪抑止に全く効果がなく、逆に犯罪組織に対して借りを作るだけの愚策であることは冷静に見れば当然の帰結だ。おかしい。実際に著者が摘発したほとんどの拳銃がそのような経緯を経て押収されたものだったという。著者は、手持ちの内部協力者(エス)を駆使して組織の数字のために動いたという。そして、そのことについてはまだある種の誇りをもっているように感じ取れる。少なくとも当時は誇りを持って疑問を抱かずにやっていて、そのことを否定していない。謝罪はするものの、そのことについては組織の中で許可を取って進めてきたし、役に立ってきたというある種の抜きがたい自負が見える。
もちろん、責任をあいまいにし、保身に走る上司は批判されるべきだろう。告発したエスや、そのエスから脅されていた警察官、二人の自殺者を出す。死者を二人も出した事件。こういったことが明るみになった後でもつぶれない組織であることも戦慄を覚えるのだ。 警察組織が想像を超えて自浄力のない組織であることがわかる。世の中の治安を向上させる、という組織としての目標とそのためのビジョンがないのか驚くほどに全く共有されていないようなのだ。この本を読む限り。何だろうか。
この本が出たにも関わらず、これによって世間やマスコミが騒いだり、関係者が処分されたといったことは聞かない。「恥さらし」とは自らのことを言ったものだと思う。しかし、おそらくは道警の組織にも向けられるべきものではなかったか。その場合には『恥知らず』とするべきなのかもしれない。
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『真実 新聞が警察に跪いた日』のレビュー
http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4041013232
稲葉圭昭のインタビュー「綾野剛演じる悪徳警官のモデルとなった伝説の男が語る、腐臭漂う警察の実話」
http://jp.vice.com/others/inaba-the-worst-police-in-japan
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献本企画に当選。
ありがとうございました。
2000年4月、量130キロ、末端価格にして約40億円の覚醒剤が北海道函館新港に運ばれた。
それを手引きしたのは北海道警察と函館税関。
泳がせ捜査という名の密輸、悪質な犯罪行為だった。
重い十字架をひとり背負うことになった銃対課の稲葉氏。
組織の要求に応え、上司の命令には逆らわず仕事をしてきた。
責任を押し付けられた稲葉氏は徐々に壊れていく。2002年7月、覚醒剤の使用で逮捕。
読んでいて気持ちが暗くなるほど、道警の闇が書かれている。
映画『日本で一番悪い奴ら』原作本。
映画ではどのように描かれているか楽しみ。
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一度足を踏み外してしまうと、坂道を転がり落ちるように外道に落ちて行く様が克明に描かれています。
著者の稲葉氏は、自分が外道に落ちて行った要因は警察組織の仕組みにあると訴えていますが、やはり、不正に対して感覚が麻痺してしまった個人の資質が何よりも大きいように感じます。
この事件を契機に全国規模で不正が明るみになって大問題になった記憶がありますが、現在の警察組織はどこまで浄化されているのか、気になって仕方ありません。
今後、こんな不正が再び明るみになるようなことがないことを願うばかりです。
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これが、ノンフィクションに分類されてしまうことが怖い。
時はまさにに共謀罪が成立したばかり。
本書のように、銃器を押収する件数が競われ、ノルマがかせられるようになりでもしたら、テロRストもキノコ採りも、関係なく、予算を達成するために、各警察はやっきになり、どんな汚い手段を取っても、共謀罪のノルマ競争に飛び込んでいくのだろう。
そして、そこに罪がなくても、罪人を作り出してしまうのだろうか?
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警察官の犯罪や、組織ぐるみの不祥事をニュースで見ることはあっても、それでも警察は私たちを守るために存在しているんだ、と信じてるわけなのだけど。
なんなんだろう、この底知れぬ恐ろしさは。
どこかで根本的に変えなきゃならないんだろうな。
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170820.映画観てからの購入。実話、北海道の話しということで非常に興味を惹かれたまま読むことが出来た。日本は確かに平和な国なのかもしれないが、薬に関しては本気で歯止めをお願いしたい。しかしこの話を読む限りでは到底警察には期待が出来ないし、変革を求めるにはあまりにも大きい組織になっていると感じる。
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【献本企画】綾野剛主演・白石和彌監督最新作、映画「日本で一番悪い奴ら」6月25日公開記念!原作・稲葉圭昭『恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白』を5名様にプレゼント!【2016年6月13日まで】
http://info.booklog.jp/?eid=910
2016年6月25日公開、映画『日本で一番悪い奴ら』(主演・綾野剛)原作!!Wカバーで好評発売中!
2000年春、函館新港に運ばれてきた覚醒剤。その量130キロ、末端価格にして約40億円。"密輸"を手引きしたのは北海道警察銃器対策課と函館税関であり、「銃対のエース」ともてはやされた刑事だった。腐敗した組織にあって、覚醒剤に溺れ、破滅を迎えた男が、九年の服役を経てすべてを告白する――。
■「稲葉事件」とは?
日本警察史上、最大の不祥事が明るみに出た事件。2002年7月、北海道警察の生活安全特別捜査隊班長である稲葉圭昭警部が、覚せい剤取締法違反容疑と銃砲刀剣類所持等取締法違反容疑で逮捕、有罪判決を受けた。公判において、北海道警察による「やらせ捜査」や「銃刀法違反偽証」などが明らかになるとともに、北海道警裏金事件が2003年に発覚するきっかけともなった。
■著者紹介:稲葉圭昭(いなば よしあき)
1953年、北海道生まれ。北海道警察銃器対策課・元警部。東洋大学を卒業後、1976年に北海道警察に採用され、機動隊に柔道特別訓練隊員として配置される。道警本部機動捜査隊、札幌中央署刑事第二課、北見警察署刑事課、旭川中央署刑事第二課を経て、1993年、道警本部防犯部保安課銃器対策室(後の生活安全部銃器対策課)に異動。道警銃器対策課が主導した「警察庁登録50号事件」や「ロシア人おとり捜査事件」、「石狩新港泳がせ捜査」など、数々の”違法捜査”に関与。捜査費を捻出するため、自ら覚醒剤の密売に手を染めるようになった。2002年、現役の警部としては道警史上初めて覚醒剤使用で逮捕され、懲戒免職。覚せい剤取締法違反、銃刀法違反の罪で懲役9年を宣告される。2011年9月、刑期満了。
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『恥さらし』
映画『日本で一番悪い奴ら』の原作となった、北海道警察史上最大の汚職事件である稲葉事件の犯人、稲葉氏が書いた自省録。
学生時代は柔道に明け暮れた稲葉氏は今でいうスポーツ枠のような形で北海道警察に就職する。その後、1990年代の銃器摘発キャンペーンの中で、銃器の摘発の過酷なノルマを課され、目標達成のために反社会勢力との交際を始める。稲葉氏は、多数の暴力団にエス(スパイ)のネットワークを形成し、銃器や覚せい剤の摘発に繋がる情報を引き上げていく。次第に、そのようなネットワークを駆使して成績を上げていく稲葉氏は銃器対策課のエースと称されるようになる。一方、多くのエスを養うために資金が必要になった稲葉氏は自分の給料やカードの信用枠などを積極的に貸し出し、文字通り、身を粉にして働く。そして、エスを養うために、稲葉氏自身が覚せい剤のブローキングビジネスをはじめ、潤沢な資金を形成していく。そんな中、次第にエスカレートしていくノルマに対して、稲葉氏を含む銃器対策課は香港マフィアと関東の暴力団を仲介し、大量の覚せい剤と銃器のブローキングを画策すると同時に、泳がせ捜査で一気に大量の銃器を押収する計画を立てる。しかし、本計画は結果として一部のエスの裏切りにより頓挫し、あろうことか日本に大量の覚せい剤を卸すだけで終わってしまう。そのような失態も重なり、当時の銃器対策課のチームは解散し、稲葉氏は閑職を押し付けられる。明らかに斜陽となった稲葉氏は自らが売買していた覚せい剤に手を付け、エスの密告により最終的には覚せい剤取締法違反で逮捕されるという物語である。本書では、当時のノルマの厳しさや、ノルマ達成のためにほとんど多くの道警の人間が反社会的勢力との交際をもっていたことなど、自らの罪を赤裸々に告白していく。同時に、当時の稲葉氏の交際をすべて黙認し、稲葉氏の成果で甘い汁を吸っていた当時の上司が逮捕されていないことへの恨み節を炸裂させている。なぜ上司が捕まっていないかと言えば、稲葉氏の逮捕でこれまでの悪事が表沙汰になることを恐れた別の上司や、稲葉氏を密告したエスも獄中で自殺していることで、自殺した別の上司にすべてを責任転嫁し、自らの関与を否定したからである。
これだけ大きな汚職事件を容認した上に、最後は部下に責任を押し付け、今でも罪を償わずにいることを考えると、怒りを禁じえない。
本書、読んでいて何かに通じるものがあると感じたが、それはハンナ・アレントの『エルサレムのアイヒマン』である。アレントは、第二次世界大戦中に、ホロコーストの指導的立ち位置を担っていたアイヒマンの裁判を傍聴し、アイヒマンが何の変哲もない人間であることを報告した。そして、それをもって、アレントは「悪の凡庸さ」という言葉を世界に発信する。つまり、人類史上最大級の虐殺を指導した人物は極めて、凡庸であり、悪というものは誰もが簡単に近づいてしまう危ういものであることに警鐘を鳴らした。また、アレントはアイヒマンについて「愚かではないが、徹底した無思想性」に悪の素因を見出した。
本書を読んでいて感じるのは、稲葉氏の無思想性と、やは���凡庸さである。確かに、実直にノルマ達成を目指し、多くの人が行っていた暴力団員との交際により成果を上げることは、凡庸ではないものの、稲葉氏には一概に、全く異世界の人間とは思えない人間らしさがある。そして、その人間らしさこそが恐ろしさでもある。自ら覚せい剤の取引を行うことや暴力団と交際すること、さらには香港マフィアとの闇取引を仲介することなど、本書では徹頭徹尾異常な行動がとられているが、しかしながら、その目的にはノルマ達成のための銃器摘発という合理性の筋が一本通っている。ここが、まさしく本書の最も恐ろしいところであろう。
また、このような事件に、オルタナティブを持たない組織の怖さと言うものも感じた。警察組織は、日本に1つしかないため、ノルマ達成ができない場合には、一生警察組織の中で出世できずに閑職でいることに甘んじるしかない。そのような恐怖心が、このような闇取引に手を染めてしまった原因なのかもしれない。そもそも、ノルマとは組織内の取り決めであり、組織が異なれば、別の目標やノルマがあるはずである。一般社会では、転職することにより、別の領域で再出発することもできるだろうが、殊、警察組織ではそのような選択肢がない。画一的な組織目標により、人々は個人の思想性に意味を見出しずらくなる。そして、思想性を失ったとき、規範からの逸脱はすぐ隣まで来ているのだろう。
昨今、三菱電機等、日本の伝統的大企業での検査不正や隠ぺい体質などが話題に上がるが、その原因の一つはやはり、選択肢を持たない人々が次第に思想性を失っていき、上意下達に倫理が入り込む余地がなくなってしまうことなのではないかと思う。(その意味でも、職の流動化というものは悪いものではないと感じる)
色々と考えさせられる一作であり、ぜひ多くの人に読んでほしいと感じたために、このレビューを書くことにした。
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警察組織の恐ろしいほどの腐敗を告発。
未だにこれが改善されていないとすれば、日本の刑事司法の展望はまだまだ暗かろう。
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この本にかかれていることは衝撃的な告発であるにも関わらず、自分が不感症なのか、あまり興味をもてなかった。
まあそういうこともあるだろうな、という感じだ。
我が一家全員死刑のド級の日常には及ばない。
調書のような事実をたたみかける文章(おそらくゴーストだが)も、迫力をそぐ。我が一家全員は、文章は下手くそだが、それゆえの凄みがあった。
しかし、営業マンじゃあるまいし、警察にノルマは変な話だ。それがすべての元凶。ないものつくるために、不正が横行する。
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(2016.06.17読了)
ブクログの献本企画、当選しました\(^o^)/
ありがとうございました!
で、早速読んでみました。
これ、ノンフィクションなんですよねΣ(゚д゚lll)
警察が・・・とんでもない話です!
著者は実際に覚醒剤取締法違反や銃刀法違反で逮捕され懲戒免職、懲役9年に処せられました。
サブタイトルに「悪徳刑事の告白」とあるとおり、最初から最後まで「告白文」です。
いついつどうした、こうした、という独白に終始します。
ドラマ的なところは全くありません。
なので小説としてはいまひとつ物足りなかったですね(^_^;)
その点、映画はおもしろそうです(^_−)−☆
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白石和彌監督、綾野剛主演ですこぶる面白かった『日本で一番悪い奴ら』の元ネタ。日本警察史上、最大の不祥事と言われる「稲葉事件」。北海道警が組織的に違法捜査をおこなっていたにもかかわらず、ひとり罪を着せられる形になった刑事、稲葉圭昭氏の告白本です。
刑事は点数を挙げてなんぼ。覚醒剤を押収すれば何点。拳銃を発見すれば何点。指名手配犯のほうが点数が高いから、居場所のわかっている犯人を行方をくらましている指名手配犯に仕立て上げて逮捕する。毎月ノルマがあり、それをクリアするためならヤクザから拳銃を譲り受け、それと引きかえにヤクザに覚醒剤を渡すというのですから、何のための警察かと言いたくなります。稲葉氏が逮捕されたのは自ら覚醒剤に手を出してしまったからで、これはもう自業自得としか言いようがありませんが、情報提供者の面倒をみるために自腹を切っていた話などを読むと、同情の念を禁じ得ません。稲葉氏の逮捕後、背負った十字架の重さに耐えかねて自殺した人もいますが、死ねば証言者が減るわけで、残った者はこれ幸いとばかりに責任を転嫁します。悪事がバレれば、部下が勝手にやったこと、上が指示した事実はないと主張するのは企業でも警察でも同じこと。部下の盾にもなれないような者が出世する会社なんて、優れているわけがありません。
平易な文章で書かれているため、非常にわかりやすいです。自分ひとりに罪を押しつけた警察に対する恨み辛みではなく、あったことをありのまま述べているふうなので、著者に対する不快感も生まれません。面白さでは映画版が上で、それはかなり脚色されているからだとは思いますが、どこまでも進んだ組織の腐敗を見てとることができます。服役中に面会に来てくれた人、出所後も変わらずつきあっているのが高校時代の同級生ばかりだという記述があり、仕事上での関わりとはそんなものなのかと悲しくなりました。ノルマなんかやめてくれ。なぜわざわざ悪を作り出そうとするのか。
映画の感想はこちら→http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/b5e548e846a5e104005ee796a4bbb1e5
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映画・日本で一番悪い奴らの補足として読み始める/ どうやら文中の名前は仮名のようだ/ 事実は小説より奇なり、を地でいっている/ 刑事が拳銃を買い付けて自作自演で摘発する/ ヤクザに頼んで拳銃所持で出頭してもらう/ 中国から200丁の拳銃を発注する為に覚醒剤と大麻を自ら密輸する/ まるきりヤクザである/ 北海道警察、日本で一番悪い奴ら/ もう少し詳細に生々しく書いてくれるとよかったかな/