紙の本
現代の名探偵登場の物語
2007/03/21 23:56
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1章 本調子
1 謡ガヽリ
2 節付
3 中ノリ
4 佃ノ合方
第2章 二上り
1 クドキ
2 踊り地
3 鼓唄
4 手事ノ合方
きっと見る人が見ればわかる言葉なのだろうけれども、私は三味線も長唄もさっぱりわからないので、何のことやらわかりません。しかし、このような見出しを付けられている物語を読み進めていくと、この物語全体が大きな唄を謳いあげていこうとしているのだということが分かります。
山科警部補が語っているように、ここに出てくる世界は現代の私たちからでは窺い知ることのない世界ですが、その中では様々な愛憎がいきかっているのだという、大きな物語のようです。
これだけの大きな物語には、うまく紡ぎだしてくれる何かが必要ですが、それこそが名探偵ということなのでしょう。
前半部分ではまだほとんど活躍をしていませんが、名探偵の登場にふさわしい物語のように思えてきます。
紙の本
伊集院大介初登場
2001/01/05 01:50
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:松内ききょう - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二回吉川英治文学新人賞受賞
名探偵伊集院大介初登場作品
とにかく物語が動いている。流れが流れとして伝わる感動。情景描写、心理描写、登場人物設定、その一人一人の動きのどれをとっても、隙や無駄がない。悲劇が悲劇として生きている作品。名探偵伊集院大介の活躍は、著者の他の作品でも見られるが、やはり初登場は押さえておかないと。
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わかっててはいてもなかなか読めないでいた作家っていますよね? 栗本氏の名探偵・伊集院大介シリーズが、私にとってはその1つでした。っていうか・・・・もうたくさん作品が出ちゃっているからという理由なんですけど。それじゃ〜いかん!と思い立ち(な〜んちゃって。胆にあっただけ・・・)、読んでみました。あはは〜面白かった!!最初はもしかして・・・やっぱりやおい系?と思いましたが(違いますよん)。話の中に引きずりこまれました。家元なんて私にとっては遠い存在で、凡人にしてみれば羨ましい存在でもあります。芸の頂点にたつ人なんですから。でも、本書を読むとそのための苦悩とかが伝わります。おまけに事件の真相のどんでん返しがこれまた凄かった〜!見事にはまりましたよん。ラストではなんだか涙がでたほどです。もう古い作品ではありますが、オススメです。
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伊集院シリーズに手を出そうとして最初で挫折した。すげぇ栗本という感じ。終わりのないラブソングも三巻くらいで挫折した気がする。
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多分始めて読んだ栗本薫作品だろうと思う。
伊集院大介のデビュー作で、三味線の家元の家庭で起こる殺人事件であります。
これを皮切りに伊集院大介シリーズをずっと読んで行くことになったので私にとってエポックメイキングな作品です。
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名探偵・伊集院大介シリーズは私にとって当たりはずれが大変激しい。その中でもこれは出色の出来映え。エロティックさとドロドロが加われば横溝正史ワールドにかなり近いかも。第2回吉川英治文学新人賞受賞作。
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長唄の家元の息子の家庭教師として登場する、伊集院さん。芸の世界、そして命をかけるほどの情熱的な恋。ドロドロとした人間関係の中で、伊集院さんの推理が冴え渡る。伊集院大介シリーズの中では、一番好きな作品です。
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栗本薫の伊集院大介シリーズ。
中学生のときにこれを読んでから、このつづきものを読み始めた、きっかけの本。
飄々と事件を解いていく伊集院さんによって、小説にすいこまれていったのを覚えています。
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人間国宝、長唄の安東流家元の邸内で女弟子が殺された。左手には三味線の撥が握られていた―。犯人は内部の者としか考えられなかった。二代にわたって妾を邸内に住まわせているこの家では、夫婦・親子の間で嫉妬や憎悪が渦巻き、誰かが誰かを殺す動機には事欠かないほどだった。しかしなぜ女弟子が?警察が謎の糸口もつかめないまま、やがて第二の殺人が…。名探偵・伊集院大介が初登場する、本格推理の名作。 (amazonより抜粋)
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久々に推理物が読みたくて借りてきましたが…なんで下巻も一緒に借りなかったのかと悔やんでおります。非常に面白いです。
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栗本薫さんの推理小説は、頁を捲るのが恐いのです。
文庫本の薄い紙の、その裏側に綴られている文章を読むのが、恐い。という頁が必ずあるのです。
そこで描かれている事実が恐い、のでしょう。
お化けやモンスターが出てくる訳ではないのです、あくまでもミステリなので。
推理小説というと、トリックやゲーム性を重視する反面、人物がうすっぺらかったり物語としては後味の悪いものになっていたりというものもありますが、純粋に物語として面白い本です。
緻密な人物描写と圧倒的な世界観を持って描かれる物語は、先を読むのが恐い程に感情が移入してしまう物語で、その事実を突きつけられる事で自分の世界が壊れてしまうような錯覚に陥るのです。
しかしながら、恐くても目を瞑って頁を捲って恐る恐る細めで読み進まずにはいられない吸引力のある物語です。
それがクセに、なるのです。
この作品は、そんな栗本さんの作品の中でも一番、恐いけど読みたい物語。
なので、代表してこちらの本棚に収納します。
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伝統と格式に凝り固まる家元の家で起こる殺人事件。旧家独特の愛憎と美醜が現れて面白かったです。初っ端からびっくりなシーンがありましたがこの二人もどうなるのか…。犯人もですが一族の人間関係の結末も気になります。
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最初はボーイズラブの作品かと思いました。
三味線の家元の家での複雑な家族を背景にした連続殺人事件。
伊集院大介が登場するが,最後の最後まで脇役です。
特に,上では,主人公は家元の子供たち。
吉川英治文学新人賞受賞作品ナだけあって,
小説としての完成度も高井。
透明感ある伊集院大介。
他の名探偵とは一線を画すると思うがいかがだろう。
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長唄の家元の邸内で左手に三味線の撥を持ったままの女弟子が殺された。警察が謎の糸口もつかまぬまま、やがて第二の殺人が…。
古くて愛憎渦巻く旧家での殺人。横溝っぽいです!
雰囲気が古めかしくて、ひたれました。
ミステリーもさることながら、この雰囲気だけで楽しめました。
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伊集院大介が最初に世に出た作品。したがって、警察との関係も薄く、ことに上巻での「名探偵」としての活躍は少ない。
26年ぶりにひっぱり出して読んだのだが、登場人物の性格描写が、グインサーガのキャラクター達とダブって見えてきた。リンダとレムス、イシュトヴァーン…。
栗本は人間の性格、というよりは運命を描きたかったのではないか。めぐりめぐっていく血のスパイラル。