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わたしの、好きな人
著者 八束澄子
小学6年生のさやかの家は、小さな町工場。母親はさやかの幼い頃に出奔したため、父と兄の3人家族だ。母親と入れ替わるようにして工場に現れて以来、父を支えて一緒に働いてきた杉田...
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商品説明
小学6年生のさやかの家は、小さな町工場。母親はさやかの幼い頃に出奔したため、父と兄の3人家族だ。母親と入れ替わるようにして工場に現れて以来、父を支えて一緒に働いてきた杉田も、もはや家族の一員といえるかもしれない。さやかは二回りも年の離れた杉田に、ひそかに想いを寄せていた。その気持ちは家族愛に近いものなのかもしれない。しかし、さやか本人にとっては、ひとりの女性としての真剣な恋心なのだった……。
目次
- 1…「すまん、さやか」と杉田はいった。
- 2…「泣くな!」と杉田はいった。
- 3…「いいかげんにしろ!」杉田はどなった。
- 4…「行ってこい」とおやっさんはいった。
- 5…「人生はチャレンジ」セイラはいった。
- 6…「つらいことは自分を変えるチャンス」兄貴はいった。
- 7…「頼む。行かせてくれ」杉田はいった。
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紙の本
幸せな結末
2006/04/26 23:51
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナカムラマサル - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公さやかは小学6年生。さやかの家は、さやかの父親と住み込み従業員の杉田の2人だけで細々とやっている小さな町工場だ。さやかの兄は、高校を卒業して半年も経つのに毎日ぶらぶらしている。
さやかの母親はさやかを生んですぐに蒸発した。その入れ替わりのように現れた杉田をさやかは慕っている。36歳の杉田に恋をする12歳のさやかの胸のときめきが微笑ましい。
そんなある日、父親が脳梗塞の発作で倒れる。兄はその日からいなくなる。一人で工場を切り盛りする杉田のそばで、父親の介護をしたり食事の支度をするさやかの姿がとても健気だ。さやかの成長ぶりには杉田でなくとも「人間は前に向かって進んでいく存在」だと気付かされる。
家族小説としても児童文学としても読ませるが、何よりもラストが鮮やかで、極上の恋愛小説を味わったかのように、読後はとても幸せな気分に浸れる1冊だ。これほど幸せなラストシーンにはなかなかお目にかかれない。映画「幸福の黄色いハンカチ」を引き合いにだせばお分かりいただけるだろうか。