身近にいるナオミ
2017/04/11 21:55
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
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私はこの作品ナオミという人間について深く考えさせられた。ナオミは夫の河合譲治の愛に甘えてワガママで不倫症のビッチになっていく女であるが、このような女が身近にたくさんいるような気がした。私は高校に通っていて大人の恋の現実をまだ目の当たりにはしていないが、高校において実際そうしなくてもそうしようとしている人がいることを感じる。俗に高校デビューという言葉があるがこれはナオミに近づくことではないかと思う。私はこれを若年層の男に読んで欲しい。まず、まず、このような女がいることを知って欲しい。そして将来、結婚し、子育てをすることになると思うが、その時、妻に、あるいは子供に、可愛さのあまり甘やかしてしまいたくなることはあると思う。しかしその行動がナオミを産み、自分の首を締めることになることを考えて欲しいと思った。
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初めての谷崎潤一郎でした。なるほど、これが文豪かと思わせる筆運びで、本物は色褪せないの言葉通り、夢中になって読みました。
どの時代に生きていても、時代は変わってきていると思うことがありますが、それ以上に、人間の感情は普遍的なのだなとつくづく思いました。誰かの特別になりたい。感謝されたい。振り回されたい。振り回したい。楽をしたい。他とは違うことがしたい。
女性からみると、ナオミというひとがどうしてそうまで奔放にできるのかとか、果たして実はそこまで魅力的なんだろうかと首を傾げたくなるところもありましたが、男性と女性では女性の見方が違うのもまた、普遍的。
譲治さんは果たして幸せだったのかわかりませんが、彼の言葉通り、彼はナオミなしでは「生きて」いくことはできないのでしょう。それを幸福と呼ぶかどうかは別として。
譲治さんに「なんでも言う事を聞く」と約束させた終盤のナオミは、恐ろしかった。恋愛って、一歩間違えば犯罪なんだなと思ってしまいました。というよりも、譲治さんもナオミも、相手に対してDVを行っているような。犯罪の定義は、もしかしたら普遍的でないのかもしれません。世間の常識が少しずつ変化していくにともなって。
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すごい良かった!これ、すごく読みやすい改版と言うのか?谷崎作品をずっと読みたかったのだが、あの旧版は読みにくくて。新字、新かなづかいで読みやすかった。
角川さんいい仕事してます。これはシリーズあるのか?他も改版で読みたい。
内容はまぁ男はバカだなぁと。笑。
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文豪・谷崎潤一郎作品初読み。
『痴人の愛』
文スト表紙ではないものが欲しかったけれどこれしか見つけられなかったので渋々。
いや文ストはアニメで観てますけども。
いやはやしかしまさかこんな話だったとは…笑。
もうなんてゆーか、終始半笑いでほんと何やってんだこの人たちは…っていう。
最後まで読んだら何か別の感情が生まれるのかとも思ったけどラストの4行を読んで
「う、うん…あんたらがそれで良いなら良いんじゃないかな…」とは誰もが思ったことではないかしら。
しかしこの作品、発表された当時は世間がざわついたと書いてあったけどそりゃそうでしょうね。
文豪モノは定期的に読みたくなりますがこの作品はあまり古い作品を読んだ、という感覚になりませんでした。
それくらいこの2人の関係というか状態というか色々があまりにも現代的。
いや突っ込みどころは凄いですけども。
当時は随分センセーショナルだったろうなぁと思います。
谷崎潤一郎作品は耽美モノが多いとか。
あらすじ読んだら『細雪』が気になりました。
またの機会に。
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『文豪ストレイドッグス』に登場する谷崎潤一郎の妹・ナオミの元ネタ(この『痴人の愛』に登場するナオミが、谷崎潤一郎の義妹をモデルにしていたことにちなんでいる)。400頁ちかい分量で綴られているのは、底知れぬ女の魔性と、それに理性を破壊され屈服する、マゾヒスティックな男の狂気である。女性賛美と形容するには、あまりにも淫靡で禍々しく歪んだ愛の世界だった。谷崎潤一郎という人は、正真正銘のド変態であるなぁ。
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やっと読み終わりました。
文学小説はなかなか読みにくく、苦手な分野なんですが、
この小説は他のものと比べると比較的読みやすかったです。
内容的にはこういう話は基本的にはあまり好きではないですが、この時代がどういう時代だったのかなど知れてそれは面白かったです。
文章にしても、やはり今まで私が読んできたものとはだいぶ違っていて、詩的というか、今の時代ではなかなか使わない表現というかがとても面白くて、そういう面では楽しく読めました。
ただ登場人物たちはあまり好きになれなかったけど、この話の終わり方は好きでした。
人生の途中という感じが良いなと思いました。
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今頃読む谷崎潤一郎。なんで昔は読まなかったのかな・・・教科書とかに触りの部分が出てなかったからかもしれない。確かにこんなSM小説みたいなのは出せないかもしれない。
それにしてもこの文庫版の表紙はちょっと・・・昔の新潮文庫の方が地味でいいな。
田舎の富農出身のある程度裕福な若い男(背は少し低いが、外見も良く、真面目で紳士的)が、カフェーで働いている陰鬱な感じだが日本人離れした顔立ちの15歳の少女を引き取って自分好みの女に「育てる」という発想が確かに奇抜だ。源氏物語の紫の上のようだが、慈しみをもって(でもそれは15歳の思春期の少女を風呂に入れてあげる、というような完全に自分本位の欲望に従っている)教育したもの、育ってみたら自分の期待を裏切って全然違う女になってしまった、ということ。紫の上とは大違いの話である。
怒りに任せて追い出した女が、全く違う姿形になって(そのように見えたのだろうが)男の前に現れた時、その美しさに完全に屈してしまう。自分が虐められて踏みつけにされることに喜びを求め、支配する側から支配される側になることをあえて望み、そこに愛の形を見出す。
そうはいっても、この小説の発表当時は、男は愛の形を選べる立場にあったのだろう。また、大正時代の西欧に対する純粋なまでの賛美や憧れも愛に投影されていて(自分好みの女が白人の西洋人女)谷崎は凝り性だったんだろうと窺える。
独りよがりの勝手な思いで若い女の子を「教育」しようとしたものの、結局は女は自我爆発どころか自分を支配する側に回るという悲哀と滑稽さの裏に、一貫して生身の女は自分の思い通りにはいかないし、あるがままが美しいという真実のようなものが根底にあって、それは女性に対する一種のリスペクトなのかもしれないと思った。
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カフェで見染めたナオミに執着し、同居して立派な女性に育て上げようとした譲治。ところがナオミはいつしか我儘で自由奔放な女性に変わっていき…。一度は悪霊にも思えた彼女を追いだした譲治ですが、執着は独占欲となり、彼自身が彼女から離れられなくなるのです。譲治にとってナオミは悪女でしょうか?自分好みに育て上げようとして裏切られた?いえ、譲治自身がナオミがそうなることを望んでいたのではありませんか?あなたは調教されたかった。ナオミの前に跪きたかった。愚かなことが幸せなのです。…谷崎の描く女は本当に瑞々しく妖艶です。
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大正13年の作品とは思えない。異常性愛を描いた現代にも通じる古典的作品。
日本文学史に日本文学史に残る作品の一つであろう作品。内容があまりに現代風なのには驚き。一部の言葉の他、全然設定を現代にしても通用しそうに思う。
若い女の子を自分の理想に育てる。光源氏と若紫の頃から男の夢というか潜在的な願望があるのかも。
主人公がナオミの魅力に耽溺していく過程がサスペンス調に楽しめる。
日本人は昭和20年を境に戦前と戦後を分ける傾向があるが、本作を読むと連続した流れがありさほど変わってはいないように思う。それとも大正のエログロナンセンスが偶然に現代に近かっただけなのか。大正という幻想的な時代。
それにしても女性、特に肌の描写のなんと艶かしいことか。「細雪」も読んだことがあるが、筆者妄想力は凄まじいものがある。作家になっていなければただの助平オジさんだったかもしれない。「雪国」の川端康成にも同様に思ったことがある。
時代を超えて変わらぬ普遍的な内容の小説。主人公がナオミの魅力に取り憑かれたように、一度読み始めると止まりませんでした。
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何を思って高校生の頃読んだのか正直思い出せないのですが、ものすごく苛々しつつも最後まで読みきったので、そこが谷崎のすごさかな、と思わなくもないです。
ナオミみたいにはなりたくないけど(笑)自由奔放に振る舞って生きていけるのは羨ましいところですね。ナオミより譲二のどうにもならなさの方が気になる
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優しい人はいてもいなくてもいいらしい。
ナオミのような女になりたい。
美しく、奔放で、可愛らしく、我儘で、愛おしく、傲慢で、他人を惹き付けて止まない、離れたくても決して離れられない、そんな唯一の女になりたい。
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細雪でも思ったが女性を書くことがとても上手く、魅力的に見える所が素晴らしいと思ったし魅力的に見えるからこそ惹き付けられる人達の感情に違和感を感じなかった。
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最後の教訓が全てを物語っている気がした。
読み分には、何でこんなにナオミに狂わされるのだろうか?とも思ったが、男女問わず気付けばこんな状態になってしまうものなんだと思ってしまう。
恋は盲目って事がよく分かる。
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昔の小説なのに読みやすくて驚いた
ナオミよりも河合さんに腹が立ちつつ、時間をかけて読了
ナオミのように自由奔放な女性は生きるのが楽なのだろうか?
千束町出身だからという表記があったが、血は争えないのか…
思い通りに人生を進めるためには強引さと周りが引いてしまうくらいの自信が必要なのかもなと思った
家を出て行った後にナオミの肌が西洋人のような白さだったと書いてあったけどあれは成長によって西洋の血が濃くなったのか
それとも偽装が上手くなった(化粧?)のかが気になったまま終わってしまった
誰かに振り回されたくなったらまた読もうと思う
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今風に言うと、どSビッチとマゾ男のヤンデレ調教日誌。
ナオミが魅力的なのは分かった、、、でも傷が浅いうちに逃げるべきだと思うし、主人公を唯一心配していた少年の友情に近い絆がなんだか虚しく感じた。