国際政治における主要国の政略、狙いと行動を理解するために
2008/01/19 17:07
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
国際政治における主要国の政略、狙いと行動を理解するために、地政学を知ることの必要性が、最初に述べられる。現在の日本では忌避されている地政学とは何か、何処の誰によって提唱され、発展してきたか、その歴史の概要が解説される。地政学におけるハートランドとリムランドの覇権闘争という概念から、近代列強国の国際政治における行動と、戦争の原因が明らかになること示す。それに続く大半は、ナポレオン戦争からイラク戦争後のテロ戦争にいたる、現代戦争史ともいえる。各戦争の特徴と戦勝国指導者の問題点、その結果として次の戦争が起こり、その戦争の内容が前の戦争とはいかに異なるか、が語られる。そしてクラヴィッツの戦争論やリデルハートの戦略論の主張と現代の戦争の内容に、どのような相違が生じているか、を示す。最後に日本をとりまく地政学上の観点から、いかなる脅威が想定されるかを提示する。
戦争というものを一切考えず頭から追い出し、平和を唱えていれば、戦争は起こらず日本は安全である、いうような暗黙の雰囲気が日本人にはある。しかし、現実の国際政治は今も地政学の概念に基づき動いている。日本の安全と国際平和の現実を考えるためには、地政学や戦争学にも通じていないと、いつどんな事態になるかも分からない。特に指導的立場にある政治家には必要な知識で、戦争に巻き込まれないように、思わぬ事態に備えて学んでおいて欲しいものである。
「筆者は戦争を推奨するために、戦争を学べと主張しているのではない。知らないことがもっとも危険であるといいたいのだ。ただ恐ろしいからと頭を下げているだけでは、国益を掠め取られるし、もっと大きな戦争に直面することを歴史は教えている。いやがらずに戦争を勉強し、戦争を知れば、戦わずして国益を損なわない途は必ず見つけられると思うのである。」
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地政学を根幹にして、ナポレオンから2度の大戦、現在の情勢について分かりやすく説明してあります。
前半は地政学の概論、成り立ちを実際の歴史と照らし合わせながら説明されます。
後半からは実際の戦争を地政学の観点から掘り下げ、21世紀の情勢を分析しています。
特に著者は日本で地政学が学ばれなくなった事に警鐘を鳴らしている。国際関係で優位な立場を築き、リードしていく為に地政学を学ぶ事を説いています。
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戦争にまつわる戦術・戦略などを学術的な視点から述べられていました。あまり興味を持てなかったので途中までしか読んでいません。
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--07/1/28 (Sunday) 107/100 日曜
修論研究がひと段落見え始めたためか(まあ、まだだが)、
少したがが緩んで、活字中毒になりつつある。
というわけで、今まで黒野耐「『戦争学』入門」を読んでいた。
地政学的視点、あるいは必要悪としての「軍事」を学ぶこともないので、なかなか読みごたえがあった。
さて、書類作成と解析を始めるか。。
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ナポレオン戦争の頃から近代のイラク・テロ戦争までの戦争の移り変わりを解説。
地政学に基づき大戦略がかわり、同盟国・敵国がかわり
技術的進歩に伴って戦い方が変わっていく。
戦争そのものの意味すらも戦争のたびに変わってきていることがわかる。
時代にそって戦争学的視点を養った後、
最終章では日本を取り巻く東アジアの現状を紐解く。
まさに今までにないほどの緊張状態。
核を持たず、武力を持たず。
さらには防衛費用を削減する。
そんな日本でも立ち向かうべきなのにヘコヘコ頭を下げているという状況。
軍をもたなければ戦争なんて起こらないなんて誰が言った。
周辺各国はそんなことは言いやしない。
一度始まれば日本なんて混乱しているうちにめちゃめちゃでしょう。
戦争をするための本ではない。
戦争を知るための本。
皆、この本をもってして戦争を学ぶべき。
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政治の延長、あるいは一つの手段としての戦争。これまでに行われてきた戦略や戦術の解説は、国家の損得を中心に説明されているのでわかりやすい。
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[ 内容 ]
「愚かな戦争」は「愚かな政治家」が起こす!
日本軍の敗因を前著『参謀本部と陸軍大学校』で喝破した著者が、戦史から導いた「戦争回避」の原理。
[ 目次 ]
第1講 地政学と大戦略
第2講 二一世紀への地政学
第3講 ナポレオン戦争とクラウゼヴィッツ
第4講 第一次世界大戦とリデルハート
第5講 第二次世界大戦と絶対戦争
第6講 核の恐怖下の戦争―冷戦
第7講 冷戦下の制限戦争とゲリラ戦
第8講 二つの新しい戦争―イラク戦争
第9講 アジア太平洋の戦争学
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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地政学の視点から、軍事戦略を論じた書。
地政学から現在の戦争までつながる視点をもてたのがよかった。
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読みやすく分かりやすい本。
日本って大丈夫なのかなぁと思ってしまう。
結局のところ、戦略が見えない国なのだなぁ。悲しい。
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ランドパワーのソ連とシーパワーのアメリカが冷戦期には対立していた。
国民国家を基礎とするアメリカと、統合された欧州は疎遠になりつつある。国際政治の重心はアジアに移ろうとしている。現在でもアメリカでは国家安全保障戦略の基礎に地政学が脈々と流れているのである。
戦争の開始を決定し、方向付け、好機を逃すことなく戦争を終結する主体は政治でなければならない。
アメリカが編成したハイテク軍はITを用いたネットワークにより情報を戦力化し、精密誘導技術により迅速かつ精密な打撃を加え、テンポの差によって的を圧倒し、少ない犠牲で勝利を獲得することができる。
ハイテク戦争の影には旧来の諜報活動や特殊部隊による隠密作戦の支援があった。
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前半で地政学の解説を行い、後半で世界の戦争と政治がどのように絡んでくるのかに迫っていくという内容。戦争を通して国家戦略のあり方を考えてみたいという方や、地政学に初めて触れる人向けです。
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マッキンダーのハートランド理論、マハンのシーパワー理論、スパイクマンのリムランド理論、ラッツェルの生存権論、チェレンの経済自足論、ハウスホーファーのパンリージョン理論、冷戦中、冷戦後の地政学とまず地政学の話から。そしてフリードリヒ大王の制限戦争からナポレオンの絶対戦争にいたって生まれたクラウゼヴィッツの戦争論、第一次大戦で生まれたリデルハートやフラーの機甲戦論、冷戦期に生まれたマクナマラの相互確証破壊戦略やゲリラ戦や制限戦争、テロとの戦い、といった感じで、特に近代以降の地政学や戦略論に重点を置いて紹介。
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クラウゼヴィッツ以来の戦争論、マッキンゼー、マハン等の地政学の歴史的展開についてまとめられた本で、概要を知るには役立つ。
筆者の言う、戦争を避けるために戦争を知るべきだ、という考えは賛同できる。
ただし、筆者は自衛隊OBということもあってか、日米同盟一択、集団的自衛権賛成、国防費削減反対等と、自衛隊よりの論調である点は、留意が必要。
最後の部分で、「政治」の決断を求めているが、上記の論調に沿った結論ありきの感がある。できれば、財政悪化、高齢化という日本固有の制約も踏まえた検討が欲しかったと思う。
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地政学という学問自体の存在が日本ではなかなか知られておらず、その点で地政学の啓蒙的な書籍は歓迎されるものと思われる。
伝統的な地政学の理屈を紹介し、それをもとに世界大戦、冷戦、テロリズムなど現代の戦争について理論の通用する部分および状況が著しく変わった点(世界大戦では戦車と航空機の登場、冷戦では核兵器の存在や、21世紀ではテロリズムという新たな敵)を詳説している。
これらをもとに、今後の日本のとるべき方策を考えてみるとよいかもしれない。
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地政学とはなんであるかということから始まり、近現代における各国の紛争がどのような意図に基づいて行なわれていたかを検証する。その上で出版当時の状況を踏まえ、今後の世界予測まで見据えた内容。紙幅の関係上、もう少し突っ込んで知りたい部分も出てくるが、初学者が、一通り「軍事」畑出身の著者のような視点で、世界を見てみるには、丁度良い分量ではないかと思う。気になった内容は、巻末の参考書リストを手掛かりとし、より知見を深めていけばよいと思う。