読割 50
電子書籍
リトル・バイ・リトル
著者 島本理生
ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。家族は、母、小学校2年生の異父妹の女3人。習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、二番目の父――。「家...
リトル・バイ・リトル
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リトル・バイ・リトル (講談社文庫)
商品説明
ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。家族は、母、小学校2年生の異父妹の女3人。習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、二番目の父――。「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、わずかずつ輪郭を帯びてゆく青春を描いた、第25回野間文芸新人賞受賞作。
目次
- リトル・バイ・リトル
- あとがき
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紙の本
少しずつ、少しずつ
2006/06/22 21:29
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よし - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつか読んでみたい作家でした。
母と父親が違う妹ユウと3人で暮らす、橘ふみ。実の父は行方不明。大学を受験する時、母が2度目の離婚をしたことにより、大学進学を1年先に延ばし、アルバイトの生活を送っている。そんなふみの前に市倉周が現われる。
ふみの生活が淡々と描かれていきます。3人家族の生活もほほえましい。
彼女の環境は決して明るいものではない。
しかし、暗さは微塵もない。自分が置かれている状況を悲観することもなく、ただ少しずつ進んでいくだけ。
一人の青年の周の出会いが少しずつふみを変えていきます。今までに感じなかった包み込むような優しさと温かさ。それは父親に恵まれなかったふみにとってはまるで父親のように。彼との愛も少しずつ、少しずつ前進していきます。
書道の先生、柳さんの奥さんが亡くなって、ふみとの会話。
結婚する前にひとつの約束をした。「自分より長くいきてくれ」それが奥さんの願い。
柳さんはそれ以来、健康オタクになって、約束を果たした。
「どんな言葉にも言ってしまうと魂が宿るんだよ」
ふみはどんなことも言葉に出していえない。今までの生活がふみにそうさせている。
そんなふみを見つめる周のまなざしは本当に優しい。
明るい小説にしようと思っていた。「困難な状況に対抗できる手段は明るさ」と島本さんはあとがきに書いています。
そんな思いがいっぱい詰まった作品です。
少しずつ、少しずつ進んでいこう。笑いながら。
本当に前向きになれる小説です。おすすめです。
電子書籍
よくリサーチされた作品
2017/01/07 02:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しん - この投稿者のレビュー一覧を見る
重いテーマなのに、スラスラ読めました。いきなり本題から切り込むのではなく、ママ友さんやご近所さんとの付き合いでよく見られる、身近な問題から始めたのも良かったと思います。一つ一つの場面のつながりが自然でした。あと、何気ない文章で、「うわぁ、この一文のために、作者はきっと膨大な量のリサーチをしたんだろうな」と感じる箇所があり、物語を受け入れることが出来ました。デビュー作は衝撃的で新鮮でも、その後失速する作家の方が多い中、本作の作者は逆のパターンだと思います。
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ゆるくて淡い感じ
2021/08/01 10:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
特に大きな事件が発生するわけではなく、日常生活のエピソードを淡々と描いた、ゆるくて淡い感じの作品である。文書のスタイルもやや類型的で特徴がないがその分とても読みやすい。ただ周の描き方がどうにもこなれていない感じがして、違和感 唐突感が拭えなかった。随分若書きの作品とのことでそれなりに納得した。