読割 50
電子書籍
告白の余白
著者 下村敦史
「京女の言うことは、言葉どおりに受け取ったほうが幸せえ?」家を出た兄が実家の農地の生前贈与を求めて突然帰ってきた。しかし、「2月末までに清水京子という女性が来たら土地を譲...
告白の余白
告白の余白
商品説明
「京女の言うことは、言葉どおりに受け取ったほうが幸せえ?」家を出た兄が実家の農地の生前贈与を求めて突然帰ってきた。しかし、「2月末までに清水京子という女性が来たら土地を譲渡してほしい」という遺書を記し自殺。兄はなぜ死んだのか。そして、女は何者なのか。期限の意味は。死の真相を知るため、弟の英二は一人京都へ向かうがーーそこは老舗女将、京美人、狡猾な老職人など曲者渦巻く町。腹黒、嫌味、皮肉が飛び交う町が真実を覆い隠し謎は深まるばかり……。会話すべてが伏線!一人一人の“本音”を見過ごすことなく、あなたは真相に辿り着けるか。大注目の乱歩賞作家が「言葉」に罠を仕掛けるノンストップミステリ。次々と表裏、黒白、真偽が逆転。最後の1ページまで気が抜けない!
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
京都人めんどくせええぇぇぇ
2017/05/12 00:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
> あら、あんさんのことめんどいなんて言うてまへんえ。
> いややわあ。あんさんがほんまもんの京の人なんて当然やと
> 思うてるけど。この本に出てくるキョート人が、よそさんの
> イメージを演じていてめんどい言うてるだけやん。
> でも、気い悪うしたらかんにんな。
えー、この作品っぽくまとめてみました。
どうでしょう温かいですか、それとも嫌味ですか。
言葉の調子や表情でも意味は変わるから、文章だけでは難しいと
思いますが。こんな感じの言葉遊びをトリックに組み入れ、上品に
オトナ向け仕様にした作品です。
トリックが個性的なので、読み手を選ぶかもしれませんね。
京都には漠然とした憧れがあります。
学校の授業で習う歴史・文化で、いつも中心的な役割を
担っているから、自然とそんな感情が生まれるのでしょう。
最近TVなどで県民性が注目されるようになり、いろいろな県が
取りあげられていますが、そこで知ったのはかなり意外な
京都人気質です。知らなかったなあ、ああ怖い、京都人の
知り合いはいなかったかなあと心配してしまうほどです。
この作品は、そんな京都人あるあるを、これでもかと誇張して
心理トリックに応用した一冊なのです。
高知の実家に、双子の兄の英一が帰ってきました。四年ぶりです。
根っからの自由人で、農業なんかいやだと飛び出し、弟の英二が
継ぐことになっていました。それなのに、生前贈与で田んぼを
半分くれと言いに来たのです。
いま贈与しないと、将来の相続時にもめて農地の納税猶予を
受けられなくなるぞと。しかも贈与されたら売却も考えると
いうのです。
農地が減ったら農業が続けられなくなるという父の言葉に、英二は
詰まります。すべて贈与されたら土地に縛られることになります。
自由に飛び回る兄に心のどこかで憧れ、英二の口から
こんな言葉が出てしまいます。
「……兄貴にも相続の権利あるき、仕方ないろう?」
これで決まりです。土地が生前贈与されることになりました。
ところが手続きが終わるやいなや、兄は納屋で首を吊って
しまいました。いったい何が。そこに弁護士が現れます。
兄の遺書には、その土地を譲りたい女性の名前がありました。
京都祇園の和菓子屋の娘、清水京子といいます。
納得のいかない英二は、兄の死の理由を知るべく京都に
向かいます。
京都で兄の英一に間違われたことを利用し、いろいろと
探ろうとするのですが、京子をはじめ出会う京都人すべてに
翻弄されっぱなしです。
黒と言ったはずなのに言葉の意味は白だとか、
裏事情を考えるとやっぱり黒の意味だとか。
黒白、黒白をくり返し続けるうち、あーっもう、分かった分かった、
グレーでいいからもう、そんな言葉が頭に浮かんできます。
> あら、おおきに。
そんな一冊です(どんなだ