紙の本
守り人シリーズ、大団円に向けて
2008/12/08 14:33
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:菊理媛 - この投稿者のレビュー一覧を見る
天と地の守り人 第一部
「この作者の作品が、一番好きだ!」と、上橋菜穂子作品を読み終えたとき必ず思う。とはいえ、薄情なもので、他の作者の本を読んでいるときは、あっさり忘れて、その時読んでいる本に肩入れしていたりもするのだけれど。
上橋菜穂子の作品は、総じて全身をすっぽりと包み込んでくれるほどの深みがある。読んでいるとき、読者は俯瞰して物語を楽しんでいる身ではなく、どっぷりと作品の世界にはまりこみ、登場人物に憑依して物語の進行に身をゆだねざるを得ないような一体感で、喜びも悲しみも、痛みも癒しも体感するのだ。
主役が女性用心棒であるあたりがすでに珍しいが、その女性が実はお姫様であったり、絶世の美女というわけでもない。アニメではかなり美人で若く描かれていたが、本の中では三十路の短槍使いの女性としか表現されていない。その主役、バルサと不遇の太子チャグムの馴れ初めで始まった「守り人」シリーズ。この人気シリーズの説明は、今さらなので必要もないだろう。
本作品は、守り人シリーズに、(当時は幼かった)皇太子チャグムを主役として派生した別流「旅人」シリーズが合流し、シリーズの集大成として壮大な物語となっている。
個人の意志などではどうにもならないかのような、国と国との攻防のはざ間で、己の力なさを骨身の真まで思い知らされながらも、歯を食いしばって愛する故国のため、民のために自分のできることを成し遂げようとするチャグム。「精霊の守り人」で登場した、守られるばかりだった少年が、ここまで成長したのかと思うと、読んでいるこちらも感慨深いものがある。まして、バルサはどう思うだろうと考えるに、雛が翼の下から飛び立ってしまったような寂しさもあるのだろうなと旧知の友の心情を探るかのようにしみじみ思ってしまう。
ちょうどこの本を読み終える2日前に、「天と地の守り人 第二部」が届いた。早く続きを読みたくてうずうずしてはいるのだが、せめて第三部の発売予告が出るまでは、「お預け!」と自分に禁を課した。そうでもしないと、第三部が待ちきれなくて、禁断症状を起こすだろうと本気で思うからだ。
幼い自分を守るために命をかけてくれたバルサ。青年となったチャグムは、そのバルサに再び自分のために危険に身をさらして欲しいと、自らはとても言えないし、言いたくはないのだ。そんなチャグムを頼もしく思いながらも、わが子のことのように放っておけないバルサ。自分の知らないところでチャグムが危険にさらされるよりは、自分の体を張ってでもチャグムを守る方が気が休まるのだろう。缶バルへ向かうチャグムに随行を買って出た時、拒否しようとするチャグムに「私のことは私が決めるよ」と言い放つバルサ。バルサに再開できて嬉しいのは事実、ともに来て欲しいのも事実。それでも今の自分には、バルサのその行為に報いられる何も無い。その上、今回の道行きの危険度は前回の否ではない。
成長したチャグムは、それがわかるゆえに、バルサに自分とともに来て欲しいとはとても言えなかったのだろう。けれど、やはりバルサはともに行くのだ。「守り人シリーズ」の主役である短槍使いのバルサは、やはり「守り人」なのだから。
守る女槍使いバルサ。守られる運命の皇太子チャグム。バルサが帰る故郷はタンダ。シリーズでお馴染みのメンバーも、それぞれ自分の持ち場で危険と隣り合わせに頑張っている。みんながみんな頑張っているから、読者も必死に付いていこうという気持ちで、上橋ワールドの存亡を守り、旅するのだ。
電子書籍
全てのものがたりが一つに
2017/01/25 10:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:黄色い刀 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今までのバルサ・チャグムその他の多くの人々の物語が今ひとつの流れに繋がっていきます。
チャグムをはじめ、登場人物たちの成長した姿に胸が熱くなります。
紙の本
一気に読めます。
2016/10/05 21:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:eri - この投稿者のレビュー一覧を見る
ついつい一気に読んでしまう物語です。こういう人間だ、と一言では済ませることのない人々の描き方に圧倒されます。
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前作『蒼路の旅人』で海を隔てた南の強国タルシュ帝国に捕虜として捕らわれ、その野望を知った新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは、タルシュ帝国から新ヨゴ皇国に送り返される途上、ある思いを抱いて船から海に身を投げ、行方知れずとなる。
本作『天と地の守り人 第一部』では、チャグムはタルシュ帝国の捕虜になる前に戦死したことになっており、新ヨゴ皇国ではすでに葬儀も行われている。
女用心棒バルサは、彼女あてに託された手紙を受け取り、チャグムが死んでいないことを知り、チャグムを探すため、ロタ王国に向かう。
チャグム探しの旅の中で、バルサにもチャグムを取り巻く複雑な国と国との駆け引き、国の中での主導権争いなどが少しずつ明らかになっていく。
バルサはチャグムを探し出すことができるのか…?
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待ってました!!
やっと発売☆☆☆
コレ。。。今までの登場人物フル出場な予感です!!
チャグム。。。男前になってるし!!
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守り人シリーズ最終三部作の第一部。
一つの映画を見ているようなスケールで、どんな場所でも思わずのめりこんで読めてしまうのが、この作品の魅力。
アニメで知ったこの作品も、いよいよ終盤戦にさしかかり、今まで出てきた国々が一つの大きな国の脅威にさらされ始めた。
一度は生死不明だったチャグムの手がかりを得たバルサは、再びチャグムを救うべくその足跡をたどるのだが、なかなかたどりつかないと同時に、不穏な政情が耳につくようになってくる。今後、二人は再開することができるのか、そして、タンダなどバルサをめぐる人々の運命は・・・。
走り出した第一部、全部で三部作の長編となるので、じっくり楽しみたい。
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(……ずいぶん、大人になったんだなぁ。)
頭の中ではわかっていたつもりでも、実感できていなかった歳月の長さが、あの便りを読んでいるうちに、くっきりと心にせまってきた。
十一歳のチャグムを、ふいに背負いこんでしまったあのときは、命を守ることだけを考えればよかった。
だが、十六になったチャグムをとりまいているのは、複雑で巨大な、国と国とのかけひきの渦だ。それに……、
(チャグムは、そのことをちゃんと知っている。自分がどんな道を歩いているのか、わかって歩いている。)
チャグムはもう、為政者となる道から逃げようとはしていない。皇太子になるのがいやで、宮の暮らしがいやで、いっしょに旅をしたいといっていた、あのころの少年ではないのだ。
ふっと、ヒュウゴの言葉が耳によみがえってきた。
――あの方には幸せになってほしい。だけど、きっと、もう、あの方自身、そういう暮らしを夢みてはおられないんじゃないかな……。
(本文p260-261)
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探し人、大きな戦争、これからの行方
最終章・・・まだまだ続いていて欲しかったよ(T_T)
ランクは3部作合わせてのもの。
このシリーズは私の中で1番なのです(^ω^)
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守り人シリーズも残り僅かですね。
今回の巻は、蒼路の旅人から続く、バルサ視点の物語です。
蒼路で行方不明になっていたチャグムを追いかけて、ロタを旅するバルサでございます。35という年齢もあって、だいぶバルサもくたびれてますね。
本人も年を感じているような描写がございますが、まだまだお強いw
何度か怪我をしたりしつつも、何とか苦難を乗り越えていますね。チャグムの出番はほっとんどありませんでした。
一応最後に再会しておりますがw
新ヨゴはどんどんと立場的に滅びに向かっております。
タンダどうなるんだろうなぁ。
あと2冊で終了ですし、きっとハッピーエンドで終わるんだろうな、とは思いますが、続きが気になりますね。
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あいかわらず面白い!!
守り人シリーズと旅人シリーズがここで合体します!!
チャグムとバルサ両方観れる面白さ★そしてタンダが・・・
こんな世の中には絶対したくないと感じますよ
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良かった! とにかく良かった!! 全巻読み通してみて、あまりにも陳腐な感想だけど、今は良かった!という以上の言葉が見つかりません・・・・ ^^; この作品を読んでいる間の没頭の仕方と言い、世界観に対する共感と言い、KiKi のこれまでの読書の No.1 だった「指環物語」とあっさり肩を並べてくれちゃいました。
3巻という膨大な物語の感想をこんなチャチなブログの1日の記録に書けるものではありません。 でもチャグムの成長も、バルサとタンダの結末も(ちょっぴり胸が痛いこともあるけれど)、トロガイの活躍も、シュガの立ち回りも全てが彼ららしい生き方で「うんうん、そうだよね。 ○○は絶対こうでなくちゃ!」と頷ける、ものすごい大河ドラマでした。
(全文はブログにて)
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[ 内容 ]
行方不明の新ヨゴ皇国皇太子チャグム。
チャグムを追ってひとりロタ王国へむかう女用心棒バルサ。
壮大な物語の最終章『天と地の守り人』三部作の第一部。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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2010.08.23読了
結局、蒼路読んだら続き気になって文庫断念して買ってしまいました。
しかし、悔いなし!
再びバルサとチャグム会えて良かった!
あとがきの通りに、この話が書きながら出来て行ったんだとしたら、上橋さん、スゴイ通り越して恐ろしい!
それくらい綿密で、でも自然で、心の琴線に優しく触れてくる物語。
第二部一気に読むぞ!
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守り人シリーズも大詰め。
前作で、新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは、好戦的なタルシュ帝国の虜囚となった。
皇太子が海で死んだという噂に、苦しむバルサのもとへ、思わぬ使者が訪れる。
新ヨゴ皇国は1年前から鎖国に入っていた。
チャグムを助けられるのは自由に動けるバルサだけというジンの手紙の内容に、チャグムを探して旅をするバルサ。
一方、あちこちで天候の変動が起き、タンダとトロガイは様子を探っていた。
ナユグに春が来て、あちらの川が増水、その影響がこの世界にも重なって起きている…?
とうとう村に徴兵が来て、タンダも軍に加わることに。
チャグムはひそかにロタ王国に潜入、同盟の道を探っていた。
ようやくロタのイーハン王子に会うが、故国では死んだとされているチャグムに同盟を結ぶ力はない。
カンバル王と結んではどうかとイーハンに持ちかけるバルサ。
バルサは雪の中、チャグムの足跡を追う。
危機一髪、ついに再会する二人に涙。
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これの1個前のがまだ図書館から来ないので、仕方なしに1個とばしで読んでみた。ちょっとくやしい。
これまでの話の総集編的な感じで、今までの登場人物やら場所やらがぜーんぶ出てくる。
これまで以上にしんどく重苦しい描写多い。
でもやっぱり読みやすくてあっという間に読み終わってもうた。