電子書籍
ゆれる
著者 西川美和
「ディア・ドクター」「夢売るふたり」「永い言い訳」など、濃密な人間関係を題材に作品を生み出し続けてきた映画監督・西川美和氏の小説処女作田舎を嫌って都会に出た奔放な弟・猛と...
ゆれる
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ゆれる (文春文庫)
商品説明
「ディア・ドクター」「夢売るふたり」「永い言い訳」など、
濃密な人間関係を題材に作品を生み出し続けてきた映画監督・西川美和氏の小説処女作
田舎を嫌って都会に出た奔放な弟・猛と、田舎に残り実家を継いだ実直な兄。
対照的な二人の関係が、幼馴染みの女性の死をきっかけに、大きく揺らぎはじめる……。
2006年に公開され数々の映画賞を受賞した同名映画を監督自らが初めて小説化。
文学の世界でも第20回三島由紀夫賞の候補になるなど、大きな評価を受けた。解説・梯久美子
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紙の本
心の機微を映像と文章で紡ぐ
2012/08/26 23:18
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もじやん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品の登場人物は誰もが感情を押し殺し、心の底に澱を沈め、その澱を誰にも告白できないまま生きている。しかし作品全体が救いようもないほど暗いのかと言うとそうでもなく、田舎の緑が醸し出すような独特の清浄感というか、透明感に包まれているような印象を受けた。
物語は登場人物1人づつに分けて、それぞれの心象風景として描かれていくので、人物の感情の機微や、次第に心の波紋が広がっていく感覚を深いところまで味わうことができる。同じ時、同じ現場に立っていた時に、各人が感じていた心の微妙なすれ違いがこの作品の魅力の1つなのではないか。
あらかじめ劇場版を観ていたので、書店で本書を手にした時は敢えて読むのもどうかと思ったのだが、作品を読み終えてみて充分満足していることに気づいた。映画と小説のそれぞれでしか表現しえない心の機微を、同じ作者の手によって再構築していく感覚は、作者の表現したい世界まで可能な限り近づけるし、今までに得たことのない新しい表現感覚を楽しめた。
エキサイティングな場面は皆無だが、読んだ後で少しづつ波紋が広がっていくような、どこか忘れられない強い印象を読者の心に残す作品。自分は名作だと思う。
紙の本
小説だけでも素晴らしい
2023/06/30 15:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまを - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画やドラマのノベライズって、説明過多なことが多くて好きではないのですが、さすが西川美和さん!こちらは「読む」ことに合わせた構成になっていて、文学作品として楽しめました。
紙の本
強い独占欲・嫉妬・確執が生々しい
2023/06/08 16:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
故郷を棄てて成功した弟と、黙って地味な家業を継いだ兄と、その家業を手伝う幼馴染の女性の関係性が事故をきっかけに大きく揺らぐ。強い独占欲・嫉妬・確執が見え隠れして、家族のかたちを保つことに腐心してきた兄が拘置所で「お前に何がわかる」と弟に激昂するシーンが怖い。
兄は家業を中心とした箱庭で我慢を重ねつつ幼馴染の女性に惹かれている。幼馴染の女性は兄の下で働く一方で、田舎の小さな世界で埋もれていくことにある種の怯えがあって、だからこそ故郷を棄てた弟にずっと惹かれている。じゃあ弟は何を見ているのか―兄を見ているような見てないような。難しい感情。
よくある恋愛感情を軸とした三角関係じゃなくて、この「誰も自分を認めてくれる存在に出会えずに、望まない環境(家庭・社会etc)で歳を重ねていく鬱屈した怖さ」みたいなものが読んでるうちにじわじわ身に染みてくる感じが良い意味で嫌な重さを演出してると思う。ストーリーよりもこの生々しさが印象的。
紙の本
入り込めなかった
2016/09/29 20:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DnDn - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画の方は未視聴です。
暗い話だというのはわかって読んだのですが、なんか入り込めなかったです。
それが何故なのかよくわからないのですが、あえて言うなら読む前に期待し過ぎたのかな……。
ただ、それでもラストシーンに少しうるっと来た。
あと、「ゆれる」というタイトルはかなり秀逸だと思う。