紙の本
それはどうですかね?
2021/11/15 17:48
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
いろんな書物から日本人の昔の姿を紹介する。昔はよかったといわれるが、弱者に対して現代に負けるとも劣らない残虐な犯罪が存在した。
といっても現代の犯罪の残虐性は戦争もなく平和な世の中におきており、子供が子供を殺す事件もは発生している。また借金を持つ女性を風俗産業に売買する等の犯罪も根強くある。
一方、身分階級がはっきりしていた平安時代の犯罪では貧しい民が生き抜くために発生した事件が多い。鎌倉・室町・安土桃山時代では戦があり、人身売買はざらにあった出来事である。これも不安定な世の中のが原因とも思える。少なくとも大きな犯罪ではなかったようです。
比較はし難いのですが、罪に対して規定されている法律がある現代の方が、やっぱり酷かったと思う。小中高大と勉強している人が多いし、社会からの支援も満足とは言えないが、それなりにもあるわけですから。ちょっと納得できなかったです。
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美談ばかりに触れていては見方が偏るので、こういう露悪的な視点も必要。そうは思うものの、読んでいて気分の良い本ではなかった。実際のところ、各時代・各地域で虐待や暴力などがどのくらいの頻度であったかなんてわからないし。
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言われてみればその通りだが、ちゃんと言われないと認識できないもの。読んでてもそりゃそうだ。となって納得感がある。昔話を現代語のニュースで報じたような分析があって面白い。こうやってキチンと分析してもらわないと、虐待やハラスメントを素通りして古典を読んでる自分達が、日本文化の集大成であるなら恐ろしい。
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<目次>
はじめに
第1章 捨て子、育児放棄満載の社会~昔もあった大阪二児餓死事件
第2章 昔もあった電車内ベビーカー的論争~「夜泣きがうるさい」と子を捨てるようなシングルマザーに迫る村人たち
第3章 虐待天国江戸時代~伝統的「貧困ビジネス」の実態
第4章 本当はもろかった昔の「家族」~虐待の連鎖も描かれていた「東海道四谷怪談」
第5章 マタハラと呼ぶにはあまりに残酷な「妊婦いじめ」
第6章 毒親だらけの近松もの
第7章 昔もあった介護地獄から舌切り雀の実態
第8章 昔もあったブラック企業~リアル奴隷の悲惨な日々
第9章 昔もいた?角田美代子~家族同士の殺戮という究極の残酷
第10章 いにしえのストーカー殺人に学ぶ傾向と対策
第11章 若者はいつだって残酷~「英雄」か「キレやすい若者」か
第12章 心の病は近代文明病にあらず
第13章 動物虐待は日常茶飯~そして極端なペット愛好
第14章 究極の見た目社会だった平安中期
第15章 昔から、金の世の中
<内容>
2014年刊の単行本の文庫化。大塚ひかりさんは、古典を解釈するだけでなく、現代の世の中に反映させることに長けている。なので、こうした人が先生なら、「古典」の授業はとても役に立つ(役に立つだけじゃダメなのかな?)。そして、現在世相をバッサッと斬ってくれる。例えば、平安中期(摂関政治の貴族文化全盛期ですね)は、「見た目が90%」どころか、100%だった可能性が。もしも美容整形の技術がこの時代にあったら、現代の韓国社会顔負けの「美容整形」ブームだったかも。また、ブラック企業はいつの時代もあったとか、介護地獄やストーカーや心の病も現代特有のものではない、と読み解く。ときどき世の論者と言われる人たちが、訳知り顔で「現代社会特有の~」と言っているが、人間いつまでも変わらない生き方をしているんだ。「絆」と言ったって、昔から「ひきこもり」はいたし、「少年犯罪」は残酷だったし、何も変わりはなかった…。安心すべきか、対策もないな、と諦念すべきか…
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貧しければそれこそ耐え難い多くの悲しみがある。しかし豊かさのなかにも、根の深い不幸というものが生まれる。人間は時代も人種も宗教も超えて、総じて同じようなものだし簡単には変わることなどできない。
本書では多くの古典から現代に起きた事件に似た事例現代を挙げ、あえて日本の恥部・暗部をとして紹介している。学校の古典の授業では絶対出てこない記述、解釈なので、古典や昔の風習に関しての知識が学生時代に仕入れたきりの人が読んでみたら結構ショッキングなのかもしれない。
これによると育児放棄、離婚問題、いじめ、自殺、殺人……おおよそ現代人が起こしている事件というものは、すでに昔から起こっている事件に類似していることが多いとわかる。過去の事件の背景と真相を読み解けば、現代特有であるかに見える社会の病理もそうでないと知ることができ、かつ、同じ事件、同じ悲劇を繰り返さないよう対処法を考えることができるのではないだろうか。
簡単に変わることができないと書いたが、それでも社会も、福祉も、道徳も、先人の苦しみから少しずつ学び、向上しているはずだから。
なお、私としては昭和初期の新聞を読んでみることをおすすめする。社会面などに載っている事件をみると、大体今と同じ内容で驚くことと思う。
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昔は良かったという嘆きを覆してくれる、昔はもっと酷かったという話。古典に書かれた実証であるが、ひどい話に暗さはなく、さばけた語り口が良い。古典に興味が湧いてくる入門書でもある。2018.4.22
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人間のモラルは、時代が進むにつれて、良い方に進歩していくと。どこかで聞いたことがあるけども……。
たかだか1500年ぽっちでは、人間の良しあしなぞ、変わらないのでは……とさせられた一冊。
古典の入門としても最適か。
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<目次>
はじめに
第1章 捨て子、育児放棄満載の社会~昔もあった大阪二児餓死事件
第2章 昔もあった電車内ベビーカー的論争~「夜泣きがうるさい」と子を捨てるようなシングルマザーに迫る村人たち
第3章 虐待天国江戸時代~伝統的「貧困ビジネス」の実態
第4章 本当はもろかった昔の「家族」~虐待の連鎖も描かれていた「東海道四谷怪談」
第5章 マタハラと呼ぶにはあまりに残酷な「妊婦いじめ」
第6章 毒親だらけの近松もの
第7章 昔もあった介護地獄から舌切り雀の実態
第8章 昔もあったブラック企業~リアル奴隷の悲惨な日々
第9章 昔もいた?角田美代子~家族同士の殺戮という究極の残酷
第10章 いにしえのストーカー殺人に学ぶ傾向と対策
第11章 若者はいつだって残酷~「英雄」か「キレやすい若者」か
第12章 心の病は近代文明病にあらず
第13章 動物虐待は日常茶飯~そして極端なペット愛好
第14章 究極の見た目社会だった平安中期
第15章 昔から、金の世の中
貴族と比較して、庶民。
わざわざ書き記されているのだから、残酷が一般的な証拠というのには留保必要。
また庶民、武家、江戸庶民、地域差、時代差で留保をつけず古典の庶民はというのは言い過ぎ。
親孝行第一主義の浸透、仏教間の浸透もグラデーションだろうし。
とはいえエピソードの面白さは間違いない。
またこういう見方は「古典に生きる」ひとつのやりかただ。
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捨て子ネグレクト満載、夜泣きがうるさいと子を捨てるよう迫る村人たち、伝統的貧困ビジネス、家族の虐待の連鎖、妊婦イジメ、独親だらけ、介護地獄、ブラック企業、家族同士の殺戮、ストーカー殺人、残酷な若者、心の病、動物虐待、見た目社会、金。
昔は良かった、のイメージだけの昔を、リアルに教えてもらいました。子供向けのお話、などではかなりソフィスティケートされていたのですね。
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とかく、昔はよかったと(特にお年寄りー読み手も含む笑)口にしてしまう人々に、著者は古典を解説しながら、そんなことはありませんと、解き明かす。
『古事記』から始まり、『日本霊異記』『宇治拾遺物語』、果ては『枕草子』『源氏物語』まで、日本の古典を渉猟し、原文と現代語訳を並列してくれる。
そして、育児放棄や児童人身売買、ストーカー殺人や動物虐待の話など、古典にも記されており、けっして現代だけの事件ではなく、いずれも昔からあった出来事で、昔のほうがむしろ残酷だったと、著者は明かす。
それにしても、巻末に掲げられた主要参考文献の膨大さには、圧倒されてしまう。
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立ち読みし、ついつい衝動買い。
週刊誌と言えば、大衆受けするゴシップを拾っては、それを求める娯楽好き向けに書かれるのだが、ネタは世俗から。この本も同様、まるで週刊誌のようなネタ構成。ストーカー殺人、子殺し、マタハラ、人身売買。面白いのは、ネタが古典から。純粋な古典好きな作者は、齢50過ぎの美人。見れば、他に、「本当はエロかった昔の日本」という本も。ああ、そっちだったかと恥知らず、興味はもはや違う向き。買う買わぬも、待ち時間15分程度の決断。約束にエロかったっという本を持参するのも憚れ、否、結果こちらを衝動買い。
中国は残虐だったとか、西洋は非情だとか、日本は違ったという論調もあるが、この本を読めば、別に日本だけが特別ではない事がわかる。人の習性など、然程変わるものではないのかもしれない。一つ言えるのは、我々は現代の常識で生きているという事。これは逆説的だが、今の方が住み良いという事も、また違うだろうという事だ。ただ、法華経でいう美醜の因果や戦国の世であった事、乳幼児の死亡率の高さ、避妊技術の問題などが、価値観を形成したのだろう。そう読むと、尚、私には面白い一冊となった。
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生類憐みの令で、「捨て病人」が禁止されたと聞いてビックリ。じゃあそれまでって…
( ̄∀ ̄)
古今東西、現代日本よりラリホーな地はない、ということで、明日も頑張ろう。
軽い読み物の体裁を取っている割に、巻末の参考資料は古文・漢文に同種の文献・サイト、とすごく充実しています。
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古典文学を、残虐性という面から抜き出して、昔の日本人の価値観や習慣が現代と比べていかにひどかったのかを記述した一冊。 ”昔は良かった”という論調に対して、”そんなことはない、昔の方が今よりずっとひどかった”という主張となっている。
残虐性という性質上、なかなか学校では詳しく扱えないという事情からか、知らないことがたくさんあり、内容が新鮮で面白かった。本書内で著者も述べている通り、現代人のやった程度の事、思いつく限りの残虐な行為というものは、とっくの昔に誰かがやっているものである。
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「昔はよかった」に一石を投じるべく産まれた本、らしいのだが、本当にそうだとするとあまりにも安直。そもそも頭空っぽの大人が思考回路を通さずに口にする「昔はよかった」が示す"昔"というのは、殆どが頭の中で勝手に美化している彼らの過去の時代のことであって、決して何百年も遡るような古典ではないはずだし、仮にそうだったとしても、環境も価値観も習慣も常識も全く違う現代と過去を比べて、捨て子や虐待の件数がどうの拷問の残虐さがどうのと説き、だから現代に生きる我々は幸福だ!と結ぶのはあまりにもナンセンス。現代に生きる苦しみは現代に生きる我々にしか解さないし、逆もまた然り。「昔はよかった」「近頃の〇〇は〜」に始まる文句は確かに不愉快だが、あらゆる時代で口の端にのぼる言葉ならば、もう殆どひねくれた年寄りの様式美だろう。
上記のような視点で読むと大変に苛々するが、単純に知見を広げるという意味ならば、古典は実に面白いと思った(折々「だから現在は幸せだね」視点が出てくるのを丸っと無視すればの話)。特に興味深かった点を下記に。
・親をなにより尊ぶ儒教思想と、現世の幸不幸は前世の善悪業の報いであるという仏教思想の強い影響。子供の立場の弱さ、虐待されても親を欠片も恨まない小林一茶、美醜が重要な価値観だった平安中期。
・学生の頃は害悪だとしか思えなかった「生類憐れみの令」が捨て子や病人、動物(犬以外も)を守る画期的なものだったなんて、、、綱吉見直した。これは参考文献読みたい。
・いざというとき村を守るために、捨て子や乞食を養う合理的システム。
・「結婚して子どももたくさんできました。めでたしめでたし」は特権階級しか家族を持てない時代の究極のハッピーエンド。
・江戸時代における、一夫婦当たり育ち上がる子供数の全国平均は二人。ついでに言うと死別によらない離婚率が二〇〇〇年代のアメリカ並み。
・舌切り雀の原話は、同居する子や孫に馬鹿にされながら暮らす二人の老女が主人公。
・日本人の奴隷売買を禁じ、奴隷解放を求めた豊臣秀吉。
・「さんせう太夫」の拷問のエグさよ、、、
・奈良、平安、江戸時代も子供や身障者、老人の刑事罰は比較的軽かった。
・明治、大正時代の民間座敷牢を調査した「精神病者私宅監置の実況」。図書館にあるみたいだけど読む勇気ないな、、、
・孤児である夕顔をセックスの果てに死なせ、挙句その死を隠蔽する光源氏。一方で、美醜が前世の善悪業によるものとされる価値観の中であえて醜い末摘花を娶りもする。紫式部の突き抜けた発想。
・美しい娘だけでなく、美貌と聡明さを備えた女房を揃えることによって天皇の来訪を誘う平安時代の外戚政治が、清少納言や紫式部といった才能あふれる女達を産んだ。
・ニニギノ命は醜いイハナガヒメを拒んだため、「岩のように盤石な命」は得られなかった。
・「ブスを妻にすると戦死しない」「ブスは武運を高める」という考え方が武士の時代にあった。平安時代の反動じゃないの、、、?
・仏教伝来初期に、仏教を信じれば「金・米・女」が沢山手に入る、という逸話がなければピンとこなかった平安時代の日本人の性質は、神にも仏にも節操なく現世利益の祈りを捧げる現代日本人にも脈々と受け継がれている。
源氏物語は絶対に引用されるだろうなとは思っていたけど、後半になるにつれ頻出度が上がって、しかも面白かったので、小学四年生時に相応のものを読んで以来、改めて読破したいなと思った。著者訳の源氏物語があるみたいなので是非ともそれを読みたい!と思う程度には面白い本でした。
■捨て子、育児放棄満載の社会
■昔もあった電車内ベビーカー的論争
■虐待天国江戸時代
■本当はもろかった昔の「家族」
■マタハラと呼ぶにはあまりに残酷な「妊婦いじめ」
■毒親だらけの近松もの
■昔もあった介護地獄
■昔もあったブラック企業
■昔もいた?角田美代子
■いにしえのストーカー殺人に学ぶ傾向と対策
■若者はいつだって残酷
■心の病は近代文明病にあらず
■動物虐待は日常茶飯
■究極の見た目社会だった平安中期
■昔から、金の世の中
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まあまあ、興味深い読書ではあった。
自分は、教育勅語に代表されるような体制迎合優等生的な儒教道徳へのアンチテーゼとして読んだのだが。
結果として、古典文学に日本人の残酷さが沢山見出されるんだなーと感心した。
ただ、古典文学だけをワラント(こんきょ)にしたクレーム(主張)は、理論的には弱い。
逆に、近現代の話です統計などを引用している部分は、実証的です面白い。
コンセプト上上記のような弱点が不可避ではあろうけど、もう少し他の資料にあたるなりなんなり、根拠面を補強してもよかったのではないか。
一々そんな文句をつけるのは野暮か?