紙の本
選んだ先にしか未来はない
2015/09/16 09:47
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
管理局対策室室長の浦地正宗の両親は、咲良田の能力を管理するために、当時少年だった加賀谷の能力によって礎となった。ゆえに能力を忌避する浦地は、岡絵里の能力によって未来視の相麻菫に能力の使い方を忘れさせ、宇川沙々音に能力の暴走を演出させ、管理局に咲良田中の能力者に能力の存在を忘れさせるという最終手段を了承させることに成功した。
しかし、その未来には、浅井恵のそばに春埼美空の姿はなく、代わりに明るく快活な相麻菫がいた。記憶を失うことのないケイのそばに、リセット能力を持つ春埼を置くことを浦地が嫌ったのだ。
春埼美空を取り戻すために元通りの世界にすると言うことは、自分がスワンプマンではないかと苦しむ相麻菫に戻すと言うことでもある。だがそれでも、ケイは自分のために、咲良田に能力を取り戻そうと決意する。
能力をコピーする坂上央介や声を届ける中野智樹、対象を消し去る村瀬陽香や猫と意思疎通ができる野ノ尾盛夏らの能力を組み合わせ、そして敵方の人物すら取り込むことで、より理想的な世界を作り出そうとするケイ。だがそのためには、彼自身の意思で、再び相麻菫を傷つけなければならない。誰よりもケイのために生きた彼女を再び傷つけることでしか成し遂げられない未来。それなのにその未来で、ケイは彼女が本当に望むことを与えることすら出来ないのだ。それはどんなに残酷なことだろう。
だがやはり、人の感情を無視することは出来ないし、思い通りの未来が手に入るわけでもない。より理想に近い形を求めて努力し続け、少しでも犠牲を減らそうとすることが、人間に許された限界なのかもしれない。そのためには、自分を傷つけることすらためらわず突き進むのがヒーローの姿なのだと思う。
そんなヒーローの導く未来は、どこか切なく、しかし生きる意味のある世界だ。シリーズ堂々の完結。
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初の二人表紙にテンションあがったな~。
因みに自分的音声イメージ
津島…大川透 ケイ…福山潤、入野自由、豊永利行、櫻井孝宏、千葉進歩、保志(ブレラ風)宮野(梶葉風) 春埼…花澤香菜 宇川…渡辺明乃 チルチル…
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前半は前の巻から続く、咲良田に能力を残すか消すかの話で、後半は相麻菫と春埼美空の物語って感じでしたね。
いやー相麻ファンとしては、心からの幸せを願っていましたが、まあ落としどころとしては、こんなもんでしょうねー
ま、でも一応全員救われたと見て良いのでしょう。
本シリーズは女の子は確かに沢山出てくるけど、萌え方向なものは一切なくて、最後まである意味硬派なつくりで楽しめました。
古いけれど、NHKでやってたSFドラマみたいな感じかな。
作者様、本当にお疲れ様でした!
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サクラダリセット最終巻。
この本はライトノベルに、はまったキッカケでもあるので最終巻は読んでいて感慨深いものを感じた。
この本を読んで感じたことは、当たり前のことなんだけど物語がページをめくるたびに終わりに近づいていくなと言う事だった。何を当たり前のことをと思う方もいるかもしれないけど、本当に一つ一つの要素を順番に拾っていき読んでいる途中に「これはここに来るわけだ」とか納得しながら読んだ。なんだかパズルのような作品だったなと思う。
後書きにも書かれていたけど、この作品は現在のライトノベルの主流の要素をあまり取り入れていない。でもそれがこの作品のいいところを作っていると思う。少なくとも私は、今まで読んできたライトノベルの中でこの作品が一番好きだ。
この作品らしい終わり方だったと思う。挿絵の入れ方も今までに無い感じでとても良かった。
最後までこの作品を読めたことをうれしく思う
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ここまでくるのに長かった。
でも満足してる。最後までちゃんと読めてよかった。
最後の二人のイラストは本当に良かった。
ライトノベルがこういう作品をもっと増やせばいいのにな・・・
ありがとう。
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ああ、終わってしまった。読み終えた後にまず感じたのはどうしようもない寂しさだった。彼らの歩む道をもう少し眺めていたかったと思ってしまう。ケイはこれからもたくさん悲しんで傷みを負うのだろう。多くの幸せを願い、途方もない道を歩み続けるのだろう。でも彼は1人ではないからきっと大丈夫だ。彼の掌に収まらないものはきっと、春埼が、相麻が、周りの人たちがすくってくれる。この世の中に全てが正しいことなんて存在しない。それでもその間違いごと、抱き締められるものを信じ、できるだけ間違いを良いものにできるように努めながら、進んでいくのだろう。
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主人公無双の巻で最終巻
わかるけど、武力とかじゃなくて知力で無双するってのは
あまり見ないパターンである意味新鮮
落ちるところに所に落ちたかな、という思いと、それはそれとして
じつは解決してねーよな、という思いと結構複雑。
とはいえ、物語としては終わったのだろうね、という感じのエンディング。
キレイな物語、という評価が多いけど、伏線やらなにやら、過不足なく
キレイに消化した結果だと。
・・・それができない作家が増えてきたのが原因なのかね。
まあ、いい話でした。
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やはり物語の終わりは、楽しみでもあり、寂しくもある。ただ、「サクラダリセット」に出会えたことは、途方もなくありがたいことだった。
よく似ている二人。ちょっとだけ違う二人。それぞれの結論には、正しいも間違っているもない。ただ、一つ違うことは、ケイの結論のほうが高い次元にあるということだ。弁証法的に管理しようとしたのだ。
シリーズとして格好がいい。無駄なく、ブレずに、結末を向かえた。聖なる物語の結末を。読み返すごとにあちこちに散りばめられた物語のカギを見つけては楽しめる、素晴らしい作品でした。
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本巻を読み終わってからの最初の感想は、なんと無駄のない物語であるのかということでした。
無駄のないというのは、既刊を振り返った時に、キャラクターの行動が全てこの巻での行動に結びつくように構成されていることです。不必要な登場人物がほぼ登場しないというのはある意味恐ろしいです。
本作はケイからの視点を中心に展開しながら、最後の最後でようやっとケイの本質を理解するところまで、全てがケイの物語といえるでしょう。ケイの行動が人を動かし、この結末を迎えたのだと思います。
ライトノベル作品では、テーマや流れがぼやけてしまうケースも多いのですが、本作ほど一貫していた作品は最近では珍しいのではないでしょうか。
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彼らの能力やその根源となった想いというのは、欲望や願望と言うこともできるかもしれないけど、やはり祈りという言葉が一番しっくりきます。
大切な人のために、ただひたすらに純粋に祈り続けられる彼らは、やはり物語の主役足り得る強さや魅力に満ち溢れています。
なるべく濁りのないクリアな言葉を読者に届けようとする、初巻から一貫している作者の姿勢が非常に印象的で、
この作者の一読者で本当によかった、と思わせてくれました。
これからもできるだけ多くの言葉を私たちに語りかけて欲しいものです。
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サクラダリセット見事完結!
最初の数巻は雰囲気を楽しむ小説かなーと思いながら読んでたんだけど、相馬菫が蘇った頃から物語が大きく動いて、素敵な短編を挟んで最後は街の未来を決める怒涛の展開。
大変面白かったです。
この作品の魅力は、ひねくれながらもずっと春埼のことを思い続けるケイのキャラクターだよね。
分かりづらいけど、一途なキャラってやっぱイイわ。
分かりづらいといえば、何考えてるのかよく分からないのがヒロインの春埼。
でもこの娘もちゃんと成長してるんだね。
お似合いの二人だと思います。
そうなると可愛そうなのが相馬菫・・・俺が貰ってやんよ!←
無事完結ということで、河野先生の次回作も期待してます!
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河野裕『サクラダリセット』最終第7巻。
終わった。よかった。
しばらく余韻にひたれるほどに。
たしかに媒体としてはラノベなんだけど、テーマとその取り扱いの繊細さは、
ラノベ作家のなかでも群を抜いてるとあらためて思った。
細部の描写、わたしがいうincidentのような「ロマネスクのかけら」が存分に含まれていて、
それが生まれては消え、ストレートな物語の展開と、
登場人物たちの(悪く言えばありがちでテンプレートな)「テーマとの格闘」をリアルなものにする。
これは今日、Twitter副垢でちょっと書いたことに関係しているし、
自分が書き手としても追求したいことのひとつだったりする。
そしてそれだけが、結局のところ、
「当たり前なこと、だけど難しいこと」を正しく伝えるってことにつながるのだと思う。
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端正な美しい小説だった。それは物語がすべて結末に向かって見事に収束しているせいでもあるが、なによりも誠実に生きることを志すキャラクターたちをリリシズムな文章で描き上げていることが一番大きいと思う。
デビューから完結までは一気に駆け抜けて、この素敵な物語をプレゼントしてくれた作者に深く感謝する。
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果てしなく綺麗な、少年と少女の「祈り」の物語でした。
早く続きが読みたいけれど、読み終わりたくない。
そんな矛盾した気持ちを抱きながら、読み進めていました。
最終巻は一番分厚いですが、一番早く読み終わってしまったように思います。
咲良田の能力についての問題の結論と、ケイと春埼と相麻の関係への終止符がいかに打たれるかが気になって仕方がありませんでした。
ケイと浦地。二人は似ているけれど相容れない。
二人の思いの果てにあるのは常に優しさで、どちらが正しいとは決められない。そんな平行線からどう脱出するのか。
二人の心理戦にはページをめくる手が止まりませんでした。
そして、ついにケイと春埼と相麻の関係に終止符が打たれます。
どう足掻いてもケイの一番は春埼であるという事実は揺らがない。
それでも彼のために自らを傷つけてきた相麻菫の行く先は、幸せとは言いがたいけれど、きっと明るい未来があると祈っています。
長々としてしまいましたが、結論としては、この作品、作者に出会えて良かったという事です。
次回作も期待してます。
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ついにシリーズが完結した。待ち望んだようでいて、淋しくてしかたがない。
彼らの美しさはなんなのか。彼らの祈りはなんなのか。
傷ついて傷つけて傷つけられてそれでも祈る物語。優しさという我儘を、祈り続ける物語。
これほどまでにラノベらしくて、これほどまでにラノベでなくてはならない物語は他にはない。読み終えてなお、彼らへの愛おしさが胸をつく。
これは悲劇のハッピーエンド。
彼らの未来に幸あれ!