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精霊の木
地球の環境悪化でナイラ星に移住した人類。その子孫が、滅びたとされている先住民の謎に迫る。上橋菜穂子のデビュー作。精霊の守り人や鹿の王、獣の奏者などで知られる日本ハイファン...
精霊の木
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精霊の木
商品説明
地球の環境悪化でナイラ星に移住した人類。その子孫が、滅びたとされている先住民の謎に迫る。上橋菜穂子のデビュー作。精霊の守り人や鹿の王、獣の奏者などで知られる日本ハイファンタジーの第一人者、上橋菜穂子の記念すべきデビュー作。
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紙の本
SFで語る民族学。お話の中の「カギ」となるシーンが美しいのは嬉しい。
2009/03/13 22:32
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
地球人が移住した未来の星を舞台に、絶滅したといわれる民族の謎に主人公が巻き込まれる物語。著者のデビュー作はSFというのでちょっと興味がでて手にとってみたのですが、上橋菜穂子さんの作品はやっぱり楽しめました。
「守り人」シリーズにも通じる、「歴史の作られ方」というテーマをストレートに扱っている作品です。デビュー作にはすべてが詰まっている、とは確かによく言われることですが、この作品にも物語、歴史というもの、ものの見方、他民族との接触、生き方と、これ以後著者が扱ってきたたくさんのテーマが詰まっています。初期作品であって荒削りなだけ、テーマがむき出しでわかりやすい、ともいえるかもしれません。挿入されている「アメリカインディアン」の話も、テーマをわかりやすくしています。SFで民俗学を語る、という感じですね。
主人公たちが、サンドイッチを食べたり学校に通ったり、コンピュータを扱ったりする若者という設定も、同世代の読者には物語に入り込みやすいでしょう。テーマはかなり重いものですが、主人公の二人の元気と陽気がお話を明るくしてくれています。両親の世代も頑張っているのも嬉しいです。
過去の話が説明されていく手法も、わかりやすくて上手いと思いました。主人公が理解し、問題が形をとっていく過程が、読者が読んで背景を理解していくのと重なり、良いテンポで読ませてくれるのです。
「そのイメージが最初にあった」と著者がいう、老人が少女に歌を歌って聞かせる場面も、とても心にに残る情景でした。お話の中の「カギ」となるシーンが美しいのは嬉しいことです。著者の作品は、血が流れたり死んだりする場面があっても、こういうシーンがあるので全体がとても温かくまとまっている気がします。
滅ぼされてしまった異民族の末裔が今後どうなっていくのか、お話のその先、をいろいろと考えてしまう広がりのある終わり方もとても心に残りました。
再版あとがきでは著者が「いろいろ書き変えたかったがそのままにした」と述べています。「こんな風になったのでは」と想像してみるのも楽しいかも。
紙の本
復刊ばんざい!
2004/06/07 02:10
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちはる - この投稿者のレビュー一覧を見る
本業・文化人類学者の上橋菜穂子さんの文学作品には、異民族の移入によって圧迫され、文化摩擦の挙げ句に変質・消滅していく、原住民族の悲哀が底を流れています。この作品もその一つで、なんとSFです。今、地球人として少し根性を直しておかないと、遠い未来、よその星で、私達は加害者になってしまうかもしれないよ…。そんな裏メッセージを受け取ったと思うのは、私の気のせいでしょうか。文化人類学での著書「隣のアボリジニ」と併読すると、大変啓蒙されます。
お話としては、年頃の女の子が主人公で、一冊読み切りにまとまっていて、「月の森…」より明るい感じで、読みやすいです。中高生の特に女の子への上橋作品の紹介や導入に最適でしょう。
紙の本
アジアンハイファンタジーの旗手のデビュー作は何とSF
2008/12/27 17:09
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YO-SHI - この投稿者のレビュー一覧を見る
守り人シリーズで、圧倒的な感動巨編を紡いだ著者のデビュー作。本書は、再版を願う読者の声に応える形で復刊された新版。アジアンハイファンタジーという、どこか古代の香りが漂う作品群で知られる著者のデビュー作は、何とSFだった。しかし、文化人類学を学んでいた著者が、沖縄の信仰の場所でその核となる着想を得たというこの物語は、他のどの作品よりも著者らしい、その思いが現れた作品だった。
舞台は、環境破壊のため住めなくなった地球を出て人類が移住した星、ナイラ星。時代は、物語の中で、白人がネイティブアメリカンを迫害してから400年で地球が破滅、その後人類がナイラ星に移住してきてから200年、とあるから今から400年ほど後のことになるのだろう。そして、この星には知的な先住民がいたが約100年前に滅んでいる。
主人公は、14歳の少女リシアと、少し年上のいとこの少年シン。彼らの家系にはある秘密があり、その秘密に関連してリシアにある特殊な能力が発現する。彼らは政府によって幾重にも隠匿されてきた、この惑星への移住と先住民族の滅亡に関する陰謀に巻き込まれる。
そして、リシアの特殊能力は、100年前の出来事、さらには1000年前の出来事を一つに結びつけて、彼女は人々が1000年の間、脈々と受け継いできた希望の最後の一片となる。
なんという構想力だろう。偕成社のHPによると、著者は出版社に電話をかけて、この物語の原稿を読んでもらったそうだ。そんな経緯で作家デビューしたのには驚く。その時の担当の人が、この物語に目を留めたことに感謝する。でなければ、私は著者の作品に出会っていなかったかもしれないのだから。しかし、この物語自身にそれだけの力が宿っているのも間違いない。著者のファンならずとも、多くの皆さんにおススメだ。
紙の本
ありそうでなさそうな世界
2016/02/22 20:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふう - この投稿者のレビュー一覧を見る
小学生の時、守り人シリーズの次に手にした上橋さんの本がこの「精霊の木」でした。ファンタジーだけれど、空気や手触りが感じられて、どこか遠くの世界に本当にシンたちが暮らしているんじゃないか、と思ってしまいます。でも、どこにでもありそうな安っぽさとは無縁。知っているけれど初めて見る鮮やかな世界で、夢中になってシンとリシアと共に冒険していたことを覚えています。