紙の本
人の心の陰の描写
2017/01/24 20:34
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投稿者:えるべっく - この投稿者のレビュー一覧を見る
「コンビニ人間」「森に住む魚」と女性の作品を
続けて読んだが、この作品も負けずに完成度が高い。
常識から少し外れたところ、
人の心の隅っこにある陰、
はっきり説明できない妬み、
こんな心のグレー、ブルーな部分の
描写が素晴らしい。
最近、争い事を嫌い
きれいごとばかりで
過ごそうとする傾向があるが、
人生そんなもんじゃない。
そんな陰の描写が
じょうずだった。
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デビュー作から好きだなが募っていく。どんどん好きになっていく。恋かな。
今回の6つの短篇、どれもすごく好きで、どの作品も目頭熱くなってほろりとした。好きだなぁ。
いわゆる“こじれた”家族がテーマ。
出版社より
姉と絶縁中のOLと、ルームメイトの毒舌女子。怒りん坊の妻と、そんな彼女を愛しているけれど彼女のかぞくに興味を持てない画家の夫。バツイチのアラフォー男性と、妻に引き取られた娘。ほんとうの親子になりたい母親と、姉の忘れ形見の少女。同じ屋根の下で暮らす女ともだちや、ふたつきに一度だけ会う親子。家族というには遠すぎて、他人と呼ぶには近すぎる――単純なことばでは表せない現代的な"かぞく"の姿
とありますが、
個人的にとくに印象に残ったのは
姉と絶縁中のOLとルームメイトの毒舌女子の「プレパラートの瞬き」
バツイチのアラフォー男性と妻に引き取られた娘の「ウーパールーパーは笑わない」がすきです。
どれも好きだけどとくにウーパールーパーは好きかも。そしてどこかのアンソロで読んだ気がしなくもないのだけれど(気のせいかな)
次回作も楽しみです。
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正直笑えない悲しい家族の話を軽いタッチで書いているのでそんなに深刻に思えない。が、辛いこともそれぐらいの捉え方で生きていけばいいのかな。どれもこれも少しずつ関連していて、優しい関係の短編集
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6つの家族にまつわる連作短編集。
そこに暮らす人々の様子が活き活きと描かれている。奥田さんのセンスの良さにため息が出てしまう。
55ページ〈万悠子は何気ない顔で二枚目のポテトチップスを口に運んでいた。薄い骨を噛み砕くような音がした〉
ポテトチップスを噛み砕く音は、バリバリかな?
〈薄い骨を噛み砕くような音〉と表現してしまう奥田さん、すごい!
そして『さよなら、エバーグリーン』が秀逸。
どの物語の中にもキラリと光る箇所があり楽しく読了。次回作も待ち遠しい。
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奥田さんの作品は初めて読んだ。
表現、言葉がとてもキレイ。読み終わったあとに心に残った。図書館で借りて、気に入った本は買うことにしているが、この本は買おうと思う。
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淡々としていた。
けど、時々チクっと刺さったり、ゆるーく効く感じのいろんな家族の話。
家族と言っても様々…自分が娘だった家族を思い出したりしながら読んだ。
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初めて読んだ作家さんだが、この本ええわぁ。
ここんとこ、家族や恋人との日常を描く短編集。しかもそれぞれがユルやかにつながった世界みたいなんを続けて読んでるので(そういや、この本の前も「運転、見合わせ中」やったし)、やや食傷気味で読みだしたのだけど…
どれもこれも上手いわ。タイトルの付け方、目線の配り方、心理描写、なんというかシュッっと心に入ってくるアイソトニック飲料的な感じ。
全ての短編に共通するのがタイトルの通り「何かを失っている家族」っていうこと。その失ったものを探ったり、失ったものがあるからどうするか?みたいな若干のミステリー要素があるものの、本質は心理描写にシンクロして楽しむ物語ばかりで、そのシンクロさせ具合が絶妙なのである。
理想の家庭像…サザエさん、ちびまるこ、バカボン、野比家…そんなものがメジャー路線を走っていた時代は最早歴史の範ちゅう。今の時代にはああいうのはそぐわない。いや、あこがれはあっても、最早あのように生活できる時代ではないと言えばいいのか。あれらの昭和典型家庭から見ると、どの家庭も多かれ少なかれ歪を抱えているはずで(勿論、昭和の家庭も歪を抱えていたんだろうが)、じゃ歪な家庭は、ああいう平和な日常や心落ち着く幸せはないのだろうか?
あるはずである。この本は「歪であっても幸せな家族」を模索していく物語である。読めばきっと勇気がわくし、今日から何かがちょっと開ける予感もするんじゃないかなぁ
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初作家さん。
言葉の流れというか、選ぶ言葉が綺麗で、胸をちくちくと刺す痛い話も淡々としてる印象になり和らぐ気がする。
登場人物がほんの少しずつ、リンクしており次は誰のお話かなと読むのが楽しみだった。
柔らかくてあたたかいお話で、とても良い本だった。
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姉と絶縁中のOLと、ルームメイトの毒舌女子。怒りん坊の妻と、そんな彼女を愛しているけれど彼女のかぞくに興味を持てない画家の夫。バツイチのアラフォー男性と、妻に引き取られた娘。ほんとうの親子になりたい母親と、姉の忘れ形見の少女。同じ屋根の下で暮らす女ともだちや、ふたつきに一度だけ会う親子。家族というには遠すぎて、他人と呼ぶには近すぎる――単純なことばでは表せない現代的な"かぞく"の姿を、すばる文学賞受賞新鋭が切り取りました。瀧井朝世、豊崎由美、東えりかなど本読みたちが大絶賛! 紡がれるひと言ひと言が心を揺さぶる、感涙必至の短編集。
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「プレパラートの瞬き」 「指と筆が結ぶもの」 「ウーパールーパーは笑わない」 「さよなら、エバーグリーン」 「いちでもなく、さんでもなくて」 「アオシは世界を選べない」
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親子や姉妹や、伴侶の家族など、現家族、元家族などの、近いようでありながら、さほど近いとは言えないような、微妙な関係性が見事に描かれている。登場人物たちそれぞれが、自身の身の置き所を手探りしているような心許なさがあって、「家族」が在るものではなく、作り上げていくものだということがよくわかる。いろんな立場の人の思いが想像できて、なんだかしみじみとしてしまう一冊なのである。
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家族でも分かり合えなかったり、他人の方が自分のことを理解してくれたり。
家族ってどんな存在?親って何?
疑問に思わされた。
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奥田亜希子さんの小説は初めて読みます。
王様のブランチで朝井リョウさんがお勧めしていたので読んでみました。
家族にまつわる、ちょっと悲しい短編集、少しずつほかの編にも関係しています。
読みやすく淡々と読み終えてしまった。
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奥田さんの書く文章が好きだ!
初めて読んだ作家さんなのに、すごく好きなことに気付いて、「あれ?もともと好きだったんだっけ?」と他の作品をチェックしたけれど、読んだ覚えがなかった。それくらい衝撃だった。
内容は、なんてことない日常のなかに、ちょっとビックリする要素が入るくらいなんだけれど、描かれる人々の雰囲気が、ほんのり温かくて、ゆったりしていて、言葉にできない気持ちよさがある。
短編集の主役はそれぞれ違うのだけれど、登場人物の一人が別の章では主役になっていたりして、ちょっとした繋がりが嬉しかった。
一番好きな登場人物は万悠子かな。その前の章で出てきたときは嫌な上司なのかな?と思っていたけれど、サッパリした性格とその雰囲気がすごく好きだった。
最後の章のアオシも可愛かったけれど。こんなこと思ってるはずないのに、その行動ってそうだったの、なんて。ああ、ホント犬って可愛い。
他の作品も読んでみます。
出会えてよかったー。
最後に思わず引用した一文。
「私は言葉と感情のあいだに距離がない人に弱い」
私も弱い!ずるい!
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家族にまつわる短編6集。
どれも柔らかく優しい文章だった。
その直前に読んだ本に出てきた「玲音(れのん)」という名前が、この本の1作目にも「玲音(れいん)」と出てきて、同じ漢字・読み違いの偶然に驚いた。
あと、ウーパールーパーの幼体・成体の話が衝撃的で、両生類や爬虫類死ぬ程苦手なのに気になり過ぎてウーパールーパーの成体を検索してしまった……結果、めちゃくちゃ後悔した。
この著者の他の作品も読んでみたい。
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子どもの頃から親に、
ネガティブな発言はいけないと教えられて育った人がいる。
同じように、不平不満ばかり聞かされて育った人もいる。
それはもう自分の力ではどうしようもなく
身についてしまった習慣で、
主人公たちはそのことで悩んだり苦しんだりするのだけれど
それって、考えてみたら全ての人・全てのことに言えることなんだろうな。
挨拶の仕方、親戚との付き合い方、食事の仕方から職業観まで
家族の影響を受けずにいられるなんてことは不可能なのだから。
血の繋がりがあるとかないとか、好きとか嫌いとか関係なく関わり合ってしまうのが家族なら
それを抱えたまま生きて行くのが自分らしさなのかもしれない。
ファミリー・レス、素敵な物語でした。
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家族になりきれない家族。犬目線の話は無条件で好き。短編集だけどちょこちょこ前の話に出て来た人が出てくるのもおもしろい。