あしながおじさんを読んで
2024/06/05 10:26
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投稿者:恋子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
あしながおじさんが面白かったので、ペンドルトン夫妻のその後の様子が知りたくて読みました。
初めあらすじを読んだ時、何でジュディが行かないのかな?と疑問に思ったのですが、最後に種明かしがあってほっこりしました。
内容は反発する2人が惹かれあっていくというラブコメの定石で、安心して読めます。
最後は怒涛の展開で一気読みです。
サリーの社交性と人脈で優しい人の和が広がっていく様子に暖かい気持ちになりました。
今後はジュディ達も加わって賑やかに楽しく暮らすんだろうなぁと想像できて、幸せな気分になりました。
もう続編が無いのがとっても残念です。
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あしながおじさんで脇役だったサリー マックブライドが、主人公。
あしながおじさんは少女の頃胸キュンしながら何度も読んだ作品だったので、続編が、あるならもっと早く知りたかった!文庫の表紙も挿絵も可愛い。
まだ途中ですが、もう一度あしながおじさんも読みたくなってきました。同
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「あしながおじさん」続編。ジュディの大学の同級生サリー・マクブライトが、ジュディの要請でジョン・グリア―孤児院の院長に就任。
サリーが、お金をガンガン突っ込んで改革を進めていくのが爽快。そもそも、お金がないというより、お金をかけるべきではないという偏見がネックだったんだよな。全部の施策がそんなうまくいくかな?とはちょっと思うけど、子供がすぐには変わらないということも承知して気長に付き合っているのがえらい。
恋愛にも仕事にも、すごく正直かつ論理的に向き合って、もともと優秀で恵まれているがゆえに自分の行動に自信があるというか、ためらいがなくて、自分の力でさくさく状況を変えていくのがかっこいい。
障害者に関しての言及は、システマティックな管理に偏っており、本人たちの人権や人格を軽視しているようにも見えるが、現代も、建前だけ平等を謳って社会参画させても、制度や周囲の意識が成熟していなくて結果的に差別が残っているのを考えると、偉そうなことは言えない。
優生学が普通に受け入れられていてぎょっとするが、前提となる知識や常識の古さはともかく、考え方はとても論理的なんだよな。倫理面も、現代から見るとやや多様性の視点が欠けているものの、不当な差別意識はないし。
里親候補との交渉をそれなりにシビアにやっていて好感。しかし、ていの良い働き手としてではなく普通にかわいがるつもりだったとしても、できるだけ条件の良い子供を求めるというのは、善意とエゴが共存していて、複雑。
男が「男らしい頭脳を持っている」というのを褒め言葉だと思っている、と揶揄するの、現代でも全然あるな…100年前にも既にそういう問題意識があったのか。
ベッツィを常勤として雇用することに関してワイコフが反対したときの議論「慈善事業だからタダにすべき」→「営利事業だと報酬がもらえて、公共事業だともらえないということ?」→「ご婦人なんだから家族が扶養すべきだ」ワイコフの主張に筋が通っていなさすぎて笑える。
7月に、サンディに悪口を聞かれた際、「恋人に疑われたからわざと大げさに言ってしまっただけ」と弁解しなかった時点で、既にサンディのことを友達以上に思っていたということだよな~。
ヘレンの離婚話、現代でもそんな理由で~と言われることが多いのに、100年前、しかもキリスト教圏と考えるとすごい。
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続編があるなんて知らなかった。
前作同様、手紙のみで構成されている。今度は、ジョン・グリアー孤児院を任されたサリーから、ジュディ夫婦や政治家の彼氏ゴードンや、共に働くものの「敵どの」と呼ぶ医師マクレイに宛てた手紙。
孤児院の院長なんて最初はまったく乗り気じゃなかったのに、とにかくやれることはやろうとし、また子供たちにも向き合おうとするサリーの姿勢に驚かされる。サリー自身も徐々に覚悟ができたのか、途中でジュディたちが交代要員を送ろうとした時には、そんなひどい人には任せられない、「サリー・マクブライドに優る院長を見つけてくださるまで、何があろうとここからびくとも動きません。」ですって!
その後いっそう仕事に精力的に取り組む様子がつづられる一方で、ゴードンとの関係にはらはらさせられる。婚約までこぎつけたあたりでこれはいったいどういう着地点に向かうのだろう?と思い始め・・・、
た、ところで大事件が起こる。もう残りページ少ないのに!そこから怒涛の大展開。人々の善意や、勇気や、情愛が大波のようにやってきて、すべてを整えて物語は終わる。
原題「Dear Enemy」に、読後にやり・・・。
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もうとにかく愛しくって大好きな本!
この読み終わった後のときめきをうまく言葉にできなくて悲しいけれど、とにかく、初めは前作に比べてサリーが主人公なのなんで!ジュディ!って思ってたし、あんまり入り込めなさそうって思ってたけど、いつの間にかサリーが大好きで、どんどん素敵になっていくジョン・グリアー孤児院が大好きで、サンディが大好きで、出てくる全ての登場人物が大好きになっていました!活き活きとした描写に、ジョン・グリアー孤児院の変化の全てを実際に見ているような気持ちになるくらい、映像として想像できて、本当一員になった気持ち。もっとサリーの改革をみたかった〜!物語すべてがサリーが書いた手紙でしかないのに、こんなにも素敵な物語になるのは何故なんだろう!ジーン・ウェブスターは素晴らしい作家です。あーもう大好き!
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とっても素敵な本だった。
タイトル通り、『あしながおじさん』の続編。
あとがきにて、原題が「Dear Enemy」と知る。
読み終わってから知ると、おお洒落てるってなるけど、
読む前から知ってたらだいぶネタバレかも。
『あしながおじさん』とは違って、大きく派手で衝撃的な事件が後半に起こるのが印象的。
おや、これは…?と思い始めてから、ページをめくる手が止まらなくなってしまった。
『あしながおじさん』はザ児童文学!ってかんじだけど、
これは児童文学にしては大人向けかも。高校生以上くらいかなあ、面白さが分かるのは、と思った。
旧訳の感想読むと「差別的すぎて云々〜」っていう意見が目立っていたけど、そんなに感じなかった。
新訳版ってことで、むちゃくちゃマイルドになってるのかな。
あとがきを読んで、少しほほう、となる。
作者のジーン本人も、妻子ある男性と恋愛関係にあったらしい。
39歳で亡くなったのね。生きていたらもっとたくさん文学を書いていたかもと思うと、とっても残念。
もっと読みたかった。
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大学卒業後、なんとなく社交生活を送っていたジュディの友人サリーは、ジュディの夫であり孤児院の評議会会長の元あしながおじさんジャービス氏から院長に指名され、孤児院の改革を依頼される。
あしながおじさんの続編ということだが、主人公は交代し全然違うタイプの物語になっている。サリーは初めはやる気もなく早くクビにしてくれとお願いしており、次が見つかるまでのつなぎのつもりでいたが、次第に仕事にやりがいを持ち、自分らしさを見出していくようになり最後は結婚より仕事を選ぶ。大卒の半人前女子がだんだん仕事ができるようになり一人前の社会人になっていく様子と重なりますね。遊びに来てくれた彼氏が目の前にいると楽しいけど、さよならして目の前からいなくなるとすっかり忘れて仕事にのめりこむというのがおもしろい。
あしながおじさんは地面に足がついてない感じが拭えない夢物語だが、こちらは現代にも通じる働く女子のリアルな物語。訳者あとがきに書いてあるが、若干著者が重なる部分もあるようで。
100年も前に書かれた物語で、当時の時代背景を示す描写がいくつか出てくる。孤児院でもらわれていく子供としての理想像は、アメリカ生まれアメリカ育ち、金髪で青い目のピンクのドレスが似合う女の子だとか、慈善事業に従事する者に報酬はいらないという考え方は、今でもそれほど違いはない本音のように感じる。
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100年前に書かれた作品として考えるに、女性の社会進出や仕事に対する価値観を快活な主人公を通して描くことにより、当時の女性達の励みになったであろうと想像する、とても先進的なお話と感じます。それを抜きにしても快活で放らつな主人公が自分の生きる価値観に目覚めていく成長の物語として、恋愛小説としても純粋に面白いです。主人公の人間的魅力、言いたい放題の展開は書簡体を取ることで実現するものと感じました。
ユーモアも満載です。例えば、ジュディ一家が汽船に乗っているイラストとその解説がシュールで笑えます。イラストは上手でなないにしても味わいがありますね。
遺伝に関する間違った解釈等、現代では受け入れられないびっくりするような表現が登場しますがあえて原文に拘り翻訳されたことに敬意を評したいです。
精神を病んでいる人をパートナーに持つ人との恋愛は作者の体験に基づくものなんですね。終盤の不可解な閉塞感から一気にラストの展開を作るためのご都合とはいえ、リアル感があります。
続あしながおじさんという題名、原題名とはかけ離れており、ふさわしくはないけれどこの題名だからこそ出会えたと思うとアリですね。
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少し前に読んだ「あしながおじさん」が良かったので続編も読んでみた。期待以上に面白かった。この続編のほうが好きなくらい。
主人公サリーは、前作の主人公ジュディの友人である快活な女性。孤児院を改革するため院長として働くことになる。彼女の奮闘と成長、恋を描く。全編がサリーのユーモアあふれる手紙で構成されている。孤児院改革のドタバタが目に浮かぶよう。手紙の宛先は7-8割がジュディ、残りがボーイフレンドの青年政治家ゴードンと孤児院の嘱託医マクレイ医師。無愛想で非友好的なマクレイ医師に対して「敵殿(Dear Enemy)」なんて書き出しで手紙を送ってしまうサリー。なんというユーモア。あっけらかんとしているというか根が明るいというか、いいキャラだ。100年前の小説なので、現在では医学的に否定されている遺伝関係の描写があるのだが、それでも物語としての面白さは変わらない。
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あしながおじさんの続編があると知って、購入。
こちらも胸のすく清々しい話だった。
あしながおじさんの主人公のジュディの友人、サリーの物語。
この時代のアメリカで、女性が社会にとってどんな存在で、それが目を覚ました女性にとってどれだけ息苦しいものであるかをサリーが成長しながら抗っていく。
現代の日本ではまだまだ闘っている女性が多いことを思うと、アメリカと日本では100年の差があるとまでは言わないが、50年は遅れていると思う。
ハッピーエンドはお約束。
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優生学というものが、いかに善意によって広く浸透していったものであるのかが伺える。(私の勤務校では、司書さんの判断で閉架図書にされていました。その判断は極めて適切であろうと思います。予備知識のない子供に読ませたくないのは確か)
文体は軽妙洒脱。本当に、本当に面白くて夢中になって読んでしまう。サリーは(前作ヒロインの)ジュディに負けず劣らず魅力的。
そのサリーが、「ロレッタの風邪に砒素を処方してくださいとお願いしたい誘惑に駆られています…あの子はカリカックです。このままそだてて、社会が面倒を見ざるを得ない三百七十八人の家系を創らせてやってよいものでしょうか?」と書く衝撃たるや。
(せめても、犯罪が遺伝するとするカリカック家の研究が、いまは否定されていることを同じページ中に注でつけて欲しい…)
20世紀初頭という時代を強く感じる作品です。良くも悪くも。そして、その時代と現代が明白に地続きであることも。
前作に続き女性の自立…教育を受けてものを知った女性が、政治参加や社会貢献に目覚めていく過程が一つのテーマになっている。
前作にあたる「あしながおじさん」で、主人公ジュディは「大作家」となる兆しを見せながらも、物語上は支援者である青年実業家ジャービスとの玉の輿婚というシンデレラストーリーに回収されてしまった。ヒーローの振る舞いは「ただしイケメンに限」り許されるとしか評しようのない独善的なものだ。
しかし本作では、一見ジャービスに勝るとも劣らない(しかし女性の社会貢献や使命をバカなことと言いすてる)青年政治家のゴードンと、サリーは破局に至る。そしてその破局はヒロイン、サリーによって「自分が自由で、一人で、自分自身の主人だと気づいた途端、喜ばしい安堵と解放感が広がりました!」と語られる。
20世紀初頭の、アメリカの上流から中流の家庭における女性の吸っていた空気が読み取れる。
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ジュディの級友、サリーが主役となる『あしながおしさん』続編。
ペンドルトン夫妻により孤児院の院長となったサリー。始めは辞めるのことばかりを考えていた彼女が仕事のやり甲斐、孤児たちへの愛情に芽生え、周りを巻き込んで孤児院の改革に尽力を尽くしていく。
お嬢様育ちのサリーが段々と逞しい女性へと成長していく様を見ていると不思議と勇気づけられる。
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書簡形式の本は、想像で埋める作業が楽しくてやはり好き。そして内容。あしながおじさんよりも好みかも。図書館で借りたが、購入して本棚に置きたい本。娘がいたら読ませたい。
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中学生で読んだときは「親愛なる敵さん」というタイトルだった気がする。ひさびさに読み返したく(新聞の読書面で読んだ、世界的な少女小説作家が書いた子ども向きじゃない別の顔、みたいな特集で思い出した)、新訳を買ってみた。ちょうど正編のほうも数年前に新潮文庫版で買っていたので。
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前作に続き書簡体でありながら、実にリアルに描かれた仕事と愛情と友情の物語。
ジュディの推薦で主人公のサリーが嫌々始めた孤児院の院長の仕事、それを手放せなくなるほど愛していく過程の感情豊かな手紙が、本当に一人の人間の生き様を準えているようで、読み終えてからもサリーの人生は続いていくのだと深く感じました。
著者であるジーンの人生経験がそのまま物語に生かされているようですが、サリーはどうか末永く幸せに暮らせますようにと願うばかりです。