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電子書籍
クワイン
著者 丹治信春 著
個々の命題は独立に確証されることはない、一つの集まりとしてのみ検証されるのだ――ホーリズムの立場から分析哲学に新たな地平を拓いたクワインの思考を、平易に丹念に解説。
クワイン
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クワイン ホーリズムの哲学 (平凡社ライブラリー)
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紙の本
待望の復刊!本書は最良の「クワイン」入門書であり、「分析哲学」の入門書でもある。
2009/10/13 10:59
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:反形而上学者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は「現代思想の冒険者たち(講談社)」シリーズの中でも多くの読者から復刊が待たれて本であり、こうして平凡社から復刊されることは、非常に意義のあることであると言えよう。
それほど本書は、クワインという英米哲学の巨匠をうまく紹介してくれている本だからこそ、こういうかたちで出版社を変えてでも復刊されたのだろう。
哲学というと、どしてもヨーロッパの大陸系哲学ばかりが有名で、とりわけアメリカの哲学といっても、中々イメージしにくいというのが実情ではないだろうか。
クワインは「分析哲学」という分野に分類されると思うが、その源流を辿っていくと古くはアリストテレスまで遡る。哲学の方法としては長年「論理学」をその中心に据えて、「論証」というかたちで、哲学思考の正否を追及してきた学問分野であり、そうした「分析哲学」の最新の成果が、「心の哲学」と呼ばれる「科学的成果」を大いに取り入れたものである。
クワインはその学生時代を決して恵まれた学内環境で過ごしてはいなかった。クワインが学んでいたハーバード大学では、当時あのホワイトヘッドやC・I・ルイスといった大御所がいたが、非常に残念なことにクワインが最も望んでいた「論理学教育・研究」はほとんど行われておらず、独学に近い形で、大学院の博士課程をたったの2年間で終えている。しかし、この時の孤独な努力が、「自らの哲学思考」の礎を築いた可能性が高い。
クワインの業績を一言で説明するのは、至難の技であろう。現代の「心の哲学」に至るまでの基礎を築いた張本人であると同時に、「論理学」における非常に重要な業績をいくつも残している。
本書はそんな分析哲学の巨匠「クワイン」についての最良の入門書であるばかりか、「分析哲学」の入門書にもなっているところが有り難い。
読者は本書を読む際に、特に「論理学」の基本知識もいらないであろう。それほど、著者である丹治信春氏によって、実に解りやすく書かれている。
多くの人に読んで欲しい、実に素晴らしい本と言えよう。