国政の在り方を考えさせられる良書
2018/08/21 21:58
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:j3 - この投稿者のレビュー一覧を見る
恥ずかしながら,国会はそもそも与党の出来レースだし,野党は反対ばかりしているというほどの認識しかありませんでした。この書籍も,国会史に残る大演説がどんなものだったのかな?という興味だけで購入しました。
が,今の国会(国政)がどのようになっているのか,一部の人物によって如何にねじ曲げられているのかが分かりやすく述べられています。加えて国会が,政治がどうあるべきかという枝野さんの政治哲学をここに見たという気がします。
このような演説があっても,いずれ数の暴挙は防げませんし,そのような状況下では与党党員には馬耳東風となるのでしょうけれど,国会議員一人ひとり,自分はかくあるべきかということを考えて頂きたいと感じました。
書中にはありませんが,反対すれば離反だと罰則を加えられる歪んだ挙党体制など,裏にある問題も見え隠れします。今の政権が続けば本当に日本の未来が失われるかも知れませんよ。
一気読みの憲政学
2018/10/27 22:25
5人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジロー - この投稿者のレビュー一覧を見る
メディアで話題になっていて、ぜひ読んでみたいと思っていたが、ついつい、他の本にも
目移りして、おそくなってしまった。しかし、読み始めてみると、単なる不信任に関する
文章ではなく。なんでも反対する野党。改憲に反対する立憲民主党。というような
誤解をもたされるような、情報操作(うがったかんがえかも)が、いつのまにか、有権者にすりこまれていたのかもしれない。
7つの罪は、保守化が強いといわれる若い有権者たちにどれだけつたわるのか。
この次代を担う層にできるだけこの本をよんで、まっとうな政治に関心を持つてもらいたい。
また、投票に行かないことで、不作為の抵抗だと信じてる政治に無関心でもないが、
おくさまランチやケーキ教室に忙しい奥さんがた、今、急速に所謂中流階級が崩壊
しつつあり「細かな説明はここでは省略させていただきます)、次の世代は、格差が相当ひろがって、自分たちは絶対いつも勝ち組よ。
と、現状で満足してると、日本企業の製品の信用力も低下しつつあり、一夜にして1部上場の大企業でも無慈悲な大リストラがあるかも。
こうなったら、子供をうそつき、忖度官僚に育てればお家は安泰かもしれない。
本書を読んで、義憤を感じない方はいないのではないでしょうか?
ほんとに、久々に一気に読破した名著だと思います。
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ほんの少しの草稿だけでこの演説をしたことに敬意を評します。近年とみに演説ができない自称政治家が目立つ中でこの演説は出色。
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議会制民主主義とは何か、法治国家とは何かという、国のあり方があまりにも軽んじられている状況にあって、まさに読むべき一冊。立憲は左だからイヤ、だけど安倍政治もなんかヘンだと思ってる人には、ぜひ読んで欲しい。別に立憲支持者とか関係なく、教科書的な意味で、モヤモヤ感がなくなると思う。ちなみに、枝野幸男こそ、まさにパークが言う保守ではないかしら。
変な誤字があったので、星一つ減らしたけど、内容的には星五つ。
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友人がおもしろいと貸してくれた
これを原稿なしで語ったと聞き、枝野さんの博識ぶりにまず驚いた
モリカケやその他の見せかけだけと取り繕った問題については知ることに対して嫌気がさしている自分もいたが、新しい情報もあり、また「保守」とは何か、理想の国会とはどうあるべきかとの考え方が興味深かった
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不信任案の趣旨説明にとどまらない内容盛りだくさん。与党審査とか野党の役割のあたり、多数決やシビリアンコントロールについての解説など、特に勉強になった。
中継の音声も聞いたけれど、解説つきの文字起こしを読むことでようやくわかった部分は多い。
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twitterでの絶賛コメントを見て、これは読んどかんと、と思って早速購入。実際的な対応の不誠実さからして、誰が出鱈目を言ってるかは考えるまでもないんだけど、たとえここに挙げられたいくつかが事実とは違っているとしても、ほんのひとつが当て嵌まるだけで不信任に十分値う。それにしても、これだけのことをされて、何とも思わない政治家諸氏って、どうなってるんだろう?嘘と言い逃れで塗り固められた安倍のことを、過半数が依然支持しているという国会に、恐怖すら覚えるのが普通の感覚じゃないのか?自分が入手した本書が既に第三版で、興味を示している人が少なからずいるという事実はひとつの救い。でも結局、もともと安倍に危機感を抱いている人が本書を紐解き、頑迷な頭には届かないんだろうなっていう、半ば諦めの気持ちも少なからず。本書の内容が、一人でも多くの心に届くことを願う。
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これはすべての国民が読むべきだろう。
民主主義とは、近代国家とは、立憲主義とは、何か。
近代以降のいまに生きる人すべてにとって重要な基本原則が語られている。
裏返せば、いかに現政権が、前近代的な手法で政権運営を行っているか、という話である。
支持者たちは、それをどう考えるのか?
この演説で指摘されている事項に、どう答えるのか?
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この本の内容は議事録から追える内容ではある。しかし注釈が付されており、読みやすい内容となっている。
もちろん野党の「あがき」であろう。しかし単なるフィリバスターに留まらず、今の与党の欠点を指摘し、かつ野党も提案を同時に行なっている。詭弁めいたところもあるが、痛快に「そうかもな」と思えるような内容になっている。
彼は「私は保守」という。奈良時代に賭博禁止令が出されたことを引き合いに、「明治からしか考えない政治家」に疑問を呈する。考えてみれば、女性の天皇、武士は頻繁に改姓していたなど、今からすれば時代背景は異なれど、「日本の伝統」はそこにも見いだせる。
また枝野代表の教養の高さ、論旨の明確さには驚かされる。いたずらに世論の味方ぶるのではなく、彼の矜持とうまく使い分けながら彼の政治観を語る。まさに反軍演説を行った、斎藤隆夫を思わせる。
でもフィリバスターだ!という意見はもちろんあろうが、こんなフィリバスターなら、大歓迎だ。
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国会中継を見る機会が増え、質問とはちぐはぐな答弁を見るにつけ、政治家の劣化を感じていたが、まさに時宜を得た演説であり、緊急出版であることが理解できる。政党政治の良さが失われ、烏合の集に近い数の集団になったいま、自浄作用は期待できない。政治家を選択する側の情報解釈力、本質把握力が高まらない限り、低レベルでの政治屋によるゲームは続く。騙しやはぐらかしのない、本当の意味での政策論争の高まりを切望する。
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もはや安倍政権の酷さをひとつひとつ確認したり、挙げ連ねれば、膨大な時間と労力がかかるし、精神衛生にも悪い。この枝野演説は、保守とは何かや、民主主義において多数決が使われる条件を丁寧に説明している点に読みどころがある。また、アベノミクスやカジノ法案の対案として自らの経済政策を提示している部分は、施政方針演説のようである。
保守の概念は、フランス革命を契機に発生した政治概念。保守の本質は、人間とは不完全な存在であるという謙虚な人間観に基づき、今生きている私たちの判断だけでは間違えることがあるから、人類が長年にわたって積み重ねてきた歴史に謙虚に向き合い、その英知を活かしながら、一歩ずつ世の中をよくしていくこと。保守反動という言葉があるが、保守と反動は相対立する概念。反対意見を封殺し、自分が正しい道を信じて邁進するのは、保守思想が否定した急進的な思想。
憲法とは、歴史とその中での苦難の中から先人たちが積み重ねてきたルールが結集されているものであり、社会の大前提となるべきルール、権力が従わなければならないルールである。
政治がやらなければならないこととして枝野があげるのは、第一に格差の是正。所得が大きいほど消費性向が低くなるため、格差が拡大すると消費が拡大しない。低所得の人たちの所得を底上げすれば、内需の拡大につながる。格差を是正することが、日本経済を立ち直らせる王道である。
次に大事なのは、高齢者の老後。高齢者が蓄えた貯蓄が、老後になってもほとんど使われていないのは、介護のサービスが不足していること、年金や医療などを含めた老後の不安が大きく、病気や介護が必要な状況になった時に残しておかないと心配だから。老後の安心を高めることが経済政策であり、景気対策である。
子どもを産み育てたいと希望する人たちがそれを実現できないのは、子育てと教育と雇用の3つの問題があるから。保育所は不足しており、教育費は増大している。教育の格差の是正や保育所の増設は、経済政策、景気対策である。従来型の大型公共事業と比べて、社会保障関連の投資の方が経済波及効果が大きいというデータも存在している。介護職員や保育士への賃金の底上げに集中的に財源を投資することこそが、経済に効果のある政策である。
民主主義において多数決という手段が使われているのは、多数の言っていることが正しいのではなく、熟議を繰り返した結果として、多数の意見であるならば、少数の意見の人たちも納得するから。多数決が少数の人たちを納得させる手段として正当性を持つためには、正しい情報が開示されなければならない。
巻末で枝野演説を解説する田中信一郎は、質疑時間が与党に多く配分されたことによって国会のチェック機能が弱体化している、働き方改革をめぐって、その必要性を裏付ける根拠に乏しい法案を提出した、政府が虚偽やはぐらかしなどの不誠実な答弁を繰り返した、政府が公文書の改ざんや隠ぺいを行ったとして、安倍政権は民主主義と立憲主義に挑戦し、与党議員も積極的に擁護してきたと評し、枝野が「憲政史上最悪の国会」と評していることを後ろ盾している。
過去の歴史に盲目であろうとしたり、排他的な発言をしたり、自分が正しいといった独善的な主張をする者が国民の代表になっている事態は、実に嘆かわしい。独善的、排他的主張で団結するのは、集団による陶酔感に浸っているに過ぎない。政治に求められているのは、支配ではなく統治である。失敗は、それを教訓にして変革につなげる機会になる。この最悪の政権を糧にして、政治が変わることを切に願う。
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枝野代表は、勝手な都合で自身の発言をコロコロ変えるし、掌も返す。
立憲をはじめとする特定野党の議論は、与党に対して常に挑発的で喧嘩腰な議論。
衆議院を今すぐ解散しろと言いながら、いざ解散したら、政権批判。
もちろん書かれてある内容、全てを否定するわけではないが
立憲民主党を始めとする特定野党は、この国をどうしたいのか、理念が全くと言って良いほど伝わって来ない。
立民は自分たちが政権時代に、野党だった自民から受けた仕打ちを、安倍政権にリベンジしているだけにしか見えない。
安倍政権も嫌いだが、立憲民主党はそれ以上に嫌いだと改めて思った(立憲議員の顔ぶれにも問題がある。)
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2018年7月20日。第196回国会の実質的な最終日に、それは
行われた。内閣総理大臣であった安倍晋三に対し、野党は共同で
内閣不信任案を提出し、野党第一党であった立憲民主党代表・枝野
幸男による不信任案決議の趣旨説明演説である。
記録が残る1972年以降、衆院最長記録となった2時間43分の演説を
文字として起こしたのが本書である。
私は当時、動画サイトで全部見たのだが、こうして文字に起こされた
ものを読むと、改めてその巧みさに驚かされる。
本書冒頭の「刊行の理由」でも触れられているが、議会制民主主義
とは何か、日本の議会制民主主義が安倍政権によりいかに破壊され
たか、が過不足なく述べられている。
自然災害が発生しているのに、国会審議よりも災害対応をという
野党の声を無視してカジノ法案の審議を優先させ、「ない」はず
の自衛隊の日報がひょっこり出て来たり、森友・加計学園問題が
持ち上がったり。
もうこれだけでも、内閣の2つや3つ、吹っ飛んでていても不思議じゃ
ないんだよね。
「定額働かせ放題」と揶揄された高度プロフェッショナル制度なんて、
厚労省のデータ自体が不正確なのに、それを下敷きにしてるんだから、
この制度自体の必要性が私にはまったく理解不能なんだわ。
TPPだってそうだよ。自民党が野党時代に「ウソつかない。TPP断固
反対。ブレない。」なんてポスター、作ってませんでしたか?
この約3時間に渡る演説が、要点を記したメモだけで行わていたことを
初めて知った。原稿棒読みしか出来ない政治家もいるって言うのにね。
アメリカ上院で行われたテッド・クルーズの21時間演説、バーニー・
サンダースの8時間30分演説には遠く及ばないものの、嘘や欺瞞で彩ら
れた安倍政権の、7つの大罪を網羅した枝野演説は名演説と呼んでも
いいと思う。
なんであんな政権が支持されたんだろう。今でも不思議だ。
あ…次の政権も安倍政権を継承するんだよね?また嘘やごまかし
てんこ盛りで、原稿棒読みですか、そうですか。