紙の本
犬を愛する
2018/05/02 09:42
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
異常なほど犬への終着を示す雑誌編集者の、突然の変身がユーモアたっぷりでした。動物から見た人間の滑稽さも伝わってきました。
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犬になったよ……!
展開が面白い……
でもきんしんそうかんやらなにやらちょっと苦手なの多かったー
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私は生まれてくる「種」を間違えたのだという考えを持つ女性が主人公。
作品紹介の「あの人の犬になりたい-」という文だけ読むとご主人様は男性かと思いきや女性。
人間のように損得勘定ナシで無償の愛をそそぎ合う関係に憧れているとの事。
「犬」として梓を愛し、愛されたいと切望し、正体不明のバーのマスター朱尾と魂の取引をして本当に犬になってしまう。
しかし、梓の飼い犬となり、梓と共に暮らしていくうちに異常な家族関係を知ってしまう…。
別に露骨な表現・言葉ででネチネチ書かれているという訳でもないのに兄との行為の場面や母親からの言葉など読むのが本当に辛かった。
下巻で救いがあってほしい。
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犬になってしまう設定はおもしろかったけど、家族の人間関係など重たいテーマを含んでいた。ファンタジーによりじっとりしたリアリティーが助長されているように感じた。
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幼少から、「犬になりたい」と強く切望していた房恵。
そんな彼女はひょんなことから玉石梓という女性と知り合う。
彼女はハルという犬を飼っていたが、
どんなことをしてでも飼い犬を守ろうとした姿に、
「あの人の犬になりたい」と、房恵は願うようになる。
房恵の魂に興味をもったというバーのマスター、朱尾は、
魂と引き換えに、房恵を犬にしてくれるという契約を持ちかける。
朱尾の計らいで、みごと玉石梓の飼い犬になれた房恵は、
梓と共に暮らすうちに、梓の家庭に抱えられた秘密を知ってゆく。
犬となったフサは、梓を救うことが出来るのだろうか。
犬になってみたい、と思ったことがある人は、決して少なくないと思う。
この本は、そんな願望を形にした、ファンタジックな本なのかな、と思っていたけれど、
そんな優しい本ではなく、もっと、どろどろとして、なまぐさく、重たい作品だった。
犬になった房恵よりも、その房恵の目を通して語られる、玉石梓とその家族のヒューマンストーリーだったように感じた。
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上巻を読み終えた今、どうやったって幸せになれないだろうと思う。
下巻の最後に彼女と彼女の犬に幸せが待っているなんて絶対に思えない。
全ての頁に「犬」にまつわることばや名前が出てくる様に感じる。
犬まみれだ。
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2012年2月読了。犬が好きすぎる女性が、不思議なバーのマスターの力によって犬になる話。と聞くとファンタジーっぽくて、たしかに中盤までの犬エピソードには猫派のわたしでもホンワカした気分になります。でも後半、犬になった後の飼い主の身辺がとってもどろどろしてる。だんだん話が重たくなっていくほど話に入りこめて、上下巻の長編も飽きずに読めました。
最後、飼い主のほうは決着がつくんだけど、バーのマスターが何者なのかが書かれてなかったのがモヤモヤ。マスター不思議すぎ。
マスターの謎が明かされてないので、続編があってもいいですね~!
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いつの頃からか、犬になりたい、自分は本来犬に生まれてくるべきだったと思って生きてきた房恵。ある日怪しげなバーテンダー朱尾との契約で、子犬に変身を遂げ、飼い主として惚れ込んだ梓の飼い犬となる。だが、そこで知ることになる梓の秘密に犬であるフサは心を痛め…。
なんとも不思議な小説。いったいどこへ向かってどのように終わりを迎えるのか…読んでいてもまったく予想できなかった。 “元”人間の犬が語り手となる“おかし味”を随所にちりばめながらも、その目が追うストーリーはシリアス。そのちぐはぐさの象徴のような存在が朱尾だ。全体としては好きな部類に入る小説だったが、この朱尾だけは表現のしようのない気味悪さを感じてしまって馴染めなかった。
☆読売文学賞
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犬が好きなあまり、性同一性障害のごとく、自分が犬なら…と常に考えていた房恵は、バーの怪しいマスターに契約を持ちかけられる。
理想的な犬の飼い主玉石梓の犬にしてやる代わりに魂を寄こせ。怪しみながらも合意した房恵は白黒模様のオスの仔犬フサとなった…
かなりぶっとんだ設定で最初はついていき辛いけど、段々入り込んできます…
犬を愛でたい!
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2012/04/19読み始め。2012/04/25読了。ひきこまれる。こんな設定をよくかんがえたものだ。
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犬が飼い主恋しさに人間になる話は今まで読んだ気がするけれど、その逆は初めてかも^_^前者は犬を飼っていたら誰もが想像し願望する事もあると思うけど、自分自身が犬とは…かなりの犬マニアかド変態か(||゚Д゚)くらいに思ってちょっと引いてたのですが。
読み進めていくうちに、この突拍子もない状況も楽しめる程引き込まれていました。
房枝は犬になっただけでなく、牡犬になって性まで変えられてしまうのですが、全く無になった自分に向けられるものは、何の計算も性欲もない見返りを決して求めない唯の無垢な愛情。これこそ究極の愛情なのではないか、と思ってしまう。
背景には房枝の愛する梓の不幸がある訳ですが、それが今後どう房枝に関わって来るのか気になるところです。狼マスターとのやり取りはちょっと笑えて面白かったです^_^
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自身は「人間よりも犬に生まれるべきだった」、性同一性障害ならぬ「種同一性障害」なんじゃないかと思い詰める女性、という突拍子もない設定だが思いっきり引き込まれる。奇抜な世界観と喜怒哀楽の繊細な移り変わりの描写の両立はマジですごい。
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おんなのひとらしい、強い思い(こみ?)が、現実になる話。
犬の話だからか、嗅覚、味覚、触覚の表現がひじょうに細やかで、というか文章が全体的に丁寧で、ありありと光景が目に浮かぶ。
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犬まみれ。
荒唐無稽な話なのに、ぐいぐい引き込まれてすらすら読めてしまった。まるで散歩中の犬にぐいぐいリードを引っ張られて、知ってはいたけど行ったことのなかった場所に連れて来られてしまったみたいなそんな気分。いや、自分は犬の散歩なんかしたことないですけどね。っていうか猫派なんですけどね。
犬視点で描写される世界はやはり嗅覚や聴覚、それから皮膚感覚に依存するところが大きくて、何とも生々しくて生温い。自分の近くにいる犬が、もしもこんなふうに自分達の話に聞き耳を立てて自分達を観察しているのだと考えると非常に気味が悪い。だから嫌いなんだよ、犬は。
魂と引き換えにして手に入れた生活に、不穏な「匂い」が立ち込めてきた辺り。房恵は幸せになれるのか。梓は幸せになれるのか。朱尾は一体何者なのか。とりあえず終わりが全く予想できない。
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松浦理英子は、僕の学生時代に『親指Pの修業時代』が大ベストセラーになったが、それ以来ご縁のなかった作家。と言っても、もともと寡作な人らしく親指P以降、長編小説はこの『犬身』(2007年)含めて 3作くらいしか出ていない。
妙にフェティッシュな犬への憧憬が描かれる序盤から、バーテンダー朱尾が本性を表わしておどろおどろしい雰囲気を醸し出す中盤、そしていびつな家族とその崩壊を描く終盤と、まったく先の見えないジェットコースターのようなストーリー。作者の発想の奇抜さもあいまって、次の展開がまったく判らないので、最悪の事態を想像して血圧が上がることしきりだったが、まあそれなりの終末に収束していただいて、本当にほっとした。