電子書籍
現代史の部分が
2020/09/04 10:05
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
世の中に多くの類書がある地中海沿岸の地域を除いたアフリカ通史ということなので珍しいので読んでみた。相当にボリュームがあるので通読するのにかなり時間がかかった。
著者たちが「豊かな歴史があった。」と記述しているサハラ以南の古代史だが、具体的内容に乏しく 口述伝承のみの歴史の困難さを感じた。アラビア商人やインド人 ヨーロッパ人の記述があるころからようやく話が面白くなるので。
本書の後半は近現代のアフリカの課題を詳細に記述しているが、著者たちの主義主張がかなり表に出た記述が目立った。消えゆく集団の例としてアイヌを何度か引き合いに出しているが、明確な構成員を持っている アフリカの人々の集団 部族 民族との対応例としては不適切な気がする。
欧米風でない統治方式 紛争解決方式として、自警団を礼賛する記述もあったが、民兵化 内戦化の危険性と対比する視点が抜けていると思う。
多言語の存在を礼賛しているが、次の段落で「標準語を獲得した結果、集団的一体感に覚醒した」という記述があり自己矛盾していると感じた。
現代アフリカの危機 荒廃の原因として人口の急激な増大 という問題が繰り返しあげられているのも関わらず、人口抑制という方策についての記述が全くないのは、この大部の本にしては納得できない。
とはいうものの日本ではあまり取り上げられることのないアフリカの歴史と課題について問題提起する という点でよい本だと思う。
紙の本
アフリカ史の全てが分かる!
2019/09/23 08:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シャルルマーニュ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人類誕生から植民地支配からの独立、そして現在まで、アフリカの歴史の全てがこの一冊で分かります。写真や表も多く、読んで理解しやすいものとなっています。
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まず第一に、「入門書」を名乗っているのに、ここまで図表が不足しているのは、作ってて誰も疑問に思わなかったのだろうか?というのが一つ目。
そして、歴史的出来事に関して、現代の価値観を持ち込まないと書けないなら、別の人に頼めよってのが二つ目。
比較として(出す必要も無いのだが)出てくる「在日朝鮮韓国人」って表現があったのだが、「韓国朝鮮人」では無く「朝鮮韓国人」って表現するのは、日本社会では一般的では無く、かなり独特のイデオロギーをお持ちの方々が執筆しているのねと言うのが三つ目。
アフリカに「紛争解決の潜在力」があると言うが、リビアはアフリカじゃ無いの?ソマリアはアフリカじゃ無いの?南スーダンはアフリカじゃ無いの?チェリーピッキングだよねってのが四つ目。
せっかく、大河川流域毎に記述というのは良いアイデアだったんだけどねえ。
あと、ヨーロッパ人による奴隷売買だけで無く、アラブ人方面の奴隷売買について(白人の奴隷売買ほど酷くないんだとだらだらついてたけど)きちんと(?)記述があったのは良かった。ボコ・ハラムの少女誘拐に文化的歴史的なルーツがあったのかと知ることが出来た。
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講談社現代新書のロングセラーが新装版に。特にアフリカの歴史に興味があるとか、そういうのは無くて、SNSで現代新書随一の分厚さを誇ると宣伝していたので買った。分厚いと言われるとつい買ってしまうが、思ったより分厚くなかった……まぁ、この判型で『分厚い』と言うと、同じ講談社から京極夏彦がいるからな……w
さて、元々『分厚い』という理由だけで買ったのだが、読んでみるとこれがなかなか面白い。幾ら分厚くても近現代まで書かれているので駆け足になってしまうのは仕方がないこととはいえ、古代の、文明発祥期のことが非常に面白い。当たり前だがエジプトだけではないのだ。
しかし文字を持たず、口承・伝承しか手段を持たなかった文明というのは、何らかの遺跡が発掘されないことには、誰にも知られず消えていくことになるのだなぁ……。
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圧倒的。アフリカについてこれほど遠大に多角的に書かれた本が他にあるのだろうか。しかも日本語で。
もしかしたら、非西洋である日本だからこそ、アフリカから見た世界史、という視点が生まれたのかもしれない。
とにかく20年前にこの企画を考え、成し遂げた編集者の方に敬意を表したい
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通勤で読めるアフリカ通史。植民地化によって「直線的に」で分断されてしまった国家の枠組みではなく。「川世界」や「交渉史」という視角から、新しいアフリカ史を描こうとする熱意に溢れた意欲作。増補によって2018年までの記述が追加された。
「ナショナリズム」「法と裁き」などヨーロッパ的な枠組みを乗り越えようとする視座が随所に盛り込まれており、個人的にはそれが良かった。
歴史を扱う書物で共通に思うのだが、もっと地図がほしい。本書はだいぶ良心的だけども。
特厚。
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かつて、歴史のない「暗黒大陸」と言われたサハラ以南のアフリカ。そうした古い見方はようやく覆され始めた。 本書は五大河川沿いに成立した世界の記述から始まり、それを踏まえて交渉史、ヨーロッパとの遭遇と植民地時代、独立とその後の問題が描かれる。大河沿いの種々多彩な世界、海やサハラを越えた交流の展開、南アフリカのアパルトヘイト後の「真実和解委員会」の考え方など非常に興味深く読んだ。アフリカではこれからの人類史に大きな影響を与える偉大な知恵が育まれていると思わせてくれる一冊。優れたアフリカ通史。
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われわれ日本人はアフリカのことをなにも知らない、というのが率直な評価ではないだろうか。もちろんアフリカという大陸を知らない人はいないし、アフリカの国家をひとつも挙げられない人もいないだろう。智識としては確実にわれわれのなかに共有されている。しかしより現実的な関心となるとどうか。いまはコロナウイルス禍の真只中にあり海外旅行どころではないが、昨年までの人気旅行先はやはり東アジアやヨーロッパが中心で、アフリカの場合は旅行ガイドの売場すら狭くなっている。テレビで取り上げる国際ニュースもアメリカや中国が中心で、アフリカについてはあまり観ることがない。しかし、人類の歴史を紐解いてみれば、その伝播の仕方については諸説あるが、われわれホモ・サピエンスが誕生したのは、紛れもなくアフリカなのである。そういう意味では、もっとアフリカについて関心を持つべきだと思う。本書はアフリカの歴史をその人類誕生のころから現代に至るまで概観しており、非常に勉強になることが多い。かつてはよく「闇黒大陸」と呼ばれ、現在でも発展途上国の代表的な存在として扱われてしまいがちであるが、そのような見方は偏見に過ぎないことがわかる。アフリカにも古くから独自のコミュニティがあり、優れた文明があったのだ。アメリカを中心に現在ちょうど「Black lives matter」運動が世界中を席捲しているが、本書を読むこともまた黒人差別を理解することに繫がるのではないだろうか。
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長らく積ん読していました。一読ではとても理解できないがアフリカについてのダイナミックな史的分析が展開されていた。ケニアの独立のリーダーキマジ、南アフリカのリーダースティーブビコが印象に残った。
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新書だが本文で700ページ以上あるボリューム。
アフリカの歴史が大局的、網羅的に説明されていて勉強になった。15章、ネイションビルディングがトライバリズムを生み出したというのは目から鱗だった。
アフリカ経済のジレンマを歴史的な流れとして説明されていて理解が深まった。
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アフリカの歴史のなかでも、研究がなされていたり記録が残っている地域や社会の歴史について、編集されている。
各章様々な専門家によって綴られており、アフリカ各地の具体的な出来事や人物を様々な視点で学ぶことができる本だと思う。
一回読んで全体を把握するのは不可能に近いと思ったけれど、あまり語られていないアフリカ大陸の近代以前から、歴史の流れを辿れるありがたい本。
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アフリカの通史。もう一度読み直すかフォーカスの当て方の違う本を改めて読むかまだ決めてはないけれど、とりあえず一度読んだだけでは理解しきれてない。あまりにも知らないことが多かったなぁとまずはそれが知れてよかった。
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アフリカ大陸、特にサハラ砂漠以南のアフリカ(=サブサハラアフリカ)に関する700〜600万年前の人類誕生からホモ・サピエンスの21世紀までの網羅的な通史。
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松田 素二
1955年生まれ。京都大学文学部卒業、ナイロビ大学大学院修士課程を経て、京都大学大学院文学研究科博士課程中退。現在、京都大学大学院文学研究科教授。専攻は社会人間学、アフリカ地域研究。著書に『抵抗する都市』(岩波書店)、Urbanisation from Below(Kyoto University Press)、『呪医の末裔』(講談社)、African Virtues in the Pursuit of Conviviality(共編著/LANGAA)などがある。
宮本 正興
1941年生まれ。神戸市外国語大学英米学科卒業、京都大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、中部大学・大阪外国語大学名誉教授。専攻はアフリカ地域研究(言語・文学・歴史)。著書に『文化の解放と対話――アフリカ地域研究への言語文化論的アプローチ』、『スワヒリ文学の風土――東アフリカ海岸地方の言語文化誌』、『評伝グギ・ワ・ジオンゴ=修羅の作家――現代アフリカ文学の道標』(以上、第三書館)などがある。