紙の本
年を重ねると
2019/05/28 22:53
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投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
何者にもなれなくても、別にいいじゃないか…と思うようになったし、現代社会は、何者かになった場合のリスクもあって、怖い部分もある。
自分も、若い頃には色々あこがれたけれど、今では何者にもなれなくても別に満足してたりする。
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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画同好会で、映画で食べていこうと思っていた4人だったが、その中のメンバーのサキが突然いなくなってしまった。
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高校時代に映画サークルを立ち上げた4人。世間的な評価も高まっていたさなか、突如中心だったサキが突然いなくなり解散になる。そうして十余年が過ぎ、それぞれの人生を歩んでいた3人が直面した過去の真実とは…
そんな粗筋の、女性4人の過去に潰えた夢と、それぞれ「うまくいってない」現実の齟齬に苦しみ悩む物語。フラッシュバックのように過去に撮った映画がエピソードのモチーフと描かれ、一人ひとりの抱えている事情が明らかになっていき、やがてサキが失踪した理由も詳らかになっていきます。筋立てや真実そのものはストレートなものですが、自分のエゴとかつての夢のはざまで苦しむ女性たちの姿がとても現実的に描かれていて共感も抱けました。
「現在」に不満があれば「過去」に目を向けたり目をそらすということは誰でもすることで、彼女たちのように眩い日々があったのならなおさらでしょう。そして訳も分からず消えた彼女にその責を問いたくなるというのも。
自分の人生はあくまで、自分自身の選択肢の積み重ねの結果に過ぎない、ということから、どうしても目をそらしてしまう、それがひとというものだろうから。
映画というテーマがとても効果的に用いられていて、終盤の一連の場面は美しいな、と思いました。「それ」しか知らない彼女の、たったひとつの「愛しい人たちへのメッセージの伝え方」。その純粋な想いは、「過去」に囚われていた彼女たちに「未来」へ歩む力を与えてくれるものに違いないと、そう感じたのでした。
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ありがちな展開だなと思うけど、それ以上に、登場した女性3人がリアルで苦しくなった。でも、前向きに生きなければならない理由が出来たんだとしたら、それはいい事だなと感じる。
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映画。あの頃、私たちの真ん中には映画があった。
石田サキという才能に魅せられ、映画を中心にして四つ葉のクローバーのように結びついていた同好会の四人は、サキの突然の失踪により夢を失い、それぞれの道を歩きだし、12年が経った。そんなあるとき、サキの居場所を知らせる、暗号めいた電話が掛かってきて――。
タイトルに惹かれて手に取った本書。
高校時代に心のど真ん中に据え置いていた夢と、夢への先導者(サキ)を唐突に見失った三人の少女が、喪失感を抱えたまま30代になり、それぞれの現実と折り合おうと葛藤する様がリアルだった。
理由も分からず、何らかの決着がつかないまま一方的に閉ざされた想いは、時が流れてもくすぶり続ける。
それが恋であれ夢であれ、拗らせてしまう。
タイトルを見た時は、夢を失い、望んでいた何者にもなれなかった自分達を憂う物語かと思ったが、そうでは無かった。
望んでいようがいまいが、年齢を重ねた彼女たちは主婦・シングルマザー・仕事と、何らかの役割に徹しなくてはならない。ずっと横並びではいられない。
彼女たちの願いは
「なにものでもなかったあの頃に戻りたい」
ただそれだけだった。
この世は何ひとつ一定では無い。
そして何ひとつ自分の思いどおりにはいかない。
(思いどおりにいく事があったとしても、永遠には続かない)。
友情も、恋愛も、流行も、推しも、かたちを変えていく。
それもまた良しと、受け入れる覚悟が、この本を読み進める内に少しずつ出来ていく気がした。
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映画雑誌の編集部で働く30代の夏美は、高校時代から始めた映画制作のチーム『リーラ・ノエル』の思い出に囚われていた。
今の毎日に満足していない時に、あの頃は良かったと過去に目を向けてしまうことは良くあること。
輝かしい過去があれば尚のこと。
過去の記憶の中心にいたサキが、今はいないと言う事実と、そこに隠された秘密がやがて明かされ、夏美を始め『リーラ・ノエル』のメンバーがこれからの人生を真っ直ぐ進んでいけるようなラストに最後はスッキリと読了。
彼女達の撮った短編映画がとても気になりました。
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どの人もそれぞれの環境で苦しんでいて
自分が一番しんどいと思っている。
少しだけ、ほんの少しだけカメラの向きを変えたら
見えていなかったものに気付くのに。
誰でもみんなしんどいのだと、そしてそれと同じくらい
たくさんのものを持っていることにも。
生きるのも死ぬのも覚悟がいるのだとカメラが教えてくれた。
ただ、もう少し読み手を引っ張てくれるといいかなぁ。
主人公の夏美の性格が今ひとつ掴み切れなかった。
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高校時代に映画を作っていたサキ、夏美、佐和子、弥生の4人。天才的なサキに、3人は居場所を見つけサキの期待に応えていく。しかし、高校を卒業し映画やサキの実力が認められるようになると映画の規模も大きくなり、特別な何かになれそうな気がした。しかし、そんな夢は呆気なく終わる。サキがお金を持ち出し失踪。それから12年が経ち、夏美は映画関係の雑誌の副編集長に、佐和子はお金に余裕がある専業主婦に、弥生はシングルマザーで4歳の子どもを1人で育ている。それぞれが別の道を歩んでいるが、あのときの煌めきやなぜサキが失踪したのか分からないまま過ごしている。
たぶん、この4人と世代が一緒だ。1つ上とかそんなレベルで。高校時代や大学生時代の描写がドンピシャだった。そして、なんとなく4人の気持ちが分かってしまう。あのときの煌めく青春時代を過ごした友達には、今の自分のいいところしか見せたくない。あー分かるーってなる。あのときは高校生だったし、共通する出来事はたくさんあったから話題は尽きなかった。だけど、そこから抜けて別々の道を歩み出すとマウントとるわけじゃないけど、頑張ってる私、幸せな私を見せたくなるよねぇ。そして、あの頃に一生懸命頑張っていた映画から遠ざかった佐和子と弥生に失望するのも分かる。
私の人生を編集したらどんな映画になるんだろうと思った。綺麗な素敵な映画にはならないかもしれないけど、いい映画になるといいなぁ。
2020.4.4 読了
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映画制作の優れた才能と自身を持っている石田サキと、サキに映画制作に誘われた3人。
3人各々の視点から出会いから現在、終局までが語られる。題名ほどには悲惨では無い物語だったのでは、と思った。
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ストーリー的には凡庸な感じがちょっとあったけど、ドキッとするような、言い得てる言い回しとかが端々にあったし、登場人物たちの複雑な状況や気持ちもとてもうまく表現できていて、おそらく多くの人が抱えているだろう葛藤や悶々とした気持ちをよくここまで如実に表すことができるなぁと感心した。ストーリーの展開とかよりも、そういうところが面白かった。
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この作者は本当に男性?
と思うぐらい女性の心理描写が凄いと感じる。
サキと仲間な人生、サキとそれぞれの心理や行動。
良かった
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別の世界の人、て思うことあるけど
いったいどこで違うのかな。
何者にもなれなかった件について
正直自分でもわかってるけど
言葉にされるとなかなかしんどい。
でもみんなそう思ってる部分があるなら
ちょっと救いにもなる。。かも。
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作者が伝えたい本当のことがよくわからなかった。でも、人の期待に応えようと無理をしたり、人と比べたり、見栄を張ったりしても最終的には自分の人生を思い描けないよ、ってことなのかなと思った。
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「自殺願望のある月」「追憶の中の君へ」「春に降る雪はあたたかい」「さいごの願い(未完成)」「深海魚は浅い海で眠る」「エンドロール」
6話で構成された長編。
高校時代、映画同好会『リーラ・ノエル』と命名したチームを作り活動していたサキ・夏美・佐和子・弥生、4人の女性の物語。
いつか「何者か」になりたくて夢を持っていた4人だが中心人物サキの失踪で状況が変わってしまう。
30代になり皆、日々の不満を感じながら生きている。
自分の夢を叶える為に他力本願じゃいけない。
「何者か」になれない人生だってみんな生まれて来た意味はある。
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サキ以外の3人の現在と高校以来の回想でストーリーは進んでいくのだけれど、サキが、スキップとローファーのみつみや、成瀬は天下を取りにいくの成瀬に見えてくる。最終章ではサキに「裏切られた」。最後に見せてくれた映画が泣けた。瀬名さんの小説は大好きで、これも映画にして欲しいと思いました。