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リキャップケーススタディ以外読了。内容はかなり実務を意識して描かれておりわかりやすい。腰を据えてケーススタディに取り組むことにする。
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『戦略的コーポレートファイナンス』の次に読みました。基礎的なところから、実践的なところまで、かつ無知な私にも噛み砕いて説明してくれたので、とても良い。理論はそうだけど、実際はこうなるよね、という疑問にも実務ではこういう考え方で整理します、というところまで書いてくれていて、実務に応用させやすい。人にも勧めたい。これ一冊で会社の人達が使っている共通言語がある程度理解できる。
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コーポレートファイナンスに関する、いわば教科書。
企業価値評価、資金調達スキーム・戦略、株主政策・株主還元・IR戦略などが扱われている。
説明が丁寧で分かりやすく、また、基本から実践例までを扱っている。また、読み物としても面白い。「なるほど」「あ〜、そうなんだ」と思うことも多い。
ファイナンスの戦略は、経営戦略を支えるもの、あるいは、一体で考えるべきものであることが、よく分かる。
読み進めていて、書いてある内容は、よく理解できる。でも、内容を「理解する」「分かる」ということと「仕事で使える」とは、全く違う。
ここは、自分自身の課題。
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ファイナンスの基礎と実践向けの本
財務諸表の読み方はもちろん、様々な財務に関する数値に対して説明してくれている
M&A業務、株価算定などにも当然のように言及している
事業を営んでいたり、企業の経営管理的なポジションに居る人は必読かと思います。
個人的にも再読、都度必要なときにめくる本
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ファイナンス理論と実践が分かり易く整理されている。理論面では、図を使いながら直感的な理解を促しているのは良い。但し、初学者向けで3表やDCF、Valuation method、資本コストを理解していれば本書の8割は不要。後半の配当政策やIR政策は忘れがちな視点として有益であった。マッキンゼー本と同様にROICによる分析を推している。
・会社は、原因(収益性・生産性)と結果(安全性・成長性)の4つで評価
・ROAよりもROEの方がその原因を突き止めるには最適
・時系列と他社比較で分析
・ただし、ROAのRには事業以外の試算が入っており分子とApple to Appleではない
・ROICが一番最適である
・収益性は、営業利益率(原価率・原価償却率・販管費率)に分解される
・生産性は回転率(売上高運転資本比率、売上高事業用資産比率、売上高、その他事業資産)
・ROICの計算式はDCF法に準拠(事業用資産ににみ注目)
・配当政策についてもきちんと言及されている。配当vs自社株買い
・IR政策。機関投資家か個人投資家か。
・
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実務に役立ちそう。普通の理論書やと、書いてある理論を理解するだけで終わってたらあかん。そっから実務に繋がるように自分で噛み砕いて、ネットかなんかでケースを探して分析してみるとかせんとホンマに必要な実戦感覚は多分得られん。
ただ、この本の場合理論と実務の橋渡しを紙幅に収めてくれてる。本来自分で発展させなあかん部分を教えてくれるイメージ。ROIがすこぶるええ。
あともう一つ、筆者が思う投資銀行の価値はマーケットに対する深い見識だと。バリュエーションとかファイナンス理論なんて理解してて当たり前で、日々生き物のように動くマーケットと対峙することこそコーポレートファイナンス戦略である、と書いてある。確かに、でも投資銀行の人ってわりとマーケットに疎い。キャピマ以外の人間でもマーケットの動きに敏感にならなあかんな〜という意識を得た。
ええ本やったけどワイくらいの理解度やと一回じゃ吸収し切れんかった〜何回か読まなあかんわ〜めんどいけど。
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とても具体的かつ実践的。
今回はざっくり内容を掴みたくて読んだものの、
実践の際は手元に置いておきたい一冊。
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覚えておく数字: ROA5%, 営業利益率6%, 資産回転率 0.8回, ROE10%, EBITDA8x,PER15x
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サブタイトルに相応しい、戦略と実務がふんだんに書かれていた専門書であった。理論パートも実務パートも具体的で要点を抑えていたように感じられ、最後の1ページまで蛇足になる範囲はなかった。
小生は数冊ファイナンス理論にかかる本を読んできたが、どうしても本の中で紹介されている理論と自身の実務の間に距離感が感じていた。ただし、本書ではその溝を埋める工夫がされている。
一つは、ファイナンスの理論をもとに企業分析をする際に比較となる市場平均の紹介だろう。紹介にとどまらず、どの数値を抑えておきべきか明記している点は非常に役にたつ。
【覚えるべき数値】
・ROA : 5% ※営業利益ベース
= 営業利益率 6% × 総資産回転率 0.8回
・ROE : 10%
・PER : 15倍
・EBITDA倍率 : 8倍
特に、本書で使われてるケース問題は過去の事例を用いている上、本書で解説されている理論を用いて解き進めるため、理論の需要性が直に感じられたものになっている。また、便宜上の数値の選択や説明がされていない点も良かった。(WACCで用いられる利息や自社株買い後のBetaなど)
【勉強になったテーマ】*本書で初見且つ重要なもの
- 企業のライフステージごとの適切な資金調達がある。
- 「収益性」・「生産性」を原因に、「成長性」・「安定性」という結果を得られ、これらが企業のキャラクターとなる。
→ROAが収益性と生産性をもつ。
- 外食企業の黄金比率
- PER = 株価 / EPS
- ROICの分解ツリーの先には、事業投資資産回転率を細分化することで、運転資本・有形固定資産・その他資産に分解できる。
- 事業価値、企業価値、株主価値のウォーターフロー図
- * Levered beta vs Unlevered beta
- 買収価格に含まれるプレミアムの種類、潜在的なプレミアムとシナジーによるプレミアム。
- VWAP : Volume Weighted Average Ratio (売上高加重平均株価)をもとにTOBで買収価格を決定。
- * Re-CapitlizationによるWACCの変化
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理論の理解に留まらず、"市場との対話"を通したファイナンスができるようになることを目標にしている一冊。
株主資本コスト、WACCといった基本的な事項に加え、βのアンレバー化などのややマニアックな(しかし実務上重要な)概念や、株主還元政策・ベンチャーファイナンス等のイマイチ体系的に理解できていなかった+αの事項に対してキチンとした解説がされており、大変タメになった。
これまでファイナンスに苦手意識があったが、この本を通じファイナンスに携わってみたい気持ちが高まった。良書と思います。
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実際に実務を行なっている上級者向けの本だと思うが、現場に即していて分かりやすく読みやすい。
財務や経理の担当者ならずとも市場と数字で対話することの重要さとカンコツが書かれている。難易度が高く消化しきれない章は何度か読み返しておきたい。
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実践的な本。
会社やファイナンスの全体感がわかりやすく表現されており素晴らしい。よい復習となった。
初学者向け?
特にバリエーションプロセスの具体事例が親切でわかりやすい。この部分は非常にによい。
株主還元政策、レイアウト政策などにしっかり紙面をさいているのもよい。
メモ
・dcfの全体像。
dcfで事業価値を求める。
非事業価値を求める
企業価値から有利子負債を控除する
株主価値が求められる。
・fcfの求め方
営業利益から想定税金を控除し
税引後営業利益を算出
noplat
減価償却費を足し、
設備投資を控除し
運転資金を控除して算出。
・長期的には減価償却費と設備投資はバランスしていくと考えることが普通。それが合理的であるため。
・waccと永久成長率で感応度分析を行ってみる
・マルチプルは対応に注意。
・ネットデッド=有利子負債−非事業価値
・ebitdaマルチプルは8倍程度が目安
・m&a効果はepsで計測可能。買収で自社の一株純利益が増えるか否か。利益は押し上げるが、逆に借入や株式交換、のれんによってはepsを押し下げうる。、
・tobプレミアムの目安は30%
・irの役目は流動性の創出
・dcfは成長鈍化し、永久成長率が安定することを前提にしたもの。急成長途上のsuには不向き
・irrの目安。設立まもない50%。vc初ラウンド35-45%。上場前15-25%
・目安数字 roa5%営利率6%資産回転率0.8回roe10% ebitdaマルチプル8倍 per15倍
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理論はわかって当たり前。ファイナンスの真髄は「市場との対峙」にある。と、仰ってることがよくわかる良書。
469ページに及ぶ分厚い本ではあるけど、ケーススタディ含めてわかりやすい説明で、“実践者”ならではのメッセージが豊富な為、気持ち良く読み進めれた。
この本を読む前に、「会計&ファイナンス入門講座」や「起業のファイナンス」を読了してたこともあり、将来のキャッシュフローの重要性や割引率などの考え方、投資家の視点などの勘所が、繰り返されることによって、馴染んできた感じもある。
個人的にポイントをあえて3つ挙げると、
・企業(事業)価値がどう決まるかを理解すること
・理論と現実の乖離の理由を考えること
・主要な数字の平均値はざっくり把握しておくこと
(ROA 5%、営業利益率 6%、資産回転率0.8回、ROE10%、EBITDAマルチプル8倍、PER15倍)
その他細かいところでは「ブーム系在庫持ち過ぎ注意」「キャッシュイズキング」「まずは企業キャラを把握する」「財務三表の予想は保守的にする(過去5年最低値等)」「何によってディスカウントを受けるか(流動性、不確実性…)」「はるか遠くの未来のキャッシュフローを現在価値にするとほぼゼロ」「少なくとも3シナリオ」「βを筆頭に最もらしい数字を使うしかないのも現実」「調達は必要な時に必要なだけ」など、実務を回す中では当たり前のようなことでも、丁寧に説明されてるからありがたい。
以下は読み返し用のメモ↓
・適正レベルを超えてしまうと、在庫はむしろ企業にとっては外となります。エステーはそのことを見越して、マスク事業絶頂期にあえて撤退したのでした。実際、その後、市中では大量のマスクが余り、経営的に大きなダメージを受けた企業も存在します。一方のエステーは、マスク事業に費やしていたリソースを外に仕向けることで、むしろ成長を遂げていきました。
・マスクはいずれ得ることができるでしょうが、たまごっちのようなブーム性のあるものはブームが去ると決して売れません。マスク以上に厄介ものです。
・在庫が増えるとキャッシュが減少すると言うのは、会計におけるキャッシュフロー計算書を理解する上で最も重要なポイントです。
◎総資産利益率(ROA)は、企業の総合力を示す最重要指標(キャラクター指標の王様)。ROAは、収益性指標(売上高営業利益率)と生産性指標(総資産回転率)に分解することができる。中小企業の経営分析を行う場合は、このROAだけをつぶさに見ていけば、キャラクター分析は充分とさえいえます。ちなみに、日本の上場企業のROAを平均値で見ると5%です。営業利益率は6%、回転率は0.8回(365日×0.8=292日分の売上高で総資産を回収できる)
・分析は時系列に「並べて」同業他社と「比べる」
・感動的な低価格で原価率を高めに設定しつつも、回転数を上げることによって、固定費(販管費)率を下げて儲けを生み出している。
・DCFにおいては、将来キャッシュフローを算出する前の準備作業として、企業のキャラクター分析が必要になってくる。
・株式市場が最も重視する企業のキャラ���ターは、収益性と成長性です。生産性を気にしないわけではありませんが、株式市場は将来にわたって株価が上がることを期待しますので、成長性が投資判断の重要材料になります。収益性の指標として「予想営業利益率」、成長性の指標として「予想売上高成長率」を用います。
・日本の上場企業の平均的なPER (株価収益率)は大体15倍位に落ち着きます。
・ROEも同じように3つの要素にブレイクダウンできます。実はROAの2つの要素に財務レバレッジの要素を加えるだけなのです。
・デッドで調達した資金を原資として、配当や自社株買いをどんどんやって自己資本を小さくする。つまり、バランスシートの右側での負債と自己資本の割合を変えると言うような小手先のテクニックを使えばROEを高めることができてしまう。
・ROICがキャラクター分析の王様だと言って紹介したROAよりも優れている理由は、分子と分母の太陽の厳密さにあります。総資産の中には、本業の利益を生み出すのに、直接関係のないも含まれるため。
◎業界の人間なら、業界平均値は知っておくべき数値です。
・事業価値に直接影響与える強みの要素をバリュードライバーと言いますが、ROICツリーはこれを明らかにしてくれる最強のツールなのです。
・ROICは計算するために、BSの組み換えが必要になるなど一手間かかります。
・メガネトップの経営陣が自社を買収すると言うMBOを実施した理由は、株価が割安に放置されていたから。時価総額が大きくない中小型株銘柄に特有の流動性ディスカウントを受けていたことが要因の1つ。
・借り入れの場合、金利は税務上損金に参入され、課税対象利益が減額するため、節税効果がある。
・借入金利100に実行税率40%かけた40の分だけ、借入による方がキャッシュフロー上有利になる。
・リスクフリーレートとは、リスクのない投資に対する期待リターンですから、先ほどご紹介した国債の利回りと言うことになります。
・マーケットリスクプレミアムは、株式市場が安全資産である国債利回りと比べて、どれだけ高いリターンを期待できるか示した値です
・日本の場合、マーケットリスクプレミアム、つまり、全上場企業の株式投資リターンの期待値は、過去30〜40年ほどの統計データを踏まえて概ね5〜6%となっています。
・ βは、評価対象銘柄の株価の値動きが株式市場全体の値動きと比べてどれだけ高いかを表した値です。
◎株式投資家は、最低でも①国債利回りを起点とし、②株式市場全体の平均リターンの上乗せを期待し、その上で、③対象企業のリスクの度合いに応じたリターンを期待する。
・格付けもにらみながら、最適資本構成よりも、デット比率が低い資本構成を目指す。
◎フリーキャッシュフローを見積もるステップで最も大変なのは、営業利益や設備、投資の前提となる事業計画を作るところ。
◎過去5年の実績で最も低かった値で、保守的に将来予想を見積もる。
・評価時点で明らかになっている将来の計画がない限り、事業用資産・負債は、売上高に対しての一定割合、その他、事業用資産・負債は直近の金額を横引きでおくことが一般的です。
・上場企業であれば、月商1ヵ月分の売り上げに相当する分位の必要手元現預金とするのが一般的。
・上場企業に対しては、最低でも月商の3ヶ月分のキャッシュを常に持っておきましょうとアドバイスしています。
・デットに関しては、帳簿価額を用いるのが一般的です。エクイティは時価総額を使います。株主には、時価総額ベースでの期待リターンを提供しないことには満足してもらえません。
・フリーキャッシュフローの永久成長率は何%にするかと言う点は、バリエーションの実務でも議論になる論点ですが、通常は、中長期の物価上昇率と同程度に設定されます。(ざっくり言えば、日本企業なら0〜1%の間で予測を置くことになると思います。)
・業績予想によっては、予測最終年度のフリーキャッシュフローを求める過程において、減価償却費と設備投資額が大きく乖離しているケースがあります。企業が安定成長フェーズになれば、合理的な企業は、長期的に減価償却の範囲内で設備投資を実施していくため、減価償却費と設備投資額がほぼ均衡すると考えるべきです。
・企業は、長期的に減価償却費の範囲内で再投資すると考えるのが通説。
◎100年後の100を割引率5%で現在価値にすると、0.76になります。はるか遠くの未来のキャッシュフローは、現在価値にするとほぼゼロに近くなる。
・買収金額が買収対象企業の純資産を超えた分の金額をのれんと言いますが、買収した側の企業は、BS上の無形固定資産にのれんを計上します。買収対象企業の業績が事業計画通りに達成されないなど、のれんの価値が著しく減少した場合は減損損失を計上しなければなりません。
・企業の将来は、過去の延長線上にありますから、現場のキャラクターから大きく外れるような事業計画が出来上がったときには要注意です。
◎一般的には最も可能性の高いと考えられる前提条件の組み合わせをもとに設定する現実的なシナリオに基づく事業計画のほか、楽観的なシナリオと悲観的なシナリオに基づく事業計画を用意します(要は、将来予測財務諸表を少なくとも3パターン用意すると言うことです。)
・株式市場から求められる類似企業の時価総額を使ってデットエクイティレシオを最初に求めてから対象企業の株主価値を導く
◎DCF法によるバリュエーションの実務では、このデータの取り扱いがどうにも困ったテーマの1つです。専門家のフィナンシャルアドバイザーも決定係数が低い場合、気持ち、悪さは残るものの、入手し得る数値の中から最もらしい数値を用いるしかないのが実情です。
・我々が普段目にする上場企業のベータは、自らExcelで回帰分析の手法で計算したものも含めて全てレバードβと呼ばれるものです。簡単に言えば、対象企業の事業リスクと財務リスクの両方を加味したベータといった意味です。
財務リスクを完全に取り除く、つまり無借金の状態にした場合のベータをアンレバード βといいます。
・DCF法については計算式そのものを暗記する必要全くありません。より大切なのはフレームワークを理解することです。DCF法によるバリュエーション結果を見ると、事業価値のほとんどをターミナルバリューが占めていま���。つまり、事業価値のほとんどは6年目以降に生み出すキャッシュフローによって決まると言うことです。ターミナルバリューは、予測期間におけるフリーキャッシュフローを見積もった結果を受けて、その後は一定のペースで成長していくと言う仮説のもとに計算されます。したがって逆説的ですが、事業価値がターミナルバリューで決まるからこそ、安く期間におけるフリーキャッシュフローの見積もり、特にターミナルバリューの計算に用いられる予測最終年度のフリーキャッシュフローを精密に行わなければならないのです。
・営業利益率が高くなるのは、一般的に高い参入規制や、公共性の強い教会の中で寡占状態にあるケース。
・小売業は、製造業や鉄道会社等と違い、設備などの重厚な固定資産は必要とせず、店舗設備も自前の試算ではなく、借り物であることがほとんど。
・小売業は、他の業界と比べて総資産が小さくなる。
・類似会社比較法は、評価、対象企業の類似会社により相場観を弾くことから、投資銀行の現場では、コンプスと呼ばれています。また、株式市場で観測された市場倍率を使うことから、マルチプル(倍率)と呼ぶこともあります。
◎compsの中でも、M&Aにおけるバリュエーションの実務で、最も一般的に用いられている方法が事業価値/EBITDAでEBITDAマルチプルと呼んでいます。なぜならEBITDAは営業利益に減価償却費を足し戻した数値であり、簡便的に求めたキャッシュフローと言えるからです。
上場企業の一般的なEBITDAマルチプルの水準は近年は10倍を超えることもありますが、歴史的に概ね8倍前後になっています。
・上場企業の平均的なPERは、歴史的におおむね15倍といったところです。
・四半期決算の実績値を使って算出する直近12月のデーターのことをlast twelve monthの頭文字をとって、LDM、そしてこのをまとめる作業のことをカレンダライズと呼んでいます。
・1株当たりの利益(EPS)が増えるM&Aを「良いM&A」と評価する。
・のれんの償却日は、EPSに影響与える要因の1つですが、日本と海外の主要国とのあいだでのれんの会計処理に関する取り扱いの会計基準に大きな差があります。のれんは日本の会計基準によれば、20年以内の期間で均等償却されることになっています。のれんの償却費はCash Outしないコストですから、キャッシュフローには何の影響もありません。日本企業の中には、日本の会計基準でもM&Aにおけるのれん償却費の計上はなくしてほしいと言う意見もあります。M&Aを中期計画に掲げているグローバル企業はIFRS(国際会計基準)を採用する動きが顕著になっています。他方で欧米ではM&Aで多額ののれんを計上した企業が、その後経営が予定通りに行かなかったと言うことで、多額の減損処理に直面するケースも多く出てきており、これはこれで株主にとっては大きなネガティブサプライズです。そのため欧米ではむしろのれんは毎期償却した方が良いのではないかと言う意見も最近出てきています。
・TOB価格と株価との差額をTOBプレミアムと呼びます。過去に行われたTOBの事例を見ると、TOBプレミアムは30%程度に設定されていたことがわかります。
・ 3分の2の株主にとっては、十分な利益(30%のプレミアム)が出るようなTOB価格を設定する、これが最低条件になりそうです。しかし、残念ながら実際にはどの株主がいくらで株式を買ったかのリストは存在しません。したがって代替手法でTOB価格をいくらにすれば十分な売り注文が得られるかの票読みをします。
・VWAP(売買高加重平均株価)を計算するには、各日の株価と取引高をもとに、株価ごとの出来高をこのように集計し直します。累計取引金額/累計出来高。
・株式回転率が1を超えると言う事は、すべての株主がぐるっと1周して1度入れ替わった計算になります。実際にめったなことでは持ち株を手放さない安定株主がいますから、100%の株主が入れ替わったわけではありませんが、TOB価格が経済合理性で行動する既存株主にとって魅力的かどうかをシミュレーションするには、1つの判断し神になります。
・LBOは買収対象企業の資産または事業から得られるキャッシュフローを担保に銀行から資金を借りれ対象企業の株を取得する形態の買収です。LBOのための資金を融資する銀行は、ファンドがある程度のエクイティを買うからこそデットを提供します。
・ LBO案件が、極端にデットに頼るレバレッジを効かせたファイナンスであるため、買収対象企業が確実にデットを返済できる安定した事業でなければならないと言うことです。金融機関がお金を貸すときに、融資先の企業に1番求める事は、キャッシュフローの安定、すなわち事業が安定していることでした。衣食住のビジネスです。
・デットで調達した資金で安定した事業買収するという成長戦略こそ、孫さんの得意中の得意技です。実はアームホールディングスの事業は、知的財産権としてライセンスを提供するビジネスであり、安定的なロイヤリティー収入が収益元となっており、営業利益率は40%と言う極めて高い収益性を誇っています。ボーダフォン買収のケース同様、LBO的手法を使った買収がフィットするのです。
・M&A関連での資金調達は、まず借入金で資金調達を行い、その後エクイティファイナンスでリファイナンスしてから借入金を返済すると言うのはよくある形です。何故かと言うとスピードの問題です。M&Aはタイミングが命。売却する決めたら、今すぐに売りたいのです。エクイティファイナンスは比較的時間がかかるため間に合わないことが多いのです。M&Aは対外公表するまでは秘密裏に進められるので、投資家に対してM&A発表前に具体的なM&Aの情報を流すわけにはいきません。
・今期稼いだ利益のうち、どの程度配当として支払うかを表した数値を配当性向といい、1株当たり配当金額÷ 1株当たり純利益(EPS)で計算できます。日本企業の配当性向は3割前後で推移しているため、7割は内部留保としてキープしていることになります。欧米の企業は、まさに企業の成長ステージに応じて配当性向を柔軟に設定していると推測されます。つまり、成長企業では、内部留保(成長投資)重視、成熟企業では逆に株主還元重視と言うことです。
・自社株買いの場合は、枚数が減るので、株価は中立となります。
・アマダのように、配当を大幅に手厚くした場合は、当面は大きな事業投資を行わないケースもあります。
・株式の場合、流動性が乏しいと株価はディスカウントをくらいます。IRの役目そ���はすなわち流動性の創出なのです。
・株式投資は、個別銘柄の分析と言うイメージが強いかもしれませんが、機関投資家の場合は、地域でのウェイト付→業種でのウェイト付け→個別銘柄のウェイト付と言うプロセスで進んでいきます。
・企業は、自社の事業的性格を見極めて、どのタイプの投資家が最も自社に興味を持ち、そうかを探っていく必要があります。買い物をする時と同じで即断即決は多くありません。前もって購入の可能性のありそうな様々な投資家とコンタクトをとっておく事は、円滑なファイナンスを行う上で重要です。
・◎IRではROEについてはほぼ必ず質問を受ける。自社のROEの現状分析とどこをどう改善していくかと言う話が求められる。自社の強み弱みは収益性なのか生産性なのか、そしてレバレッジはどの程度なのか。それらを事業部ごとに説明できるようにしておきたいところ。ROICで説明できると尚良い。
◎起業家にとってコーポレートファイナンスは実は超重要なのです。理解が乏しいとVCに都合の良い形に決められてしまいます。
・◎DCF法は、業績の安定している成熟企業に限って適用されることが暗黙の前提となっている。スタートアップのベンチャー企業は、将来のフリーキャッシュフローが全く読めないため、DCF法を使うのは適切ではありません。したがってDCF以外の手法に頼ることになります。それがPERです。すでに上場している類似企業群の平均PERがわかれば、未上場企業の純利益に業界平均PERを乗じることで、おおよその想定時価総額を求めることができます。二条城のベンチャー企業は、すでに上場している企業よりも信用力が劣ります。業界のPERを乗じて計算される想定株価よりも20〜30%ほどディスカウントされることが一般的です。純利益が赤字の場合は、PERの代わりに、類似企業のEBITDA倍率を求めることもあります。
・ベンチャー企業への投資時に求めるリターンは最低でも年率15%以上になるであろうことが想像できます。この年率リターンのことをIRR(内部収益率)と呼びますが、VCにとっては重要な投資指標となる。
・上場が近づけば近づくほど、企業としての安定性は高まりますので、VCもさほど高いリターンを求める事はなくなります。
・実際に想定時価総額算出の際に用いるのは、平均PERの値ではなく、類似企業のPERの中から中央値になります。日本に類似企業が少ない場合は、海外企業で探してみることになります。
◎経営者にしてみると、お金はなるべく早い段階でたくさん調達したいものですが、タイミングが早いと企業の時価総額、株価が低いため、たくさんの株式を発行する必要が出てきます。そうすると、経営者の持ち分が大幅に低下することになってしまいます。したがって、増資によるベンチャー企業の資金調達では、「調達できるときになるべくたくさん」と言う考え方はあまり良くありません。それよりも必要な時に必要なだけ順次調達していくのがベターであり、そのためには事前にどのタイミングでいくらの資金が必要になるかと言う資金計画を立てることが重要になります。
・クラウドファンディングのプラットフォームの利用手数料は、調達金額の15〜20%と言うのが一般的です。実は資金調達コストと言う��点で見た場合は、決して安くないのです。大企業では、資金調達よりも、テストマーケティングの場として、あえて自社の名前を伏せた状態で、クラウドファンディングを行う事でも登場しています。
・ ROA 5%、営業利益率6%、資産回転率0.8回、ROE10%と言う数字だけは頭に叩き込んでおく。世の中の普通の水準と比べることによって、その会社がイケてる会社か、ぱっとしない会社かくらいはすぐにわかります。
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【目的】
コーポレートファイナンス全般の復習。
【評価】
網羅性と内容の分かりやすさからコーポレートファイナンスの日本の教科書としては決定版で良いと思う。実例が頻繁に登場するのが良い。
ファイナンスバックグラウンドのビジネスパーソンにとっては簡単で基礎的すぎる内容が多いかもしれないが、復習にはとても良く、ペイアウトやIR戦略等業務で担当していないとイメージが持ちづらいパートも充実しているのが良い。
又一貫して、ファイナンスを守りではなく攻めの経営戦略の武器として捉えている点と、市場との対話を重視している点が特徴的であり、正に戦略と実践というタイトルに相応しい内容になっている。
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経営する上で、市場との対話におけるファイナンス実用書。
ROA(ROICの方がベター)を元に、DCF法を使って理論上の事業価値を求める。
PERやEBITDAマルチプルを元に、市場での実際の企業価値の評価を求める。
この理論と現実の差異を考慮して、M&AやIR戦略、株主還元政策まで説明されている。