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雲をつかむ話/ボルドーの義兄
著者 多和田 葉子
とつぜん届いた犯人の手紙から、「雲づる式」に明かされる、「わたし」の奇妙な過去――読売文学賞と芸術選奨文部科学大臣賞をダブル受賞した傑作長篇「雲をつかむ話」。レネの義兄モ...
雲をつかむ話/ボルドーの義兄
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雲をつかむ話/ボルドーの義兄 (講談社文芸文庫)
商品説明
とつぜん届いた犯人の手紙から、「雲づる式」に明かされる、「わたし」の奇妙な過去――読売文学賞と芸術選奨文部科学大臣賞をダブル受賞した傑作長篇「雲をつかむ話」。レネの義兄モーリスの家を借りるためにハンブルグからボルドーへ向かった優奈――言語・記憶・意味・イメージの間をたゆたう断章が収斂する「ボルドーの義兄」。『献灯使』で全米図書賞を受賞し、いま世界でもっとも注目を集める日本人作家の贅沢な作品集。
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紙の本
「犯人」と「犯罪者」
2020/09/25 22:26
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
多和田氏がひょっとしたら村上春樹氏よりも早くノーベル文学賞を獲得するのではないかという意見をちらほらと耳にすることが多い。私はだからというわけでもないのだがこの人の作品を最近よく読んでいる(といっても「容疑者の夜行列車」「犬婿入り」に続いての3冊目なのだが)。「雲をつかむ話」には、「犯人」が数多く登場する。作者は「わたしとの関係性の中で、刑事事件、刑法、刑罰といった法律の言葉との関わりによって決定されるような犯罪人では決してありえない。むしろ、犯人たちは、敷居を超えて、語り手のもとへと訪れ、語り手に何かを訴えるのであり、事件の断片を残して、雲の背中に隠れる」と彼らについて説明する。私も過去に遭遇した犯人たちのことを思い出したが、彼らは「犯人」ではなくて「犯罪者」にしか思えない、何のドラマ性もない人たちだったからだ