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カメムシの母が子に伝える共生細菌
カメムシの産卵と孵化においては、新しい生命の誕生と同時に、“母から子への共生細菌の受け渡し”という、もう一つのイベントが繰り広げられている。これがうまくいかないと新しい生...
カメムシの母が子に伝える共生細菌
05/09まで通常1,980円
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カメムシの母が子に伝える共生細菌 必須相利共生の多様性と進化 (共立スマートセレクション)
商品説明
カメムシの産卵と孵化においては、新しい生命の誕生と同時に、“母から子への共生細菌の受け渡し”という、もう一つのイベントが繰り広げられている。これがうまくいかないと新しい生命の誕生もなかったことになってしまうという、カメムシにとってはとてつもなく重要なイベントである。なぜそれほどまでに重要なのかというと、カメムシは共生細菌の力に強く依存して生きており、共生細菌がいないと生きていけないからである。つまりカメムシは、どんなに元気な子が生まれても、母親から子への共生細菌の受け渡しがうまくいかないとその子は成長できずに死んでしまう。すなわち新しい生命の誕生はなかったことになってしまうのだ。そして共生細菌を受け渡す方法は、カメムシの種類によって大きく異なる。そんな知られざる、しかし非常に重要なイベントに強く魅了され、「研究ってめっちゃ楽しいなぁ、これはやめられまへんなぁ」とカメムシの研究にのめり込むようになった著者が、研究の楽しさと発見の喜び、そのワクワク感とドキドキ感を込めて、カメムシと細菌の共生という現象の面白さをいきいきと伝える。
目次
- 1 昆虫と共生細菌の必須相利共生
- 2 マルカメムシの共生細菌とカプセル
- 3 クヌギカメムシの共生細菌とゼリー
- 4 ベニツチカメムシの共生細菌と母親による子の世話
- 5 チャバネアオカメムシの共生細菌と置換
- 6 ホソヘリカメムシの共生細菌と環境中からの獲得
- 7 ヒメナガカメムシの共生細菌と菌細胞の進化
- 8 トコジラミの共生細菌と寄生から相利共生への進化
- 引用文献
- あとがき
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腸内フローラはカメムシにも。
2018/05/21 16:04
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投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
カメムシの体内に共生する細菌の研究。最近はヒトの「腸内フローラ」が注目されているが、細菌が宿主としっかりした関係を持っているという生物は結構あるのではないだろうか。それがわかるだけでも少し世界が違ってみえる。
産卵した卵を守るだけでなく、孵化した幼虫の世話もするなかなか複雑なカメムシの行動だけでも知ることができて面白い。そしてその行動の中から「親から子への伝え方」もいろいろあることがわかってくる。行動の生態観察から実験へ、研究の話としても興味深く読めた。
最後の方になると細かくなってくるので素人には少し難しくなるが、結論だけを読みつなげていっても「こんなに多様なやりかたがあるのか」と面白い。体内の菌が正常な生育に重要、という話はどうしても「腸内フローラ」という言葉を思い出させられてしまう。腸をもつ生き物を調べて行ったら、どれにも腸内フローラがありそうだ。
植物にも根粒細菌などとの共生関係が知られている。菌と他の生きもののつながりはまだまだ解明される余地がありそうだ。ヒトに活かせる知識だけでなく、生きもの全部のつながりについても得られるものがあるのではないだろうか。