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一徹――智辯和歌山 高嶋仁 甲子園最多勝監督の葛藤と決断
著者 谷上史朗
2018年に100回大会を迎えた夏の甲子園。その100回の歴史の中で、数々の名勝負、名選手、そして名監督が生まれてきた。そんな長い歴史を誇る甲子園において、誰よりも多く勝...
一徹――智辯和歌山 高嶋仁 甲子園最多勝監督の葛藤と決断
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一徹 智辯和歌山高嶋仁 甲子園最多勝監督の葛藤と決断
商品説明
2018年に100回大会を迎えた夏の甲子園。その100回の歴史の中で、数々の名勝負、名選手、そして名監督が生まれてきた。そんな長い歴史を誇る甲子園において、誰よりも多く勝利を収めている監督が、智辯和歌山高校・高嶋仁監督(現・名誉監督)である。智辯学園、智辯和歌山を率い、春夏の甲子園出場38回、通算勝利68勝はいずれも歴代最多。古希を迎えてもなおグラウンドに立ち続けていたが、2018年夏を最後に惜しまれつつ勇退。それに至るまでの様々な葛藤や心の揺れ、「平成の王者」と言わしめた隆盛時代、翳りが見え始めた中での謹慎、それでも貫き通した信念――。本人へのインタビューを中心に、教え子、対戦監督、故郷、家族……総勢50名以上の関係者が知られざる真実を語る。この10年誰よりも高嶋を追い、本人からの信頼も厚い著者・谷上史朗が綴る渾身のノンフィクション作品。
目次
- 表紙
- 目次
- 1章 不意の電話
- 2章 原点
- 3章 壁
- 4章 異動
- 5章 頂
- 6章 翳り
- 7章 歩き続けて
- 8章 揺れ
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紙の本
高校野球の名将の生き様に迫るノンフィクション
2020/05/28 15:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校野球で甲子園最多勝の監督は、智辯和歌山高校元監督の高島仁氏です。積み重ねた勝利数は68勝。智弁学園高校の監督からスタートし、智辯和歌山高校に移動したのち、同校を甲子園常連の強豪校に育て上げ、そして昨年勇退されるまでの約50年間の監督生活を、両校OBや親交のある他校の監督、学校関係者などの証言と高島氏自身への地道な取材で描いた一冊です。
厳しい指導で有名であったのですが、ただ選手をスパルタで鍛えるだけで強豪校になれるほど簡単なわけはなく、その裏には選手(生徒)を本当によく観察し、そして野球が好きでたまらないという情熱もあったことが良く描かれています。
「いつも自分たちのことを見てくれていて、困った時にアドバイスをくれるんです。最後の夏の初戦で自分だけノーヒットだった時、『お前は結果じゃなくて4番らしい姿、4番らしいスイングを見せてくれたらええんや』と言って頂いて、スッと気持ちが軽くなった。高島先生の一言だからそれだけの効果があったんです」、「ノックでイレギュラーして顔に当たった選手に『それぐらい対応せんか!』って言った次の日、イレギュラーした場所を高島先生がすごく丁寧にグラウンド整備されている。心をギュっと鷲掴みにされるところがある」これはいずれも野球部OBの証言です。
「ちょっとええかげんなところがあるけど、ええ雰囲気を持っとる選手は昔なら一発でシャキッとなって目が覚めたらグッと伸びたんや。それが今はあかんから選手も可哀そうや。ほんまに”ここっ”いうところで一発いけたらな…」選手とのそういうことがあれば、必ず自らが保護者の下へ出向き、事情を話して保護者との信頼関係も築いてこられた高島氏ですが、選手と高島氏との信頼関係の上で”一発”いったことを目撃した第三者が通報し、当事者が知らないうちに大きな問題となって高島氏が謹慎を余儀なくされる経験もされています。
「高島先生が怒るなら…で済んできた時代が長くあった。保護者と高島、高島と選手の間には1発、2発が大事に至らない信頼もあった。しかし、時代は変わった。」このあたりから指導法にも葛藤を感じられている様子が詳細に描かれています。
最後は、自らの引き際をどう定めたのか、そのあたりの心情の揺れなども高島氏を長く取材してきた著者だからこそ描けている部分も多いです。
400ページの大作ですが、高島氏の50年に及ぶ指導者としてのキャリアを俯瞰できる内容充実の1冊です。