読割 50
電子書籍
長い時間をかけた人間の経験
著者 林 京子
圧倒的事実の<生と死>ーー8月9日に、すでに壊された<私>。死と共存する<私>は、古希を目前にして遍路の旅に出る。<私>の半生とは、いったい何であったのか……。生の意味を...
長い時間をかけた人間の経験
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
長い時間をかけた人間の経験 (講談社文芸文庫)
商品説明
圧倒的事実の<生と死>ーー8月9日に、すでに壊された<私>。死と共存する<私>は、古希を目前にして遍路の旅に出る。<私>の半生とは、いったい何であったのか……。生の意味を問う表題作のほか、1945年7月、世界最初の核実験が行われた場所・ニューメキシコ州トリニティ。グランド・ゼロの地点に立ち《人間の原点》を見た著者の苦渋に満ちた想いを刻す「トリニティからトリニティへ」を併録。野間文芸賞受賞作品。
◎林京子ーー私は立ちすくんだ。地平線まで見渡せる荒野には風もない。風にそよぐ草もない。虫の音もない静まった荒野は自然でありながら、これほど不自然に硬直した自然はなかった。荒野は、原子爆弾の閃光をあびた日以来、沈黙し、君臨していたガラガラ蛇の生さえ受けつけなかった。大地は病んでいたのである。<「著者から読者へ」より>
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
林京子の世界
2023/04/10 17:25
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
1999年に発表された表題作と、東日本大震災後に書かれた「トリニティからトリニティへ」の二編を収めた文芸文庫。
ひとつではない原爆についての語りや、被爆者の胸の内を文学に昇華し続けた、林京子の世界を堪能できる。
とりわけ巻末の「著者から読者へ」が胸を打つ。
こうつづられている。
「被爆者は核兵器のモルモット、といわれる。被爆者の人生が人の役に立つのであれば、私はモルモットの不幸に甘んじる」