紙の本
今風な若者たちかな
2020/06/13 14:02
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投稿者:ピーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めてこの著者の作品を読んだ。
人を殺す夢やら、夢で殺した人の内臓を瓶に入れて運ぶだの、ちょっと気持ち悪い描写も多いのだが、登場人物は余り激情しない人々。
静かな波の中にある水流のような作品。
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高校生の時に「冷蔵庫を壊す」に出会った時の衝撃をよく覚えている。著書の描く真面目で、感じやすく、繊細というには自意識の強すぎる主人公達が、自身と重なったことだけでなく、言葉の使い方が信じられないほど美しいと思った。
あれから20年たっても新刊を読んで同じ気持ちでいる。多分一生好きな作家だと思います。
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その頃からだろうか。わたしは部屋に「不在」を感じるようになった。彼はいない。いないならそこにはなにもないはずなのに、「不在」はいつもそこにいた。毎朝起きるベッドの右側に、食事をするときはテーブルの向かいに、二人掛けソファの半分に。「不在」は、いつも存在した。その「不在」は彼の形をしていて、彼の話し方で話をした。彼のやり方でわたしを喜ばせたり悲しませたり怒らせたりした。
恋人同士は希望がなくちゃ一緒にいられないのかもしれない。けどな、一緒に絶望できるのが夫婦ってもんなんだよ。
過去とともに生きる。そんなの当たり前だ。僕らは前へ進むけれど、その道は過去から続いているんだから。絶望も希望もぜんぶひっくるめて、僕たちは出会うのだ。彼女が、昨日までの僕をころした。そして今、新しい僕が生まれようとしている。僕は僕の誕生を、両手を挙げて歓迎したい。たとえその先に絶望が直結していたとしても。
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優しい言葉、優しい人々、優しい文体。
津秋と彼
正臣と恵梨香
キムさんと香子
哀しみも絶望も誰だって持っている。
そんなの抜きに生きていける人はいない。
自分なりの折り合いをつけながら今日と明日をつないで生きている。
優しい運命を信じたくなる一冊。
大人の御伽噺。
サムゲタン食べたいなぁ。
今年の7冊目
2020.3.19
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「どうも生き物は、自分にご飯を作ってくれる人のことを好きになってしまうきらいがあるね、とわたしは思った。」
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初めて著者の本を読んだ。
僕が振られたあたりから途端におもしろくなってきた。
最初は登場人物全員自意識過剰のエゴイストに見えたけど、事情を知ると言葉が急に生き生きし始めた。
みんな絶望を抱えながらもうまくそれと付き合い自由に生きていてこういうかっこいい大人になれたらいいなと思った。
最後に物語が繋がっていく感じ、さすが脚本家だなと思う。
おもしろかったので他の作品も読みたい。
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日常と非日常が交差する。
東京都と、京都が交差する。そして世界が。
久しぶりの狗飼さん。刊行されてから約1年ですが、新刊の存在を知らず、慌てて入手したところです。
読み終わったら、すぐ2週目に入りたくなること間違いなし。
何とも不思議な質感の物語です。
確かに肌で感じられる現実があるのに、どこか夢みたいな、ふわふわした感じ。それでいてヒリリと焼き付くような痛み。
ああそうか、これが「生きる」ということだ。
今読むからこそしっくりくる。いや、絶望を味わったことがあるからこそ、かもしれない。形は違えど、絶望はこんなにも身近にあって、それを内包して人は生きているんだ、ということに想いを馳せられる。
そして、もう1つ伝えられるのは、食べることは生きること、ということ。
私たちは、食べたもので形作られる。
生きることを大切にすることは、食を大切にすることに繋がる気がしている。だからこそ、とても共感を覚えた。サムゲタン、アリョンカのチョコレイト、崎陽軒のシウマイ弁当。
いい読書時間を過ごさせてもらいました。
タイトルも末尾に「か」があることが優しい。あるのとないのとでは大違い、ですね。
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先日の『冷蔵庫を壊す』から
狗飼さんの清らかな文体の虜となり
二冊目には 表紙が特徴的なこの新刊を選んだ。
途中で 結末は薄々分かっていたけれども
その最終地点までの道のりが凄まじい。
グサグサ グサグサ。
久々に「何度も読み返したい」と
心の底から思える本に巡り会えた。
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『絶望』と言う文字に希望や可能性を失ってしまった重たいイメージを持っていましたが、愛に溢れたか作品でした。最後まで読んでみると、最初に戻りたくなる感覚がたまらない。
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いつも突然泊まりに来るだけの歳上の恵梨香に5 年片思い中の正臣。婚約者との結婚に自信が持てず、仕事に明け暮れる津秋。叶わない想いに生き惑う二人は、小さな偶然を重ねながら運命の出会いを果たすのだが――。噓と秘密を抱えた男女の物語が交錯する時、信じていた恋愛や夫婦の真の姿が明らかになる。今までの自分から一歩踏み出す恋愛小説。
津秋ちゃんの彼氏が本当に無理で、早くそんなモラハラ男とは別れなよと思っていた。正臣くんもそんなたまに家にやってくる野良猫みたいな女はやめておきなよって思っていた。
話が進むうちに明らかになる2つのカップル。まぁ、正臣くんの女はなんとなく想像はついた。
津秋ちゃんのバイト先の韓国料理屋の店長であるキムさん(日本人で木村さん)に恋をする古沢さん。不思議な子だったわ。ある意味ば奇抜なファッション。キムさんのこと聞くために津秋ちゃんを待ち伏せして、津秋ちゃんの部屋で何故か飲み会。可哀想だ。
キムさんの奥さんの香子さんの「絶望はとても強い。すべての色を飲み込んでしまう。しかもとても足が速いのよ絶望は。逃げても逃げても追いつかれる。だから共存することにした」ってなんか重いなぁって。確かにそうだなぁって。逃げ切れたと思っても気が付いたら後ろにいて、そして飲み込まれる。そんなイメージがすごく湧いたし、納得ができた。
最後に正臣くんが勇気を出せてよかった。これは、2人が出会うまでの物語。絶望しながらも希望も持つ2人の物語が、私たちの知らないところで始まっていくんだなぁ。
2022.11.2 読了
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絶望という言葉はネガティブな意味だけじゃない。相手を思いやる素晴らしさを知った。
装丁も題名もドストライク
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「一緒に絶望いたしましょうか」
なんとなく、このタイトルに惹かれて。
絶望って救いのない言葉だけれども、読み終わると、このタイトルがとびっきりの愛の言葉に感じられて、ほんとはぁ〜ってなる♡
すご〜く良かった!!
初読みの作家さんですが、言葉のセンスといい、物語の空気感といい、とても好みな作品だった。
全9章。
最初に9章が描かれてて、全章読み終わると最初に繋がるという構成がまたじわっとくる!
人を殺す夢を見る津秋と、人に殺される夢を見る正臣。
なんの繋がりもないように思える2人の話が交互に語られる。
大切なものをなくしたり、希望を失ったり、絶望感に襲われる事って人生の中できっと誰にでもあるんだろう。
その絶望と共存したり、断ち切ったり、それぞれ選択しながら折り合いをつけて生きていくものなんだろうなと思った。
いっぱい刺さる言葉があったんだけど、1つだけ抜粋するならキムさんのこの言葉。
「恋人同士は希望がなくちゃ一緒にいられないものかもしれない。けどな、一緒に絶望できるのが夫婦ってもんなんだよ」
一緒に絶望できる相手がいるって、それは凄く幸せな事なんだな〜。
きれいごとばかりじゃないとこも好き○
終わり方もめっちゃ好き◎
甘々キュンキュンな恋愛小説ではないけど、とても素敵な恋愛小説でした
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婚約者と共に暮らす津秋と、たまに泊まりに来る年上の恵梨香に恋する正臣
東京と京都で離れている二人の人生が交錯する物語
人を殺す夢を見る津秋と、人に殺される夢を見る正臣
夢占いではどちらも吉夢だと言うけれども、夢占い自体が信憑性が低いからなぁ
そう言えば最近、知り合いが笑顔で自らをメスで傷つけながらこっちも切ろうとしてくる夢を見たけど、吉夢とは思えないんだよなぁ……
冒頭で最後のシーンが描写されているけど
東京と京都
韓国バーの店員と大学生
交わる要素がない二人
それが最終的にはああなるとはねぇ
本編で「許される問い」の話題とか、香子さんの言う色も言及されているので、時系列通りの構成になっていてもいい感じに伏線が張られているわけで、倒叙にしなくてもよかったのでは?と思う
叙述トリック的なものもあるので、そっちの意外性を強調するための仕掛けなのかな?
狗飼恭子さんの作品は20年前に「冷蔵庫を壊す」とかを読んだ気がするけど、内容は殆ど覚えていない
でも、今回読んで、文章の表現が適度に面白く文学的な面もあってバランスが絶妙だと思った
それにしても、恵梨香さんは恐ろしい女ですねぇ
恵梨香さんみたいな人を好きになると、いずれ嫉妬の炎で身を焼く事になる
古沢さんもかなりエキセントリック
ファッションセンスもそうだし、迫り方や脅し方、決着の付け方など、絶対に友達にはなれなそうな気がする……
まぁ、津秋さんにしても結構変わった人なので、登場する女性の中で普通の人はいないのかもしれない
タイトルの意味
津秋さんや正臣くんに関係するものではなく、キムさんと香子さんの関係性のセリフというのは意外でしたねぇ
「恋人同士は希望がなくちゃ一緒にいられないものかもしれない。けどな、一緒に絶望できるのが夫婦ってもんなんだよ」
というキムさんのセリフは納得
タイトルは返事と考えるならば、キムさんは香子さんを見つけられたってことなのでしょうねぇ
結婚式の誓詞で、病めるときも健やかなるときも云々というのがあるけど、苦難を共有できてこそ本物の夫婦の愛情という事でしょうね
ただ、ここで言う絶望に関してはあまり共感あはできないかな
私個人としては血縁の有無にかかわらず子供がいるけど、夫婦の関係性に於いて子供の有無ってそんなに重要なものかね?
いないならいないで成り立つと思うんですけど、そうは考えない人もいるのでしょうね
あと、香子さんの見える色に関するセリフ
香子さんには二人が出会う未来が見えてたのかなぁ?
どこまで認識してたのでしょうかね?
津秋さんの、「不在」がいるという感覚はわからないでもない
私の場合は、ずっといるわけでもないけど、ふと「いない」事を感じる
これて、誰にでもあるんじゃなかろうか?
ま、津秋さんはずっと感じると言うのが特殊性かな
全体を通して、一度読んだだけではわか��ない味がある
いずれ読み返すと思う
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こんな始まり方でこんな展開の本は初めて読んだ。
こんなにもつよく読み終わった瞬間からもう一度分かった上で読みたくなる本は初めて。
タイトルの暗い重そうな感じはあまり感じず出てくる人も変わっているけどすごく好き。
雑学王がもうこの世にいないって分かった時から
私は全然わからず読んでいたんだと。
一見全く関わりもなくこれからも関わることのなさそうな2人が最後ロシアという共通の部分で出会うことになる。
こういうのを読むと運命ってこうやって見えないところで実はちょっとずつお互い関わっているんだと思った。
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タイトルだけで読んでみたいと思って探して探してやっと入手したこの本
まさかの恋愛小説でした
恋愛小説にありがちなキラキラした内容も展開もないけれど、そういうのが苦手な人はこんな恋愛小説なら読めるんじゃないかと思います
人生で一度も絶望したことない人なんていないよね
そしてその絶望を救ってくれる人、救ってくれた人は自分にとってかけがえのない人だよね