文章を知りたくて
2023/01/12 12:20
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投稿者:fuku - この投稿者のレビュー一覧を見る
二丁目のバーを舞台とするトランスジェンダーの物語短編集。
私自身は性別認識に悩んだことはないのだが、李琴峰さんの文章が読んでみたく、手に取った。台湾人としてゼロから日本語を学び、翻訳も多数手掛け、この若さで何作もの小説を日本語で出版するなんて、ものすごい言語感覚、文才の持ち主だから。
読んでみて、(個人的には)少し風景描写がくどいかな、という部分はあったものの、美しい日本語だった。そして、知ることのできない感覚や葛藤、普段意識することのない世界を、垣間見られた。
ジェンダーレスか、ボーダーか
2020/04/06 20:06
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投稿者:真太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
性別にとらわれない世界が望ましいのか。
性別に区分があるほうが生きやすいのか。
人間、個の生物で、幾通りもの生き方があっていいじゃないか。
最後の夜明けの章に、すべてが詰まったように思います。
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ブクログにきて驚きました。ぼくは、ほとんど引きこもり、御近所徘徊老人ので「世間」には疎い。だから、本の話も古い。たまに新しい小説をよんだりすると、世間の動向が気になったりしますね。この作品はかなり新しいので、ブクログのレビューを楽しみにして来てみたが、あんまり読まれていないようです。残念!
読み終わって、著者のまっすぐな気持ちを感じるいい作品だと思いました。レズビアンの女性の話だから、新宿二丁目の話だから、そのあたりが壁になっている人が異類なら心配いりません。普通の人間の普通の生き方が、まっすぐにつづられています。ぼくが老人だからそう思うのかもしれないけれど、たしかに明るくはないかもしれない。けれど、前を向いた青春小説だとおもいましたよ。
詳しくはブログに書きました、どうぞ、覗いてみてください。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202005220000/
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新宿にあるバー「ポラリス」に集まる人たちの、それぞれの物語。
知らない言葉がたくさん出てきて、勉強になった。
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読んでいる最中からずっと、帯に書いてある「純愛小説」という単語があまりしっくりこなかった。確かに女性同士の恋愛を描いた作品ではあるけど、純愛小説というよりもっと生々しくてリアリティのある、ほとんどドキュメンタリーのような文章じゃないか。後半の作品では新宿二丁目の歴史までまとめられている。登場人物一人ひとりの切実な生き方が全部刺さった。読んでいて苦しいほどだった。
というレビューを投稿しツイートしたあと、エゴサしたらしき編集者さんから引用リツイートで「純『恋』小説なんです」と教えていただいた。帯をちゃんと見たらほんとうに「恋」だった! 確認不足で反省。それにしても純「恋」は純「愛」よりもずっとずっとしっくりくるなぁ。
セクシュアリティには細分化された名前がたくさんある。作品中でたびたび登場するさまざまな呼称は、その呼称をつけることそのものについても考えさせられた。名前をつけることで自分の類型がわかって安心する人もいれば、名前をつけられることで枠にはめられたような気分になる人もいる。私はどうだろう。少なくとも、その名前だけで自分や他人を判断することがないように生きたいと思う。
【読んだ目的・理由】著者の記事を読んで興味を持ったから
【入手経路】買った
【詳細評価】☆4.0
【一番好きな表現】自分が子供なんて作らなくても、自分の遺伝子なんて後世に残さなくても、自分が刻んだ命の軌跡は人間の営みと共に、連綿と受け継がれていく。(本文から引用)
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連作短編集7編
夏子の新宿2丁目のレズのお店「ポラリス」にやってくる傷ついたマイノリティ.性に関わる生きづらさがいろいろな形で現れ,哀しい結果になったり癒されたりする.この本で性差に関するあり方の多様性を知った.偏見に負けないでほしい.
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ジェンダーっていうのはアイデンティティの根幹を為す部分だと思うから、そこが揺らいでいたり、周りに認めてもらえないというのはすごく辛いだろうな。あと、オードリー・タンの印象が強いけど、台湾でももちろんまだLGBTへの差別が強いんだなと改めて感じた。
読み進めるうちに連作小説になっていることに気づいて、構成もよかった。多種多様な人たちのジェンダーが描かれているけれど、この作品から感じたのは今の時代に至るまでの新宿2丁目の文化を気づいてきた人たちへの敬意だった。まだ広くLGBTという知識がなかった時代から地道に、連綿と居場所を築き上げてきてくれたことへの感謝の念に溢れた作品だった。
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様々なジェンダー、人それぞれの捉え方、そして物語の中に深く織り込まれた台湾、中国の歴史。
ひとつひとつの章の重みが、とても短篇集とは思えないものだった。
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レズビアン、トランスジェンダー、ゲイ…
それだけの名称では収まらない多様化する性の形は、むしろ表面化したことによりやっと”多様な性のあり方”が本当はずっと見えない場所にあったのだと私たちに教えてくれる
在日台湾人の筆者が記す、イマの新宿二丁目の昼と夜
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夏の白鳥のお話が好きでした。一つ一つの物語の登場人物が繋がっていてそれぞれ全く違う背景があって中国台湾日本オーストラリア昔の日本と複数の場所と時代を横断しているけど繋がっていて面白かったです。あと街中人生相談やってる人に相談しに行くところも、どんな相談乗ってくれるんだろうと思ってたので少し知れて良かったです。
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意味合いが違うけど ジュンパ・ラリヒさんの「その名にちなんで」を思い出した。
マイノリティとして生きること、そういう風にカテゴリーに分けられること。そしてカテゴリーに分けることは誰がやるの?…そんな疑問はいつも持っとかないと知らずに「たくさんいる派」の理論で押してしまう…
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私意外が仲の良い、あまり知らない人たちのグループの中で、身を潜めている。
会話の内容が、私の日常の円とは全く重ならなくて、でもその集団では、当たり前でくくられている。
そんな感じだから、会話に入ることもできなくて、かと言って無表情なのも異物になってしまうから曖昧に微笑んでいる。
そんな気持ちに似ているのだろうか。
想像したところで、本当のことは当事者でないと分からない。分からないけれど、知ることはできる。
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7人の女性のセクマイとしての物語がとあるレズビアンバーで交錯する。
まず風景描写が良かった。
二丁目近辺の描写がびっくりするほど精確になされていてゲイの自分としては感心した(李琴峰さん自身もレズビアンとのこと)し、
台湾のひまわり運動についても雰囲気や温度感、匂いまでも伝わってきて、当時facebookで繋がっていた台湾の友人がたくさん情報発信をしていたが、むしろSNSを見るより伝わったかもしれない。
またセクシャルマイノリティの中でもバイセクシャル・レズビアン・トランスジェンダー、アセクシャル、日本人・台湾人・中国人と多様な恋模様・人間模様が見られていて、このあたりの解像度の高さもLGBT界隈の作品では意外と見られないものだと思った。
7人の物語が今ひとつにつながって大団円に…!という展開ではなくあくまで平行的で、それぞれの物語が淡々と進む。
苦い話も多く、特にトランスジェンダーの登場人物はやはりセクマイの中でも苦しいことが多いが、最後に少しだけ希望があるような終わり方をするのはやはりそれらの物語が交差する場がきらりと光る「ポラリス=北極星」だからだろうか。
★時間とお金のムダ
★★普通〜微妙
★★★よかった
★★★★心が動いた(感動した、意表をつかれた、ショックだった)
★★★★★人生の本棚に入れたい
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日暮れ 読了
この本を読む前にべつのレスビアン小説を読んでいて、それと比べるとりことみの文章の綺麗さが引き立っていました。しかしは話は好きじゃなかった。
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LGBTQや性的マイノリティと括って理解したつもりになって安心してしまう(私も含めた)マジョリティたちへ突きつける小説だった。(SDGs=エコ みたいなね)
彼らはマーケティングの道具じゃないし、国籍や性的志向、性自認に年齢も異なる個別具体的な人間なのだと。インターセクショナリティという言葉を理解するとっかかりになる物語。
台湾や中国の政治について、トランスジェンダー女性のレズビアンについて、必要なのは理解や共感ではなく「制度と権利」なのだと感じた。マジョリティがそれについて扱うときの無邪気な暴力に、ほんとにほんとに自覚的にならねばならないと思う。