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月村さんが女子中学生を主人公に!?とびっくりしつつ読み始めたのだけど、とにかく超吸引力に最後の最後まで引っ張られての一気読み。
面白い。とにかく面白い。
「中学生の読書感想文とスマホ」を題材にここまで面白いミステリが書けるものなのか!!
いやぁ、さすがです、月村さん。
学校代表に選ばれた読書感想文が昔の入選作のパクリだった、というLINEでの密告から、学校中が大きな渦へと巻きこまれていく。ある生徒のスマホが別の生徒のカバンから見つかり、そこにまた別の生徒からの通電が入り、誰が何をしようとしているのか、全員が疑心暗鬼。ここまでなら学園ミステリ路線。
ところがそこから話が広がる。学校代表の座を競い合った二人の女子生徒。その父親同士が学校統合の賛成反対両派のトップであったり、そこに業者癒着だの担任の野望だのが入混じり…もう、なにがなんだか、大混乱。
その大混乱の最終章、劇的クライマックスの最大の見せ場。とある方からこの場面からヴィヴァルディの四季 冬 第一楽章を聞きながら読むのがおススメ、と言われていた通り、気持ちも昂りまるで劇を見ているようで!!
かつて、教師は聖職で、政治家は公僕であったはず。その聖なる人々の邪悪さ、そして、清純であるはずの女子中学生の狡猾さ、そこに「その他大勢」の保身や嫉妬、自己中に野次馬根性、とにかく「悪意」のオンパレードでもってラストを盛り上げる。イヤミス上等!むしろあっぱれ!
とりあえず、教師にはなりたくない、と思ってしまったわ。いや、なれないけどね。
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市立駒鳥中学校は、一学年に一、ニクラスの小規模校で、目立ついじめも暴力事件もない平凡な中学校。
作家の夢に挫折し国語教師となった汐野が、文芸部の顧問として指導し、最優秀作として全日本コンクールに出品した読書感想文が、過去の優秀作の盗作だという告発のLINEが流れる。
感想文を書いた生徒が教育委員会の教育長の娘だったこともあり、悪質なイタズラとして片付けようとした学校側の思惑をよそに、またあらたなLINEが投稿され、やがて保護者たちを巻き込んで問題は大きくなっていき…
月村了衛さんが中学校を舞台にサスペンス?と意外だった。
読んでみれば、中身は中学生の話ではなく、夢破れて傷ついた自尊心と密かな野心を腹の中に育て、なお疑心暗鬼に陥って苦しみのたうち回る男の姿。
うーん、ハッピーエンドでもない。爽快感もない。
でも、やっぱりヒリヒリした緊迫感で、一気に読まされてしまった。
月村作品の多くに登場する、寡黙ながら強い信念に貫かれた主人公…というイメージとは全く違う、汐野。
ちょっと嫌な男だけれどごく普通の男が、とことん悪い巡り合わせで悪意を一身に浴びて苦しみ、悲痛な叫びだけが残るラスト。
なんともやるせないような、もうすぐ人が獣に変じるのを見てしまいそうな。
国語の授業シーンとして『山月記』が使われ、李徴の言葉が汐野を苛むように繰り返し挿入される。
というか、そのために中学校を舞台にしたんじゃなかろうか。
ところで、書道部顧問の塙が探偵役になって、哀れな汐野をギリギリでソコソコ助けたりするのかと思ったら、大ハズレでした〜。
ははは、低俗な予測でスミマセン。
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突如、SNSに書き込まれた読書感想文の盗作疑惑。これを皮切りに雪だるまが下へ転がり大きくなるかのように次々と問題が発生します。果たして、犯人は?主人公は良い方向へ進むのか、悪い方向へ進むのか。
月村さんというと、アクションシーンの描写が秀逸という印象でしたが、この作品では、そういった描写はなく、新たなジャンルを開拓したように感じました。
読みやすく、犯人は誰なんだろう、次どうなるんだろうと続きが気になってしまい、あっという間に読んでしまいました。とにかく次々と展開が変わっていき、世界観の魅惑に取り憑かれました。
将来、先生を志そうとしている人にとっては、この作品を読まない方が良いというくらい、教育現場での裏側がリアルで、大変さが窺えました。責任を背負いたくないが如く、先生達の陰の部分が垣間見れました。
また、登場人物たちの欲望が渦巻いていて、読んでいてイライラ感が募りました。
特に焦点となるのは盗作疑惑事件なのに、陰謀論とか関係のないことに人々が踊らされていて、深読みしすぎとか論点がズレているとか思ってしまいました。そういった点では、この時世と共通しているのかなとも思いました。
真相が明らかになるにつれ、段々と登場人物の仮面が剥がれ落ちていく様は、読んでいて開いた口が塞がらない感覚で、呆然としました。醜さ全開で面白かったです。
一応、盗作疑惑事件は解決しますが、その後の末路は、人それぞれで、複雑な心境になりました。良い方向へ進む人もいれば、悪い方向へと進む人もいて、主人公は果たしてどっちなのか。ぜひ読んでみてください。改めて教育現場は恐ろしいと感じさせてくれました。
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月村了衛さんの新刊は、中学校を舞台に生徒の読書感想文の盗作疑惑がSNSを介して教室→職員室→教育委員会へと拡散されて炎上していく学園サスペンス。主人公の教師・汐野が、SNSに投げられた読書感想文の盗作疑惑の正誤を追跡し、盗作情報を拡散させ学校を混乱に陥れる犯人を探すフーダニのミステリーとしても楽しめるし、ネット炎上の如くリアルな世界も炎上していくメタファー的な見方もできる作品。「嘘」がキーワードの一つでラストの騙しあいはスリリングで面白かった。
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SNSに投じられた学校代表の「読書感想文」盗作疑惑。
渦巻く疑心が人の心の暗鬼を呼び覚まし、一人の教師を奈落の闇に突き落とす。
エンタメ小説の鬼才が教育現場の圧倒的リアルに迫った学園震撼サスペンス!
妙にリアルな描写もあるにはあるが、やはり絵空事であった。版元が青少年読書感想文全国コンクールの主催者の出版部門というのは、意図的?
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◆おすすめ度◆
・中学校を舞台にしたサスペンス小説度:★★★
・事件はどんどん迷宮に度:★★★
・終盤で印象が一変してびっくり度:★★★★★
◆感想◆
薮内三枝子の読書感想文が、駒鳥中学の優秀作として読書感想文コンクールに出品される。その感想文に「盗作」の疑惑が…
中学校を舞台にした、読書感想文の盗作疑惑をメインにしたサスペンス小説。
SNSに投稿された「藪内の読書感想文、昔の入選作のパクリだって」という告発は、いったい誰が。
その告発は本当なのか。
教師や生徒だけでなく、保護者をも巻き込んでいく盗作疑惑。
事態は混迷を深めるばかりで、解決の糸口もみいつからない。
犯人は誰? 動機は? 事件はどう収束するのか? という展開のサスペンス小説。
シリアスなタッチで事件が展開していくが、びっくりするような大事件にはならないし、派手な展開もないし、著者にしてはこじんまりしたサスペンス小説だなぁ、なんて思っていたら終盤で大化け。
それまでの印象を一変させる展開に。
まさに「暗鬼」の為せる技。
人の心は闇で満ちてますね。
身近な人でも、心の奥では何を考えているのか分かりませんね。
怖いですね。
随所に著者自身の「文学」や「作家」に関する考えや心の叫びとも取れる表現もあったりして、さらに物語が「暗鬼」にまみれて、一種の凄みがある。
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屈折した思いを持つ主人公と、山月記をなぞらえたモノローグ、最後のどんでん返し…単純な教育問題だけではない、ブラックなミステリー。
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読書感想文の盗作疑惑を巡る校内狂騒を舞台設定にして、現代社会の様々な問題点を鮮やかに浮き彫りにしているが、秀逸なのは小説家を希望しながらも認めらず教師に甘んじている主人公の心情を「山月記」で、登場人物たちの闇や暗鬼の姿を「藪の中」で、代弁することによってより深く抉っているところだ。読み易く書かれているが、深い洞察力によって透徹されていることが行間から滲み出ている傑作。
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月村了衛『暗鬼夜行』読了。発売直後に買っていたけどなんとなくそのものものしさに気がひけていたけれど一度読むほどに底なし沼に引き込まれるよう。小説家志望だった中学教師の教え子に読書感想文の盗作疑惑が持ち上がり…そこから羅生門や山月記といった"文学"に絡めながらも人間の業を描く傑作。
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夏休みの課題である読書感想文。駒鳥中学校の最優秀作を全国コンクールに出品した直後に、生徒達のLINEに盗作をほのめかすメッセージが届く。当該生徒の担任であり文芸部の顧問でもある汐野の行動や、教頭・校長の対応は呆れ果てたものだが、理想や情熱のない教師なんてこんなものかもしれない。盗作疑惑の追及や犯人探しをせずに400ページ近い本書を読ませる力量はさすがだと思うが、残念ながら読後感は決してよくはなかった。
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駒鳥中学校の読書感想文全国コンクール出品作に盗作疑惑が…。闇を抱える生徒、鬱屈を抱える教師、事なかれ主義、政治的に動く管理職やPTA役員…。こんなことが学校で起きるはずがない。そもそもたかが感想文に。設定を抜きにすればそれなりに楽しめるが、この作者さんにしては期待外れ
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#読了 読み始めたら面白くて一気読み。ずっと気になっていただけど読めていなかった作家さんだったので、これから他の作品も読んでみよう。
登場人物たちのほぼ全員に共感できなかったけど、こういう面が自分にもあって、ただ目をそらしているだけなんだろうなーと反省もしてしまった。
ご都合主義を感じる舞台装置、展開ではあったけど、それよりも人間の中の暗い感情の発露が気持ち悪くてのめり込んだ。
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題材は全く違うが「騙す衆生」と相通ずるものを感じた。自分が中学の時は保護者たちのことなんて噂したことすらなかったけど、今の学校が作中のようなら実におぞましい。そして馳星周の「不夜城」を思い出さずにはいられないほど呪詛がすごい。
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中学校のコンクール代表に選ばれた読書感想文が盗作ではないかという疑惑から始まるサスペンス。盗作問題はやがて学校の廃統合問題へと繋がり、保護者や権力者まで巻き込んで事態は大きくなるばかり。そんな中で翻弄される教師の姿がもうなんともいえず悲愴……これ、教師をやっている人が読むと恐ろしいんじゃないでしょうか。
主人公の汐野、たしかにあまり好感を抱ける人物ではないのですが。それでもここまで散々な目に遭わされるのは可哀想にならないでもありません。いやいや、それでも自分の好みに合わないものを軽蔑して扱き下ろすってのには腹が立ちます。文学語るのもいいけれど。本は楽しく読めればそれでいいんじゃないでしょうか。少なくともそう思っている人を否定するのは狭量に過ぎます。
それにしても、女子中学生たちがなかなかに強かで怖いったら。ぞっとさせられます。繰り返しますが、教師をやっている人が読むには恐ろしすぎる物語だと思います。
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「土漠の花」がスケールが大きく面白かった。
反してこれは中学の読書感想文の盗作がテーマ
教師 教育委員会 役所 そして生徒
それぞれが絡まりドキドキするミステリー
とても面白かったのだけれど
うーん 共感しにくかったなあ
あまりにもエゴとエゴ
汐野の生い立ちとか家族は?
キャラクターが出来上がったわけが知りたいと思った
登場人物の名前とキャラクターがごちゃごちゃになってしまった
それにしても 中学生 こわー
≪ スマホから 疑心暗鬼が 一瞬で ≫