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果てもない道中記 上
著者 安岡 章太郎
『大菩薩峠』の物語世界を探索する傑作エッセイーー『大菩薩峠』の開巻劈頭、老巡礼が理由もなく机龍之助に斬り殺される。死と背中合わせの病床にあった著者は、この老巡礼に自らを重...
果てもない道中記 上
果てもない道中記 上 (講談社文芸文庫)
商品説明
『大菩薩峠』の物語世界を探索する傑作エッセイーー『大菩薩峠』の開巻劈頭、老巡礼が理由もなく机龍之助に斬り殺される。死と背中合わせの病床にあった著者は、この老巡礼に自らを重ね合せて理不尽な死に想いを馳せる。こうして、不朽の名作『大菩薩峠』探索の旅が始まる。激動の幕末を流浪する盲目の剣士・机龍之助を追跡しつつ、著者の筆は、時に作者・中里介山の思想に及び、また自らの体験や感想に言及して、自在に飛び交う。<上下巻>
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紙の本
「語り直し」としてのフィクション
2002/07/04 04:27
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あおい - この投稿者のレビュー一覧を見る
時代小説の金字塔として知られる「大菩薩峠」について書かれた本書は、評論ともエッセーとも違うとても不思議な肌触りのある本である。
「大菩薩峠」という小説は、文庫本にして二十巻にしてなお未完という破格の大河小説だが、机龍之助というニヒルな剣士の放浪を軸に、仏教思想を背景に描かれたユートピア小説としてそのスケールの大きさと思想性の深さがこれまでも多くの評者によって指摘されているが、実際に読んでみるとそのあまりにも長い作品の文章にはどう見ても単なる稚拙さにしか思えないような部分があり、未完であることも手伝ってなかなか読了することが難しいのだが、この本は「大菩薩峠」について語りながら、ほとんど何も明快な結論を示すことなくえんえんと引用が続き、著者安岡章太郎によるメタ・フィクション的な「語り直し」の企みなのではないかとさえ思われるもので、「大菩薩峠」の読者も、「大菩薩峠」に関心を持っていながらなかなか読み出せない、また読み終えられない読者にもある種の感銘をもたらしてくれるだろう「作品」であると思う。