紙の本
夢みたい
2020/06/23 19:52
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投稿者:真太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
すべての作品が重いと感じてしまうほど、初め温かな話かなと思いきや、まさかのオチ。ファンタジーなのか、幻想なのか、どちらにもとれる。
紙の本
あたたかい料理と悲しさ
2023/11/01 20:55
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投稿者:302 - この投稿者のレビュー一覧を見る
冷たく悲しいような、寂しいような…
でも出てくる料理はどれもあたたかく、美味しそう。
同じ料理でも、誰が誰のためにどんな想いで作ったかで味の感じ方や効果が違うと思う。
紙の本
クセのある登場人物
2022/04/11 13:56
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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
クセのある登場人物の話が多いかな。
全編、料理というか食べ物が出てくる。
キーワード的な扱いか。
必ずしも爽やかな読後感ではないような気がする。
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久しぶりに読んだ彩瀬さんの作品がこれでよかった。彩瀬さんの言葉選びには角がなく、どれも丸みを帯びたやさしさがあるけれど核心をついている気がする。そのまろやかな文体が心地よくていつまでも読んでいたくなる。
食をテーマにした6つの短編は、どれも私たちの生活で食べることが生きることに直結していることを突き付けてくる。そして今作では食べることと世間で「当たり前」として植え付けられている固定観念に対する違和感を絡めて紐解いてくれる。ちゃんと働くこと、正しい母親としての在り方、家族の歪な関係性…誰しもが一度は疑問に思ったことがあるだろう小さな違和感を、丁寧に描いている短編集だ。
きっと子育てをしている母親は、「ポタージュスープ」のお話が刺さるんだろうな、と思いながら、そういえば私は自分の母親の好物は即答できるのだろうか?と考えた。当たり前に出される食事はいつも自分と父親のために並べられており、母親はそれに口をつけることは滅多にないことを思い出した。きっとそれは楽しむための食事ではなく、生きるための食事になっているのだと思って少し悲しくなった(食べることが何よりの楽しみであると特に)。
一番好きだったのは「かなしい食べ物」だった。灯がメリーゴーランドに乗りたがらずただ側から眺めている理由がなんだかわかる気がして、それでも彼女に乗ろうと誘った透のやさしさが響いた。きれいなものを手中に収めず、ただ遠くから眺めていたい。夢から覚めないように一定の距離を取る彼女が以前『くちなし』に収録されていた「愛のスカート」のトキワを思い出した(今作では少しニュアンスは違うけれど)。
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「かなしい食べ物」が好きです。
じんわりと胸にしみます。
「シュークリームタワーで待ち合わせ」の夜子の結婚に関しての考え方に色々考えさせられました。
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不思議な感覚だった。
どの作品もちょっと重いんだけど、食べる事、作る事で気持ちが前にいく。
生きる事は食べる事なんだと実感した。
彩瀬さんらしい本だった気がする。
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色とりどりの羽を持つ鳥、優しい色味の枝豆パン、ミルキーな回転木馬、玩具みたいなピザ、レモンイエローのホイッスル、冬の夜空のような深鉢、シュークリームタワー、色とりどりの野菜が入った具だくさんシチューと各章に登場するモチーフがいちいち可愛いのが憎い。
食べ物も勿論おいしそうだったけど、それ以上に悩み生きるどこか子どもっぽさを残した登場人物達が愛おしくてしょうがなかった。
何故だか母親のような気持ちで幸せを離さないでほしいと願う。
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人が作ってくれた食べ物の力ってすごい。
両親が離婚した学生の時、ふらっと立ち寄った祖母の家で「お腹空いたんじゃない?」と作ってくれたなんでもない牛丼を食べながら、涙が止まらなかったことを思い出した。
他者との距離感、人との関わり方、人それぞれでどれが正解なんてないけど、生きるために食べることはみんな一緒だ。
人の作った料理は、言葉以上の何かを語ることがあると思う。
明日も食べたいものを食べよう。
1人でも、大切な人とでも。
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”初恋の彼”との思い出の品である枝豆パン。
病に倒れた父の友人が、かつて作ってくれた
鶏とカブのシチュー…。”あのひと口”の
記憶が紡ぐ、6つのたべものがたり。
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私は料理や食べ物のお話が好きで、そういう小説や映画を好んで読んだり観たりしています。
小説の場合は割とはっきりと、ただレシピ本を読んでいるだけのような無機質な感覚に陥る文章と、料理のにおいも色も味も温度も想像させてくれるような文章とに分かれます。
私にとって、この本は後者でした。
どの料理もおいしく想像できました。
お話の中には、生きていると誰もが遭遇しそうな「日常のざらっとした違和感」を、優しく掬って洗い流してくれるような温かさがありました。
一番最初の話だけ、少し理解が難しかったです。
後半になるにつれて面白くなっていきました。
生きることと食べることは同義なんだなと
改めて思わされました。
いろいろな職業の人が出てきて、その表現がリアルだったのも良かったです。この作者の本をまた読んでみたいと思いました。
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彩瀬まるさんの新作は「思い出の食べ物」をテーマとした6つの短編集。登場キャラクターは心に傷を負っており、あの時食べた思い出の食べ物を通して自分の弱さを克服していく。個人的には、鳥が食べられない謎の美女・清水さんの話「ひと匙のはばたき」がメタファー要素もあり面白かった。「食」というのは生きていく上でも必要であり、人と食事をすることで忘れられない人間関係を構築したり、おいしいものを食べることで、時にはで救われることもあるのだなとつくづく感じた。
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ああ、なんだろうなあ、大人になるにつれて増えていくやりきれなさと少しの希望とのバランスみたいなものが絶妙で、一気に読んでしまった。
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食にまつわる6つの短編集。
ほろ苦く、切ないストーリーが多かったです。
また、家庭内での問題を軸に、男女平等について考えさせられる部分が多かったのも印象的でした。
人それぞれ、好物や食への関心度が違うように、登場人物達の人生もそれぞれ。自分と相容れない考えの人物がでてくる話や、不思議なお話も。辛い事も切なさも、色んな事を乗り越えて、生きていくために食べる。食べること=生きることなんだと、改めて思いました。
「ポタージュスープの海を超えて」が好きでした。無自覚でも記憶の底に残る事に、報われるものがある。読後は自分も、もう会えない人達と食事をした時の笑顔や場面が蘇り、恋しい気持ちになりました。
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“食”をテーマにした6編の短編集。人(に限らないが)が生きていくために、必ず必要な食事。自炊したり、誰かに作ってもらったり、出来合いのものを買ったり、外食したり……。さらには誰と食べるか、なにを食べるか、どんな状況かなど、無限のドラマが生まれる。収録された6編はどれもまったく似ていなくて飽きさせない。ちょっとだけ塩味が強かったような気がするが、全体に優しい味わいだった。
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生きることは食べること。
いま2歳の子どもがご飯を食べてくれなくて、食事の時間が苦痛だった。
日々焦り、試行錯誤して、自分の食事は適当に済ませていた。
食べることは生きること。
この本を読んで、久しぶりに自分のための料理を作った。
子どもには好きなものを食べさせた。
すごく心が軽くなった。
明日からはもう少し食べてほしいものを食べてもらいたいけど、
これでもいいんだと思えた。
とても染み入るいい本に出会えた。