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さくらさくら
著者 榊原 史保美
彼は青い月光を含んだ冷たい夜の空気で胸を満たしたかった。けだるい足を運んで、彼がその開けはなった高窓の鉄枠に身をもたせかけた、その時だった。青い桜の下に、ふいに白い影が浮...
さくらさくら
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商品説明
彼は青い月光を含んだ冷たい夜の空気で胸を満たしたかった。けだるい足を運んで、彼がその開けはなった高窓の鉄枠に身をもたせかけた、その時だった。青い桜の下に、ふいに白い影が浮かび上がった。ぎくりと身を起こして凝らした目に淡く儚げな少年の姿が一瞬映り、瞬きする間もなく青い闇の中に溶け入って消えた。(本文より)
精神科医である安達実彦は、赴任先である郊外の病院を訪れた。中庭の中央には、明らかに古木と知れる、なんともいえない妖しい息づかいを感じさせるような桜があった。やがてその桜にまつわる不吉な伝説を聞かされて……。本格耽美サスペンス。
●榊原史保美(さかきばら・しほみ)
東京都出身。立教女学院を経て中央大学文学部哲学科卒。1982年『小説JUNE』創刊号の最優秀投稿作に選ばれ、「螢ケ池」でデビュー。1985年、初の単行本、『龍神沼綺譚』を上梓。以降、民俗学、宗教学の素養を生かし、形而上学的テーマを昇華させた作品『鬼神の血脈』『荊の冠』等、多数発表。美意識に貫かれた作風により、「耽美小説の草分け的存在」と称されることも多い。1995年発表の『蛇神 ジュナ』より、ペンネームを「榊原姿保美」から現在のものに改めている。趣味は、陶芸、写真、近代建築・ギャラリー巡り。
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再刊、電子版
2022/03/23 19:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:M★ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ずっと読みたいと思っていた作家本が、
最近になって、榊原史保美先生の絶版本が6タイトルが電子で復刊
サイトに出ていたので、読了。
「青月記」を読みたかったけれど、まだ再刊されていないので、
先に「さくらさくら」を読んでみました。
電子版は、本編のみの収録。
病みゆく夜、満開の桜が血に染まる……桜塚という地名に隠された謎
桜守の伝承と、鏡、自殺した人達
一章から5章。
あとがき無し。
・・・事件の謎を解くBL風推理小説だった。
美少年が登場します。エロくないです。結末耽美風です。
純粋に小説としての完成度が高いと評価されているだけあって、読みやすい
語彙選択のセンスが良い。
『月の振り子』も読む予定。