紙の本
政略結婚だって幸せになれる
2022/06/16 20:15
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投稿者:yukiちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルから、もっとドロドロした話かと思っていたが、美味しいお茶をいただいた時のような、清々しい読後感を持ちました。
加賀前田藩に連なるお姫様の話から(実在の人物なんですね)最後の華族女優まで、真に自由な女性の生きる道とは何か。そのことを考察させられた。
あと、政略結婚の駒にされるような女性には、しっかり者のお付きの存在が不可欠なのだなと感心させられた。
個人的には、第二章の「プリンセス・クタニ」が一番おもしろかった。
「サンフランシスコ万博のパビリオンの前に、すっくと立つ万里子のポートレイトが欲しい。」と真剣に思ってしまいました。
やっぱ高殿さん、お話上手だわ。
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幸福な表紙絵の2人とタイトルから、親の決めた結婚相手と仲良く添い遂げるのだろうかと思ったが、そんな単純なことではなかった。江戸のころ作られた大皿が、明治、昭和と姫たちの行方を見守る3編。
江戸の話では、時代なりの悲劇が次々と嫁の勇をおそい、いろいろありすぎて結婚相手である「てんさいの君」の存在感も薄れるほど。でも数多の不幸を前に、義母の「死なぬものは死なぬ」という言葉を胸に顔を上げて生き、役目を全うしようとする勇は凛々しい。あと着々と出世していく蕗野もいいな。
二章のプリンセス、万里子は聡明で進歩的、でもお家のこともまだ考えざるを得ない時代に生きている。ただ"故郷"の小松藩のことを知ろうとすることが、義務感から仕方なくというふうではないのがいい。
三章は金融恐慌で没落した家のプリンセス。母と娘の関係も描きつつ、職業女優として生きる白樺かの子の心情がこまやかに描かれていて読みごたえがあった。初めて薔薇を踏んだ日、菊を拾って歌った日、目に浮かぶような場面がいくつもあった。さすがは女優だなと言いたくなるような。
ほんの100年少々の間に激変した価値観。幸せも自由も、時代によって意味が変わる。その荒波を乗り越えた女の物語、おもしろかった。
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加賀藩主前田斉広の三女・勇は、加賀大聖寺藩主前田利之の次男・利極と結婚。やがて家を支える存在になる勇だが―(「てんさいの君」)。
加賀藩の分家・小松藩の子孫である万里子。日本で初めてサンフランシスコ万博の華族出身コンパニオン・ガールになった女性は、文明開化後をどう生きるのか―(「プリンセス・クタニ」)。
瀟洒豪壮な洋館に生まれ育った花音子の生活は、昭和恐慌によって激変。新宿のレビュー劇場に立つことになった花音子は一躍スターダムにのし上がるが―(「華族女優」)。
不思議な縁でつながる、三つの時代を生き抜いた女性たち。聡明さとしなやかさを兼ね備え、自然体で激動の時代を生き抜く彼女らをドラマチックに描き出した、壮大な大河ロマン!
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江戸時代の加賀藩の姫君から始まり、明治大正、昭和と続く、系譜が、大きな流れとして大元にあり、そこにまつわる女性たちの生きざまが描かれている。時代ごとに常識や価値観も変化し、しあわせの形や、女たちの在りようも変わってくるが、彼女たちの芯にある強さは、時代が流れても変わらないという印象である。降りかかる運命に、打ちひしがれることなく、一歩でも前へ、と進んでいく姿は、置かれた状況が違っても、共通している。ストーリーは、タイトルから想像するのとはいささか異なってはいたが、どの時代の主人公も思わず応援したくなる物語である。それにしても、なんとも波乱万丈な一生を送られた女性たちだこと、と思わされる一冊ではある。
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江戸・大正・昭和の各時代を生きた3人の女性を主人公に「昔の」女の生き方をテーマにした作品だった。タイトルから想像するほどには、結婚が中心テーマではなく…。タイトルとの齟齬は感じつつも、内容は読みやすかった(作者はライトノベル出身なのだそう)。
現代とは価値観の違う各時代を生きた女性たち。それぞれに波瀾万丈な人生を自分らしくしなやかに生きた姿がかっこいい。展開が都合が良すぎるか?と思わなくもないけど、それはそれで作品の醍醐味。きっと名もなき多くの女性たちが、過去に主人公たちと同じような境遇にあり生きていたんだろう。
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三つの時代で生きる女性たちの大河って感じだった。政略結婚というタイトルだけれど、実際は結婚というよりそれぞれの身の振り方がテーマかなと思った。
近代にかけて生きるのしんどくなってて大変。主人子もどんどんパワフルな人になっていく。
個人的に最初の話が一番好き。てんさいの君こと夫がすごく優しくてお茶目で良い。
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加賀大聖寺藩前田家(篤姫の時代)
その縁戚の小松子爵家(明治中頃)
その縁戚の深草伯爵家(昭和初期の華族制廃止まで)
の婚姻をキーワードにした女性の人生が織りなされる。
時代や生活の様子が細かに描かれていて、そういう時代だったのかと感嘆しながら読んだ。
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時代ごとの恋愛を描いているが、時代が違えど女性の強さは一貫としていてとても素敵だと感じた。
個人的には、てんさいの君がお気に入り。
家族、人の繋がりってすごいなと思った。
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1番好きな小説のひとつです。どれから読んでも話はわかります。個人的は、他の方もあげられた2番目のプリンセスクタニの話が好きです。
江戸時代の前田藩のお姫さまが江戸に嫁いできての話→これは後でwikiを読んで知ったのですがかなり史実が入っているのですね。てんさいの君(てんさい糖=甘い)と呼ばれた夫との関係や、江戸時代の奥の女性に求められた役割など…
明治大正の小松藩のお姫さまが2話目の主人公です。
パリ生まれで、生まれの小松藩には足を踏み入れたことのない万里子が、九谷焼を万博に売り込んでいく現代のお仕事小説のようなストーリーです。
ちなみに、私はこの話を読んでからどうしても九谷焼が欲しくなりそれなりに高価なものでしたが、金沢にいき購入しました。笑
3話目は昭和の没落華族令嬢が主人公です。
高殿円さんも2話目が創造ならば3話目が破壊だと表現していましたが、2話目の前向きな明るい話とは打って変わって退廃的な、耽美的な雰囲気の漂うストーリーです。
家も失い新宿の劇場で歌手としてレビューに立つ花音子、段々と迫ってくる戦争の影響。
花音子がステージで客の投げ入れた生の薔薇を踏み潰すシーンが、大好きです。
3話目がはまった方にはぜひ高殿円さんのグランドシャトー(戦後の大阪キャバレーのお話)もすすめたいですね。
またハードカバー版の3主人公の表紙のデザインも美しいです。
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年をまたいで読了。
タイトルと表紙の絵がちぐはぐな気がして、どう読み進めたら良いのか、最初の1ページをめくるのに日数がかかった。
が、飲み始めて思ったことは、さっさと読むんだった!
これは政略結婚そのものの話ではなく、お姫様達のハッピーウェディングストーリーでもない。
格式ある家に生まれた三人の、生きざまの物語。
家系図に名前がなく、「女」としか記録されない時代
家を存続させることが何よりも大事だった時代
そして家名の価値がなくなってしまう時代
そんな時代を名前のない「女」ではなく、
自分らしくたくましく、美しく、力強く生きる姿がまぶしい。
当時の価値観に抗いながらも、逆に家に助けられながら生きていることを身をもって体験し、踏んばるところがいい。
どのお姫様もよかったが、第二章『プリンセス・クタニ』がお気に入り。
特に終盤のタカさんのセリフ「すべて、貴方のおっしゃるとおりにします」がいい!
どの時代も、後世から見ると不思議な価値観があり、大なり小なり女は影響を受ける。
それにひとりで抗っても生きにくいだけ。
受け入れられるものは受け入れ、そうでないものは賢く立ち回って自分なりの小さな変革を起こし、相容れなければ自分とは遠いところにそっと蓋をしておこうと思う。
解説文もよかった!
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時代を跨いだ主人公三人ともバイタリティのある女性。
結婚しないことも含めて結局はその機会がきたとき
動けるかどうかがその後の人生の分岐点なのかな。
万里子さんがすき。
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自分の中で、久しぶりにヒット
面白かったなあ
最初のほう、あんまり色恋がなくてただただその時代を淡々と生きている女性の話で、あんまり歴史に興味深い人間でも詳しい人間でもないから、のめるこめるかなあこの話に…なんて思っていたのですが。
夫も子も失くしたけれど、しっかりと生き抜いて“家”を守り抜いた第一章てんさいの君を読み終わったときに、ああ好きやなこの話…となりました。
第二章のプリンセス・クタニは個人的には1番好きなお話。主人公も、話のストーリーも、政略結婚も、恋愛模様も、最後のプロポーズも(笑)わくわくして最後まで楽しく読めた。
そして、第三章の華族女優があったから、個人的にはこの物語好きなんやなあと思ったり。“家”を守り抜くことが人を守ることに繋がる時代が、そうじゃなくなった。第一章と第二章で、大事に大事にしてきたものを、第三章で終わらせる。でも、だからどこかの章がバッドエンドだったわけでなくて。
その時代を生きた人のハッピーエンドを常に描いてる。なんかそれが面白いなあと思ったり。
んー、なにが言いたいのかわからなくなってきたけれど、全部通して面白かったです。
あと、個人的に第一章の
「それでも死なぬものは死なぬ」
がとてもとても良かった。この言葉、大好きかもしれない。宝物になるかもしれない。
案外、裏テーマ?みたいなのはこの言葉なのかもしれないと個人的に思ったり。
恋愛や結婚や生き方や…全てはきっと時代によって左右される。その人の気持ちだけでは、というより気持ちすらも左右されるものなのだと思う。それでも、どんな状況にあってもどんな生き方をしても、「死なぬものは死なぬ」
その人にしか出来ないこと、その人のやるべきことがあるのかもしれないなあなんてふと。
自分も、何歳になっても何があっても「死なぬものは死なぬ」と思いながら生きていたいもんです。
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政略結婚ってタイトルからイメージした話とは随分違った内容でしたが、三篇それぞれ面白かったです。
江戸後期から明治までを生きた加賀前田家のお姫様の時代と、明治半ばの、パリに生まれた子爵家のお嬢様の時代と、第一次世界大戦後の昭和金融恐慌で没落した公家の流れの伯爵家令嬢の昭和・平成。
血筋や家名に掛けられた呪いが変遷する時代の波に翻弄され、やがて蜃気楼のように溶けていくまでの三世代。
三つの話を繋ぐのは九谷の絵皿。とすると三話目の主役は実は皿の持ち主の峰山奈知子なのかも?(三話目でも「蕗野」が出てくるのかと思ってたけど違った。)
氏より育ちと言うけれど、彼女たちの聡明さと時代に立ち向かう凛々しさは名家の姫ならではと思わされたりもする。血は尊い、と感じるのは、血と共に誇りと覚悟を脈々と受け継いでいるからであろうか。実に何とも、そういう世であった。
カバーの絵は、底抜けに甘々の文庫版よりも単行本のデザインの方が好き。
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幕末から戦前戦後まで、それぞれの時代に生きた女性の生き様が描かれる。
その時代、その土地の匂いを鮮やかに感じることができる。
3つの時代の女性を繋ぐのは、てんさいの絵が描かれた九谷焼の大皿。