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イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国
著者 鶴見 太郎
「イスラエル」は、どんな国でしょうか? 中東でよく戦争をしている、小国だが強大な軍事力をもっている、と思う人もいるでしょう。一方、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『シ...
イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国
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イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国 (講談社選書メチエ)
商品説明
「イスラエル」は、どんな国でしょうか? 中東でよく戦争をしている、小国だが強大な軍事力をもっている、と思う人もいるでしょう。一方、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『シンドラーのリスト』(1993年)を思い出しながら、長らく迫害されてきたユダヤ人がナチスによるホロコーストの末、ついに作り上げた国と考える人もいるかもしれません。
迫害されてきたかわいそうなユダヤ人が念願かなって作った国、しかしアラブ人(パレスチナ人)を迫害している攻撃的な国――このような対極的なイメージは、いかにして生まれてきたのか。本書は、この謎に迫ります。
ホロコーストがイスラエル建国の大きな後押しになったことは間違いないとしても、そのことはイスラエルの軍事的な志向性を説明しません。さらに歴史を遡ると、19世紀後半からユダヤ人が変化していったこと、それが「国家」による自衛を求める動きにつながっていったことが明らかになります。そこで重要な役割を演じたのが、ロシア人でした。
その具体的な動きを追っていくために、本書はまずロシアのリベラリストに注目します。民族の自由を訴え、それゆえユダヤ人の同化にも反対したマクシム・ヴィナヴェル(1863-1926年)の活動を追っていくとき、パレスチナにユダヤ人国家を作ることを目指すシオニズムに共鳴したユダヤ人の中にも同じ主張をもつ者がいたことが分かります。その典型は、ダニエル・パスマニク(1869-1930年)に見られるものです。
ところが、1880年代にロシアで「ポグロム」と呼ばれるユダヤ人への迫害が始まると、ユダヤ人的側面とロシア人的側面を共存させていたロシアのユダヤ人たちは、徐々にユダヤ的側面に特化していきます。そのときユダヤ人たちがもったのが、ロシアの近代化に寄与してきたユダヤ人は「西洋的」だが、ロシアはそれに対立する「東洋的」な性格を持ち続けている、という認識でした。「東洋的」なロシアによって「西洋的」なユダヤ人が苦境に陥ったとき、「西洋的」な国家はユダヤ人を助けない──その経験は、やがてイスラエルが建国され、アラブ人の暴動が起きたとき、同じ構図をユダヤ人の中に想起させるのです。
『ロシア・シオニズムの想像力』で高い評価を受けた気鋭の研究者が巨大な問いに挑む渾身の論考。現代世界を読み解く手がかりが、ここにあります。
[本書の内容]
序 章 二種類のユダヤ人
第一章 内なる国際関係
第二章 ユダヤ人とロシア帝国
第三章 「ロシア・ユダヤ人」の興亡
第四章 ファシズムを支持したユダヤ人
第五章 民族間関係の記憶
第六章 相補関係のユダヤ化
終 章 多面的な個が民族にまとまるとき
目次
- はじめに
- 序 章 二種類のユダヤ人
- 第一章 内なる国際関係――自己のなかの複数の民族
- 1 リベラリズムとリアリズム
- 2 自己を分解して考える
- 3 諸側面の関係性
- 4 関係性の主要なパターン
- 5 関係性は何で決まるか
- 第二章 ユダヤ人とロシア帝国――様々な変化
- 1 マイノリティとしてのユダヤ人
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イスラエルの始まり
2023/11/24 19:05
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投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
イスラエルは、ホロコーストを逃れてきたユダヤ人によって作られたと思っている人が多いが、それはあまり当たっていない。ソ連から逃れてきたユダヤ人が作ったとお言いもいいだろう。ロシア帝国では、ポグロムと呼ばれるユダヤ人迫害があった。ソ連時代も指導者の中にトロツキーのようなユダヤ人がいたが、全体として差別は続いた。彼らが大勢ソ連をのがれて、イスラエルを建国しても良いだろう。彼らの多くはアシュケナージムであり、子だユダヤ人と血のつながりはないという。8~9世紀カスピ海北岸にあったハザール国の子孫だという説が有力である。