教室のコミュニティ化に向けて
2022/09/23 20:22
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投稿者:けんけん - この投稿者のレビュー一覧を見る
大まかな流れは参考になりました。架空のお話でコミュニティを形成していく流れを説明しているので、イメージがつきやすい人も多いと思います。
最初の自己開示と共感の部分は、利害関係のない場合はイメージがつくのですがある場合は、共感に結び付かない場合が多いのでは?と思い、そこら辺を教室でどう編んでいくのか、まだまだ勉強が必要そうです。
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組織や活動をコミュニティに浸透させ活性化させる方法の本で、日本の労働組合とかでは「オルグ」と呼ばれ、戦前の小林多喜二の小説タイトルになるほど古くから定着しているものでもある。
新しい点は、これまで経験的に習得し教訓化してきたものを、米国などでメソッドに体系化したものを紹介しているところだろう。メソッド自体に疑問点はない。
しかし、著者が紹介のためにつくった架空の物語は想定が甘すぎる。
小学校でやり手の教頭が昼休みを読書の時間にしたことに対して、児童が自由な昼休みを取り戻す、というもの。やり手教頭が、児童の活動に介入も弾圧もしないという緩い想定になっている。
私が教頭なら、校門前で楽器演奏をした時点で、参加した児童を全員チェックする。活動に協力した音楽教員は、たいてい非常勤講師なので、学校の施設を目的外使用させ、学校の財物である楽器を校外に持ち出し、教頭の制止を妨害した、という理由で懲戒にかけ雇い止めにする。これで他の教員は恐怖で児童に協力しなくなる。
音楽教員からは、児童のリーダー格など関係を吐かせる。リーダー格を同時に個別に尋問にかけ、音楽教員が雇い止めになったことに罪悪感を持たせ、誰が責任者か追及し、お互いを裏切らせ、相手が裏切ったことを告げ、協力関係を潰す。親にも圧力をかけ、子どもたちの学力向上の取り組みを妨害したと言う。
私はどちらかといえばオルグ側の人間だが、このくらいの弾圧を想定して活動を組み立てる。
実際の事例紹介でも、パワー(権力)保持者と利益相反になり妨害・弾圧を受けるテーマはない。
架空の物語で、児童会は少し登場して流されてしまうが、児童会にしろ町内会や自治会にしろ、こういう既存組織をどうするかは考慮していない。本書の射程はアドホックなキャンペーンであって、継続性のある組織のオーガナイジングは範囲を超えている。
著者は、(もしかしたらコミュニティ・オーガナイジング業界に共通するのかもしれないが)、イラク反戦運動を「失敗」とみなしている。そうだろうか?たとえば、フランスの人々にとっては、当初は主戦派だったフランス保守政権をイラク戦争に反対させることに成功した。スペイン政府はイラク戦争を支持し有志連合に加わったが、2004年に左派政権が誕生し、イラク撤退した。こうして各国をみていけば、著者の示す基準でみても、中目標を達成しているのではないか。
欧州諸都市では超大規模デモが何回も起きたが、パッと集まり後に何も残らないものだと考えるのだろうか? 日本よりはるかに大規模なデモをみて、そこに集めるコミュニティの強さを感じると思うが。実際、参加者から聞いたところ、みんなで貸切バスを仕立てたり、臨時列車を出したり、コミュニティをオーガナイズしてデモに参加していた。
権力保持者から持ち込まれる課題は、自分たちで成功を見通せるタイムラインを設定できない場合も多い。では、意見表明しなくていいのか?
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力を合わせて課題解決していくにはどうしたらいいのか、そのノウハウがわかりやすく説明されています。
模擬事例の展開は、あまり好みではなかったですが、やり方はよく理解できました。
この技術を使うにあたっては、倫理的な観点も大切になるだろうと思いました。
着眼点がわかったので、日常の中で使っていこうと思います。
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新鮮な本!コミュニティソーシャルワークが個人と地域の統合の家元みたいになってるけど、、もともとのコミュニティオーガナイジングにもちゃんと個人からのスタートがあると気づかせてくれた。
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社会を変えたい人のための本。
社会運動の方法が学樹的に体系化されているんだなぁと感心しました。
■コミュニティオーガナイジングの5つのステップ
1. 共に行動を起こすためのストーリーを語るパブリック・ナラティブ
2. 活動の基礎となる人との強い関係を作る関係構築
3. みんなの力が発揮できるようにするチーム構築
4. 人々の持つものを創造的に生かして変化を起こす戦略作り
5. たくさんの人と行動し、効果を測定するアクション
■これらを支えるコーチング
①動機面のコーチング
②戦略面のコーチング
③知識・スキル面のコーチング
3つのコーチングを使い分けるというのが個人的には気づきになりました。いつも動機面ばかり気にしていたので。
あとはナラティブや戦略面で、
私のストーリー → 私たちのストーリー → 行動のストーリー の順で語るなど、たしかに世の中そうなってるな〜と思わされることが多かったです。別の角度からみれば、悪用されていることもあるということですね。
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実際に社会変革を起こすには戦略と計画、そして練習が必要だということがよくわかる。小学生をモデルに、社会運動のおこし方を解説。これならやれそう、というところやワクワクするかが大事など、納得できる。
この本を読んで、やってみたいと思いながらも、やはりワークショップで実際に練習する場が欲しいと思った。今はさまざまな場所でこのようなワークショップが行われているかもしれない。調べてみて参加してみたいと思う。
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先日、『コミュニティ・オーガナイジング』という新刊を読んだ。内容は、簡単に言えば社会課題を解決する手法とでも言えるであろう。問題意識に対して、仲間を集め、目標とする社会の在り方をゴール・セッティングし、そこに到達するための戦略を考える。日本ではあまり良い意味に捉えられていないように感じる社会運動をどのように起こしていくかということが平易に書いてある。実際、お昼休みの自由を奪われた小学生たちが、その自由を取り戻すために小学校でムーブメントを起こすというストーリーに合わせて折に触れて社会運動の肝要について解説が入るという本書の進め方は非常にわかりやすかった。
本書を読んで、なぜnoteが書きたくなったかと言えば、この本が発信するメタ・メッセージが非常に重要なものであると感じたからである。そして、そのメタ・メッセージとは「社会は誤ることがあるから、その時に備えよ」というものである。ここで、あえて政治ではなく社会という言葉を使ったかというと、政治のみならず、社会的な差別などもまた、本書で対抗すべき社会課題の一つであるからである。本書のメタ・メッセージは人間とは誤りを起こすものであり、そしてその人間が集まった社会も誤りを起こす。ゆえに、いざ誤りに対峙したときに、仲間を集めてその誤りに対抗する手段を学ぶべしというものである。この、人間は根本的に誤るものであるという人間観が今の社会に欠如していると感じる。
ここで、誤りという言葉を何度も書いているが、何をもって誤りとするかということも予め定義しておいた方が良いであろう。私がこの文章で言う誤りとは、持続性の欠如である。社会問題に対して私が誤りという時、現行の仕組みが「長続きすると不具合が起こる」ということを言っている。
社会が誤るという時、それはその制度を長続きさせると将来的に不利益になるということを私は言うことにしている。
さて、問題を少し狭くとらえることになるが、この人間は根本的に誤るという考え方と対極にある思想に基づく政治概念が昨今、注目を集めている。憲法の緊急事態条項である。とある政治家は今回のコロナ禍を改憲の好機ととらえ、緊急事態条項の追加に意欲を示しているという。緊急事態条項とは、コロナ禍のような緊急事態において、一時的に国家に一定の権力を集中させることを良しとする政治概念である。確かに、緊急事態には挙国一致して立ち向かう必要があり、それには一定の権力集中も必要であろう。しかしながら、この緊急事態条項はしばしば悪用されてきた歴史を持つゆえに、私はこの危険性を強く訴えたい。最たる例が緊急事態条項を持つワイマール憲法下で合法的に独裁体制を生み出したナチスドイツであろう。緊急事態条項に対して好意的な意見として、権力の集中については一時的であれば良いとするものあるが、権力を集中させることは、緊急事態を収束させる時期や権利さえも、その政権に持たせることに繋がると私は考える。ディストピア小説の金字塔とされるジョージ・オーウェルの『1984年』では、ビッグブラザーによる独裁的な国家が描かれるが、その前提には、他国がずっと戦争状態であるとい���プロパガンダがある。戦争状態=緊急事態がずっと続いていることを情報統制により、国民に知らせている間は権力の持続ができるため、『1984年』の世界では、ずっと戦争状態とされている。このように、一時的に権力を集中させることの危険性は、その「一時」の定義さえも独占されることがあるということに起因する。
緊急事態条項の危険性をここでは論じてみたが、その背景には、政治の無謬性という前提があり、今回取り上げた『コミュニティ・オーガナイジング』とは全く逆の発想によるものがある。
『コミュニティ・オーガナイジング』に話は戻るが、本書で重要視されているのは、ムーブメントの持続性、目標達成へのコミットメントである。人間は誤る、ゆえに政治や社会も誤るという前提に立った時、それらに立ち向かうための小集団を組織すべきである。小集団により、持続性が高く、実効性の高いオルタナティブな社会構想と打ち出すことこそが、必ず起こりうる社会の失敗から、人々とその未来を守るのである。そう言った意味で、本書は非常に有益な本であった。
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社会に対して一人一人は無力ではない。仲間を巻き込み話し合い話を広げていく。そのための考えかた、行動の仕方を小学校の昼休みに対するストーリーを通して分かりやすく学ぶことができました。
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コミュニティ関係で関連書籍を調べていて、
引っかかってきた本。
メインテーマは、社会を変えるための活動で、
ビジネスとは少し異なるのですが、
それでもビジネス界にも十分応用可能な本だと思います。
特に、コミュニティを作っていく際のフレームワークが
分かりやすい上によくできています。
また、細かいところでも、なるほどとうならされる記述が
所々に散らばっていて、大変勉強になりました。
コミュニティに興味のある人なんて、そうそういないと思いますが、
もし該当するなら読んでみても損はない一冊だと思います。
(個人的には、「WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.」がコミュニティに関するベスト本です。)
※WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4344032918#comment
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自分を成長させることを諦めたくない人向け。
新たな世界が見えてくる一冊!
社会を変える凄い技術が紹介されているのかと期待しながら手にしたら、手法や技術よりも、困った当事者たちがなぜ欲しいのか話し合いお互いの手を取り合って実現していくストーリーに引き込まれて、夢中になって読み進められた。
リーダーシップとは、リーダーを育てていくこと。股読み返したい良書でした。
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どこかの町で、議会の議決に反対して住民投票を求めた運動に対して、議員が「民主主義への冒涜」とテレビのインタビューで言ってて驚いたことが有ります。
しかし、その町の出来事はかなり特殊で、殆どそういう運動は有りません。仮に何故?と訊くと、面倒、ダサい、やっても変わらない、多分そういう意見が返ってくるはずです。
市民活動に対する研究結果がセオリーになっていることを、本書を読んで初めて知りました。勿論、セオリーなのでその通りにやっても上手くいくわけがなく、実際にはそれを応用して活動を起こす必要があります。
ただ、本書は初心者向けなのか割とハウ・ツゥー本っぽく書かれています。「このとおりにやってもうまくいかなかった」と文句を言う人が出なければいいですが。しかしそれでも、実際にやってみた、と言う人がいたとしたら、大成功だと思います。
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日本人は、社会や政治を変えようとアクションする人が少ない。声を上げると足を引っ張られる。これが日本の息苦しさにつながっている。著者は自分と同様にこうした疑問を持ち、留学して社会変革の方法論を学んだ。ストーリーを語ることから始め、関係構築、チーム構築、戦略づくり、そしてアクションへ。社会変革に必要なプロセスが、わかりやすく実地に即して語られる。文明社会の危機の中で、身近な具体的で小さな課題から始めるというのは迂遠な気もするが、やはりその積み重ねで草の根が力をつけるのが結局は近道なのだろう。良書。
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仲間を集め、その輪を広げ、多くの人々が共に行動することで社会変化を起こすこと。それがコミュニティ・オーガナイジング。
社会運動に対してネガティブなイメージのある日本人だけど、自分や大切な人を守るために、もう少しおかしいと思うことに声を挙げられる世の中になれば良いと心から思う。(死んでしまってからだと遅いんだよ、と昨日の某芸能人の自死のニュースを受けて尚更やりきれなく、苦しく感じた)
本書は、ハーバード大学ケネディスクールにてコミュニティ・オーガナイジングのノウハウを学んだ鎌田華乃子さんが執筆した、How To 本に分類される書籍になる。アタマの良い人が書いた文章は、難解でこちらを突き放していると感じてしまうことが多いけれど、本書は小学生にでもわかるような言葉で書かれており、本当にCOを広げたいという気持ちがひしひしと伝わってきた。
P.45
「社会運動をしても、何も変わる気がしない」と20代のころの私は思っていました。人々が集まって何かに反対を叫んだり、理想を掲げたりしているだけで、現実的に物事を変えられる気がしなかったのです。でも私自身が社会運動に関わるようになると、自分もまったく同じようなことをしていました。やがて何が問題だったのか気付きました。「戦略が弱い」と。
P.57
メキシコでは最近、民主的なシチズンシップ教育の一環で、公立の小学校から高校までの教育課程においてコミュニティ・オーガナイジングを年間を通じて、発達段階に応じて教えています。生徒が自分のことを知るところから始め、コミュニティのいくつもの問題を理解し、皆で話し合い一つの問題に絞り、社会資源を探し当て、賛同者や反対者、関係者を特定し、戦略を立ててアクションしていく。
P.73
ヒレルのことばは、リーダーシップとは自分、他者、行動が相互に関わり合って生まれるものだということを示しています。
リーダーシップが特に必要とされるのは、問題が何もない状況よりも、混乱し、解決が難しく、予測不可能な状況においてです。不確実な状況に適応し、創造的になることが必要な状況です。したがって、リーダーシップは「チャレンジング」であり、恐れを伴います。そこには三つのチャレンジがあります。
・困難な状況に対応するために「知識やスキルを学ぶ」(手のチャレンジ)
・自分の持てる資源を使って困難を解決する「方法を考える」(頭のチャレンジ)
・困難な状況に立ち向かい、他者にも同じ行動を促せるよう「勇気、希望」を見つける(心のチャレンジ)
P.79
人は普通、自分を強く見せなければならないと思います。でも弱さを見せることで人と繋がれるのです。自分が心を開いて自分の弱さを語ることで、聞き手もあなたに心を開いていきます。この弱さを見せる強さを「バルナラビリティ(脆さ)」と呼んでいます。
P.198
社会に働きかける戦術を考えると、どうしても固く、真面目なものになりがちです。もちろん真面目に取り組むべきなのですが、やっている本人たちが楽しくないと、その輪に入ろうという人も増えにくいでしょう。外から見ている人も参加して見たくなる、楽しい戦術を考えてみましょう。よくある戦術を楽しくすることもできます。
私はニューヨークでオーガナイザー見習いをしていたときに、高校生たちと一緒にデモに参加しました。アメリカには、親に連れられて移民してきたものの市民権が取れないため大学に行けない子供がいて、救済法の制定を求めるデモが企画されたのです。高校生たちは段ボール製の羽を背中に付けて「自由に羽ばたきたい」という想いを表現したり、大学生になった自分を表す大きな人形を掲げたりして楽しそうに行進していました。
P.270
地域おこし協力隊として活動を始めた板垣さんは、若者を中心とした街づくりをしたいと考えましたが、若者を呼びたくても、まずどこに若者がいるのかわかりませんでした。催しなどをしても、若者はなかなか集まらず、来てくれても自分たちで何かを企画するほど熱が上がりません。板垣さん自身、若者が何を考えているのか、若者が何を困難に感じているのかがわからない、という状態が数か月続きました。
悩める板垣さんが働いていた金ケ崎中央生涯教育センターに若者がやってきたのは1月末ごろでした。3,4人のいわゆる今どきな男子たちです。板垣さんが仕事をしながら聞こえてくる話に耳を傾けると、どうやら成人式を冬にしたいという希望を伝えに来館したようです。金ケ崎町では昔から成人式は夏に開催され、そのことに不満を持つ若者がいたのです。
しかし、行政に相談しに来たものの、なぜ成人式を冬にしたいのか、冬にする必要性やメリットは何か、女子の意見はどうなのか、といった職員の質問に対して、彼らは説得力のある理由を語れないようでした。
「話し合い、どうだった?」
「ダメっすね」と一人が答えました。「おっさんたちは頭固いっすから」
「でも、理由を聞かれて『冬が普通だから冬にしたい』だけでは、難しいと思うよ」
「でも、言ってもしょうがない感じっすよ。頭固いから」
既に諦めている感じの若者たち。しかも、頭が固いの一言ですべてを終わらせています。
「キミらが本当に成人式を変えたいのなら、変えるための方法話すことができる。ただ俺は動かないから、キミらがしっかりとした覚悟を決めたら、連絡して」
そういって、板垣さんが若者たちに名刺を渡したのが始まりでした。なんと翌日に彼らから連絡があり、酒屋を改装した地域おこし協力隊の拠点で集まることにしました。
彼らはチームを「成冬会」と名付けて活動を開始。地元紙の胆江日日新聞に活動を紹介する記事が載り、成人式を冬にしたいという動きがあることを行政側も把握しました。アンケートは最初に町内のスーパーの店頭でも行う予定でしたが、スーパーに断られてしまったため、メンバーが個別にアンケートを取りました。想いを鹿k理とストーリーとして語れるように練習し、職場や地域の人のお願いして自主的に集めたアンケートは155人分に達しました。結果は事前に趣旨説明をしているからか、「冬にしても良い」「冬が良い」との回答が大部分を占めました。
それに合わせて行政側でも、全町民を対象にした無作為抽出アンケートを行いました。結果は回答率38.9%のうち54%が冬の開催に同意。冬開催支持がやや優勢ではありましたが、まだ行政は冬開催��決め切れない様子でした。
そこで成冬会メンバーは、より積極的に動いていることを強調するためにも町長に直接自分たち新成人から結果を提出する機会を持ちたいと考え、板垣さんに相談しました。はじめは行政側に機会を設けてもらおうと考えましたが、板垣さんが間接的ン行政側に相談したところ、町長に直接話をする機会である「ふれあい町長室」という場を利用してはどうかというアドバイスをもらいました。そこで成冬会は町長に直接、自分たちの思いとアンケートの結果を伝えることができたのです。
行政内部で検討が行われた後に、正式に冬の成人式開催が決定しました。ちょうど選挙権が18歳になることや、今後の若者の地域活動への参加が期待されたこともプラスに働いたようです。それまで若者初の動きが見られなかった金ケ崎町で動きを起こしたことが評価されたのです。
もっとも、それは同時に2016年度の新成人に対する見方が厳しくなることも意味していました。これから成人式実行委員会の立ち上げを行い、自分たちで変えた冬の成人式の一回目を成功させなければならない。その重圧もかかってくるのです。
そんな板垣さんの心配をよそに、行動を起こし理想を実現するコツを学んだ若者たちは、かつてない成人式を一月にやり遂げました。各方面に許可をとり、打ち上げ花火を打ち上げることまで出来たのです。
板垣さんが新成人にコミュニティ・オーガナイジングを伝え、見守った経験を振り返って思ったことは「本当に変えたいという欲求があるならば、成長せざるを得ない」ということです。物事を実現するためには、自ら考え、成長し、達成するという大きな労力がかかることを避けては通れない。
参加費がべらぼうに高いけど、COJのワークショップ、楽しそう。
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コミュニティ・オーガナイジングとは、「仲間を集め、その輪を広げ、多くの人々が共に行動することで社会変化を起こすこと」。社会変化を起こすだけでなく、そのプロセスに参加する人たちの自立性、リーダーシップを育て、持続可能性を目指すものである。昔から社会変革を起こす人や方法はあったと思うが、それを体系化し、誰でも行えるようにパッケージされている点がこの方法の優点と思う。具体的には、1.パブリックナラティブ2.関係構築3.チーム構築4.戦略作り5.アクションそしてコーチングと言うパッケージにまとめられている。架空事例は小学生の行動として出されているが、架空なので少し甘い想定もあるが、それは理解しやすい事例として書かれているものと思われる。実際にわが国で行われた事例も紹介され、苦労もある分だけ、その後につながる事例と思われた。社会でも地域でも職場でも応用できる方法と思われた。全体を通して分かりやすく読みやすかった。
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2024年5月に著者の鎌田華乃子氏の講演を聴講し、感銘を受け購読した。
世の中の出来事に「何かがおかしい」と思うことや暮らしている地域の問題に気づき、今の日本の社会や政治にも不満を感じている人に、少しでもその状況を変えられるかも知れないと知って欲しい。しかし、変わらないとあきらめて「仕方がない」となるのではなく、「社会は自分たちでかえられる」と思えたら、希望ある社会になるのではないだろうか。
実は、一見「仕方がない」とあきらめがちでも、「仕方がある」こととして、現に日本でもごく普通の人たちが社会を変えてきた例は沢山あります。その変化を起こす上で、必要な要素をコミュニティ・オーガナイジングの一連のプロセスを疑似体験し、地域行事から法改正まで、様々な分野でコミュニティ・オーガナイジングを使って変化が生み出された国内外の実際例を紹介します。個々人の関係構築は価値観でつながり、チーム構築の基本も関係構築、戦略と戦術を練り、アクションを起し、リーダーシップを育てる。根っこにあるのは、「なぜ」と問いかけるコーチングこそ重要だと指摘する。個性の異なる人々の力を引き出し、チームとして、集団としてアクションを起こす。わかっているようで、なかなかうまくいかない課題を、著者の試行錯誤と経験、そしてコミュニティ・オーガナイジングの理論を通じて追体験し、「社会は変わる、変えられる」と思う1刷となった。