色々考えさせられる
2021/07/17 17:08
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投稿者:ぎりゅう - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙から気になり購入しました。
主人公が振り回されつつも成長、最後にはいい意味で裏切られたどきどきはらはらの1冊でした。
元ネタは、あの…
2021/06/14 16:26
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投稿者:トオルちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
元ネタは、あの映画の原作となったコンラッドの名作。途中で気付いたけど、最後まで面白く読みました。現代に当てはめて、状況がしっくりくるのは、さすがの桐野夏生さん。本歌取りこそ、和歌の、いや文学の本道。ヒロシマ、モナムールは日本題名「24時間の情事」ですね。映画ファンには、うれしい一冊。
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登場人物が多いにも関わらず、桐野さんらしい人物描写の上手さでどんどん話にのめり込めた。ダメすぎる主人公の描き方も素晴らしい。
カンボジアという馴染みのない土地の話だったのも興味深かった。
ラストはそう来たか…という感じもあったが、とにかく面白かった。
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桐野夏生らしからぬ痛快な面白さ、というと語弊があるかもしれないが、とにかく面白い。
主人公は日本ではダメ人間。女性には嫌われ、上司にも嵌められる。仕事にあぶれゲームにハマる。
しかしお金を積まれてカンボジアに昔の友人を探しに一人出かける。初めての海外でしかも東南アジアの安全ではない国に放り込まれ、なんとなく怪しい宿に連れ込まれ…。なんだか騙されながらもダメ人間がダメなりに頑固に問題を解決していく。
そして起こった物事が全て策略に基づくという終結。怪しい人々に翻弄されながらも、結局やり抜いてしまったダメ人間がなんかいとおしくなるという、ちょっと目が離せない展開でした。
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冴えないよく居るグウタラな若者晃、高校時代の
友人野々宮空知を探してくれと謎の依頼を受け
カンボジアに旅立つ。
友人の空知は三人兄妹で、晃とは全く違い
特別に美しい三兄弟だった。空知との日々は
晃にとって人生で最も幸福な日々だった。
それがある時から疎遠になり、兄妹三人共
日本から消えてしまう。
カンボジアで空知を探す内に晃も少しづつ
成長もするが信頼していた周りの人達に
空知を探す為に騙されていた事に気づく。
そして、やっとの思いである島に空知が
生きて居る事を知るが、晃の知っている姿
では無くなっていた。
カンボジアの混沌とした政治を絡めた美しい三兄妹
のその後の人生と、晃の人生が鎖で繋がり
最後は空知は晃と溶け合った。
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寡聞にして未知。
そもそもの「インダラネット」(因陀羅網)の意味さえ知らずに読み始めた。
ある日突然、高校時代の友だち空知とその姉妹の行方を捜しだす依頼を受けてカンボジアへと旅立つ主人公晃。仕事も契約社員だし、職場ではセクハラで女子社員から責められるし、何もかも嫌になっていたタイミング、ってのもこのありえない依頼を引き受けるきっかけ。でも、カンボジアで想像以上のひどい目に遭いながらも最後の最後まで彼らを探し続ける晃の空知への「友情」にどんどん感情移入していく。
単なる人探しと思って引き受けた依頼なのに、次々起こる不穏な事件。
そこにカンボジアの社会情勢が絡みだし、なにが起こっているのか、何に巻き込まれているのか晃と同調して不安が募る。
ひ弱で無知で怠惰でどんくさいだけだった晃が、どんどんたくましくなっていく様に、もしかすると、と明るいラストを期待していく。
だがしかし。桐野夏生はそうやすやすとは安楽を与えてはくれない。
このラスト。このラストだよ!私が桐野夏生に求めるラストはこれだよ!と虚ろな目で空を仰ぐ。
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【こうして、野々宮三きょうだいは、ほとんど同時期に、日本から消えていなくなった】【ものは相談ですが、あなた、まず空知君を捜しに行きませんか?】 マスクも消毒も気にしないで熱く混沌とした異国の地、町の匂いも喧騒も肌で感じるほどに本の世界へのめり込んだ。誰が本当の事を伝えているの?何を信じたらいいの?晃と、空知。二人はきっとこの先永遠に離れることは無いのだろう、読了し、ぶるりと震えた。【サイン本】
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友を求めて異国の地を彷徨う青年の物語。
第一章 野々宮父の死
第二章 シェムリアップの夜の闇
第三章 ニェットさんの青唐辛子粥
第四章 さらば青春
第五章 冷たい石の下には
第六章 インドラの網
契約社員の八目晃は、親友・野々宮空知の父の葬儀で、失踪している野々宮三兄妹の捜索を依頼され、カンボジアへ飛ぶ。
予備知識もないまま、苦難を乗り越えながら、空知たち兄妹の出生の秘密を知っていく。
虐殺や独裁というカンボジアの不安定な国で生きる青年のあがきを描く。
今ひとつ伝えたいことが解らなかった。
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中盤以降、カンボジアでの旅が進み、否が応でも、エンディングに向けてだんだん盛り上がって迎えるこのラストは~!!
ちょうどミャンマーの政情不安が度々報道される今だからこそ、ベトナムやカンボジアを舞台としたこのストーリーには、なんとなくリアリティを感じてしまいました。
”違うラスト”で読んでみたいところです。(もっと明るいヤツで)
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長く複雑な話なのに、ぐんぐん引き込まれて読んだ。
卑屈で世間知らずだった主人公が物語が進むにつれどんどん逞しくなり、同じ人だと思えないほどに成長していた。
騙し合いや、途上国でサバイバルする様がリアルでおもしろい。
エンディングは、そうきたか…という感じ。
初めて読んだ作家さんだが、読みやすいし展開もおもしろくて、もっと読んでみたいと思った。
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スケールの大きな作品で主人公や登場人物が人間味溢れていて、良い人や立派な人は登場しないところが1番面白かった。
結末は予想出来ませんでした。
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東南アジアに友人を捜しに行く八目晃の成長ぶりが凄まじい。スパイだらけの恐ろしく危険な旅だったが真相に辿り着けてほっとした。促音、拗音表記が少し大きいような気がしたのは気の所為だろうか。
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一気に読んだ。
シェムリアップにはいったことがあったので
なんか親近感が湧いた。
一気に読んでしまった。というか、久しぶりに気持ちよく一気読みしたという方が正解かも。
でも、いろんなことが絡み合ったなんともいえない物語だった。
読後に読み終わった!スッキリという感じではなく、、なんともいえない読後感が残った。
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日本経済新聞社小中大
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インドラネット 桐野夏生著 冴えない男の探索行の果て
2021/7/10付日本経済新聞 朝刊
桐野夏生は鈍感な者に手厳しい。「抜けているけど悪い奴じゃないからさ」。たいていはそんな決まり文句でまったりと免罪されてきたような人間が、彼女の小説の中においてはとことん逃げ道を塞がれてしまう。みじめに追い込まれていく愚者を笑っていた読者は、やがてその姿が自分とよく似ていることに気づいて青ざめるのだ。
この物語の主人公・八目晃は、自身が冴(さ)えない男であると自覚している。一浪して第3志望の私大にようやく合格したのち、非正規雇用で就職を果たしたものの、残業続きのオーバーワークに心身ともに疲れ果て、休日はゲームに没頭するくらいしか楽しみがない。ある日、高校時代の「親友」・空知の父親が亡くなったという報(しら)せを受け取る。博識で運動神経抜群、なによりゴージャスな容姿を持ち合わせていた空知は、美貌の姉と妹がいることも相まって地元のカリスマだった存在。そんな空知の家に唯一出入りを許されているという理由だけで、晃はクラスメートから一目置かれていたのだ。当時の輝きを思い出して現状にほとほと嫌気が差した晃は、葬儀で空知の姉の元夫だという人物に頼まれたことを契機に、今は行方知れずとなっている空知たちを探すべくカンボジアへと旅立つ。
甘やかな期待とともに始まった空知探しは最初から難航する。海外経験の全くなかった晃はあちこちで騙(だま)され、金もパスポートも失った挙句(あげく)、犯罪の片棒を担がされる事態にまで発展する。要するに晃は自分に甘いのだ。例えば、職場で指摘されるまで自身のハラスメント行為に気づかない。人をナチュラルに値踏みし、一方的に巻き込まれているふりをしながらだらしなく依存している。他者に盲目的に吸い付いて寄生する不気味な鈍さは、まさにヤツメウナギの生態とぴったり重なる。
痛烈な経験を繰り返し、旅行者から労働者へと立場を変化させる過程で、晃の目はすこしずつ開かれ、エキゾチックな風景に滲(にじ)む暗い影にようやく気づき始める。それこそがカンボジアという国の本体であり、今なお続く圧政がもたらす絶望の爪痕だ。晃はついに求めていたものに辿(たど)り着くが、作者は最後まで甘やかさない。その峻厳(しゅんげん)なまなざしは、傍観者気分のこの国の国民にも向けられている。
《評》書評家
倉本 さおり
(KADOKAWA・1980円)
きりの・なつお 51年石川県生まれ。99年『柔らかな頬』で直木賞。著書に『OUT』『とめどなく囁く』『日没』など。
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著者の前作、怖くて挫折した身としては今回は最後に戦慄するも、なんとか完読した。けど、やっぱり怖かった。
今回は八目のいい加減さが物語を重くせずなんとか救われながらも、アジアの混沌とした世界を知ることになる。
そして、次回作を読むとき、更なる覚悟が必要である。