「暮し」のファシズム ――戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってきた
著者 大塚英志
1940年、第二次世界大戦への参画を睨む近衛文麿政権は、国民を戦争に動員するための「新生活体制」の確立を唱えた。生活を一新し、国民を内面から作り変える――。そのために用い...
「暮し」のファシズム ――戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってきた
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商品説明
1940年、第二次世界大戦への参画を睨む近衛文麿政権は、国民を戦争に動員するための「新生活体制」の確立を唱えた。生活を一新し、国民を内面から作り変える――。そのために用いられたのは、男性を戦場に駆り立てる勇ましい言葉ばかりではなかった。「ていねいなくらし」「断捨離」「着こなし」「町内会」「二次創作」。これらは、元を正せば戦時下に女文字のプロパガンダがつくりだしたものである。現在私たちが享受する「当たり前の日常」の起源を問い、政治の生活への介入があからさまになった「with コロナ」の暮らしを見つめ直す。
目次
- 序章 戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってくる/1 「新しい生活様式」と「新生活体制」/2 待ち望まれた、みんなでつくる新生活体制/3 断捨離が愛国心を育む/第一章 花森安治と「女文字」のプロパガンダ/1 戦時下の婦人雑誌『婦人の生活』/2 二つのジェンダーの「総動員」/3 国防服の「おしり」問題/4 衣服で人の心を変える/5 花森安治の「男文字」と「女文字」/第二章 太宰治の女性一人称小説と戦争メディアミックス/1 書き換えられた女生徒の日記/2 「生活綴方」という方法論/3 強い力を待望する者への書き換え/4 女性一人称小説は翼賛小説である/5 皇紀二千六百年に共鳴する女性たち/第三章 戦時下のミニマリスト詩人・尾崎喜八の「隣組」/1 『随筆集 私の隣組』の執筆者たち/2 隣組の日常を描く詩人/3 『詩集 組長詩篇』に描かれる「ていねいなくらし」/4 生活に求められる科学的思考/第四章 「サザエさん」一家はどこから来たのか/1 「家族」と「町内」はどこから来たのか/2 「翼賛一家」の登場/3 投稿し参加する国民たち/4 隣組と隣保共助の精神/5 近衛新体制の遺産としてのホームドラマ/第五章 制服女学生とガスマスクのある日常/1 日常化するガスマスク/2 ガスマスク行進写真の異様さ/3 アヴァンギャルドの国策化/4 女学生の制服に現れる政治意識/付論 花森安治の小説とモダニズム/あとがき──「暮し」のファシズム
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