非弁護人

投稿元：

レビューを見る

リーガルサスペンスってどうしてこんなに面白いんだろう。
しかも月村さんが描くアンリーガルなリーガルサスペンスときたもんだ。面白くないわけがないじゃないか。

ヤメ検にもなれなかった元検事が非弁護人として表に出られない仕事を引き受ける。そこにあるのは全きグレー。
そんな非弁護人宗光がなりゆきで子どもから請け負った三千円の「仕事」が日本国中をひっくり返す事件につながっていたなんて。

絶体絶命のピンチ。もう、勝てない。この裁判、勝ち目はない。もうだめなのか…
そこで出くわす一行。
「逆襲はいよいよこれからなのだ」
この一言に全身の血がたぎる。この言葉を待っていたんだ！ここからの怒涛の展開に血圧あがりましたよ。

いやぁ、どきどきしまくり。というよりも事件のあまりのすさまじさむごさひどさに吐き気が止まらない。
マイノリティを喰いものにする事件のおぞましさに震えて読む。正義の怒りに打ち震えながら読み終わった後、気付く。
この芽はもしかすると自分の中にもあるんじゃないか。そう気づいて背筋がヒヤリとした。

投稿元：

レビューを見る

月村了衛『非弁護人』読了。裏社会からの法律相談を生業とする元検事が元ヤクザや外国人といった社会のセーフティネットから漏れた人々を食い物にする悪に挑むイリーガルなリーガルサスペンス。ダークヒーローの新機軸だけでなく、極めて現代的な「悪」の在り方が月村了衛だから書けるのであろうなと。捜査の進展や法定での駆け引きの引き込む展開のうまさもさることながら、移民の少年から3千円で受けた依頼に命を賭すとか、検事時代に自身を裏切った弁護士とのタッグに、協力者であるヤクザの幹部とも浅からぬ因縁が発覚したりという続々と積み重なる「関係性」にこれぞ月村作品！という感じ。

投稿元：

レビューを見る

「ヤクザ喰い」の犯人を突き止めるべく弁護士資格のない主人公が「非弁護人」として活動をする。
書籍のカバーに有る絵はデスマスクで最後にその存在が明かされる。
非弁護人の仕事は興味深く、シリーズ化を望みたい。

投稿元：

レビューを見る

月村作品の真骨頂。こんな本が読みたかった。社会問題を提示しつつ、表社会と裏社会の境界線で縦横無尽に活躍するエセ弁護士を丁寧に描くエンターテインメント要素盛り沢山の超問題作。一気読み確実、寝不足注意。読後も興奮冷めやらず、です。。

投稿元：

レビューを見る

この作者の小説を初めて読んだ。重厚でありながらも、息もつかせぬ展開に恐れ入った。
非弁護人と弁護士。裏と表の職業の者がタッグを組んで、極悪を糾弾していく。
その爽快感たるや最高であり、あっという間に読み終えた。社会的弱者の問題点に光を当てており、日本社会の歪みもあぶり出している。秀逸の法廷小説である！

投稿元：

レビューを見る

底辺の元やくざたちを食い物にする「やくざ喰い」を追う宗光。「できるのか、俺たちに」「できるさ。おれ達ならば」非弁護人とヤメ検弁護士、政治家の汚職を追った事件で、袂を分かった同期の元敏腕検事コンビがが再び共闘する。浦街道を歩む非弁護人にも矜持と正義感がある。使える物は何でも使い知力を絞り策を講じて班員を追い詰める。裁判に入ってからの怒涛の展開は読み応えあり。

投稿元：

レビューを見る

元検事の宗光彬を主人公とした社会派ミステリー（？）だが、序盤からの展開はキングばりのモダンホラーかと思うほど怖かった。超自然の悪を相手にしているかのような薄気味悪さだ。中盤からは本来の姿に戻り、クライマックスは法廷ものと、1作で3度楽しめるお得な小説だった。にしても、本作も単発で終わるのは勿体ないキャラ揃いで続篇を期待してしまう。

投稿元：

レビューを見る

元特捜検事・宗光彬。訳あって検察庁を追われた後もヤメ検として弁護士にもなれず、その卓越した能力で裏社会の法律事案の解決を請け負っている。そんな彼をその道の者たちは「非弁護人」と呼ぶ。
宗光はとある経緯でパキスタン人の少年から失踪した少女を探す依頼を受け、その行方を追ううちに元ヤクザが絡む夥しい数の失踪者の存在を知る。
調査の末宗光が見たの、はあまりにも悲惨な失踪者の末路だった。

面白い！
宗光のハードボイルドな魅力が端正な文体と相まって読むのをやめられない。
現実にありそうな犯罪というところも恐ろしいけれど、現実味とかそんなことがどうでもよくなるほどストーリーに引き込まれた。
終盤の法廷での駆け引きはリーガルサスペンスの楽しみもあり、ラストの問題提起もエンタメにとどまらない重さも。そして何よりこの気持ち悪い表紙の意味たるや！

宗光と篠田、この2人のコンビで是非ともシリーズ化してほしいものです。

投稿元：

レビューを見る

月村さんらしい壮大なスケールの犯罪。「ヤクザ喰い」あまりにおぞましいが、その創造力に感服。でもディテールが杜撰で事件の真実味が薄れる一方、裁判部分は詳細で長すぎ。「法廷遊戯」で「無辜の民」「公判前整理手続き」予習しておいたみたい？「無関心という邪悪。偏見という腐敗。不寛容という毒心。悪の根付く沃野がここに広がっている」

投稿元：

レビューを見る

この作家は『欺す衆生』の詐欺師といい、ブラック・ジャックみたいな今回の非弁護人といい、主人公の設定がうまい（この２作しか読んでないけど）。
また、この作家はヤクザの親分（と忠僕なる右腕）に対しての憧憬があるようで、悪党の魅力を描くのもうまい。
カバーの顔の意味がわかったときは「おお！　そうきたか」と思った。装丁家に敬意を評したい。

さかのぼって読むつもりはないが、次作が楽しみな作家である。

投稿元：

レビューを見る

社会的弱者への思いやりがない現代の日本社会、という主張はもう少し暗示的な形にする方が深みにつながるように思う。

犯人の造形といい、脇を固める人物といい、展開といい、サスペンスとしてはとても面白く、中盤以降は一気読みだった。

投稿元：

レビューを見る

とにかく先が気になって一気に読みました。真犯人がわかるのがかなり早いので、その後このお話がどう動くのか……。こんなに明らかに犯人なのに捕まらないなんて、本当に自分が犯罪に巻き込まれたらと思うと恐ろしい。
主人公が本質的に善人なのも、良かったです。

投稿元：

レビューを見る

裏での人脈の重要性も感じたのとその人脈を使い少しずつ有罪にするための証言や証拠を集めていく過程、最後の盛り上がりの展開など一気に読めて面白かった。

投稿元：

レビューを見る

元特捜検事・宗光彬。
高度な法律関連事案の解決を請け負う彼は、裏社会の人々から「非弁護人」と呼ばれる。

ふとした経緯で、パキスタン人少年から「いなくなったクラスメイトを捜して欲しい」という依頼を受けた。

失踪した少女とその家族の行方を追ううちに、底辺の元ヤクザ達とその家族を食い物にする男の存在を知る。おびただしい数の失踪者達の末路はあまりに悲惨なものだった――。

非道極まる〈ヤクザ喰い〉を、法曹界から追放された元検事が、法の名の下に裁く!!

ハードボイルドから、まさかまさかの法廷もの。なかなかの仕上がり。シリーズ化を希望します。