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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の戦前の大陸進出が、太平洋戦争ヘつながっていくなんとも不穏な時代が舞台。このストーリーだと、舞台は、子の時代でないと成立しないお話ですね。実在の人物をからめて、なんだか、事実ではないかと錯覚してしまいました
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大戦前夜の哈爾浜。旧陸軍中将の屋敷で不可解な毒殺事件が起きて岸信介に依頼された私立探偵が調査を開始すると、さらに事件は続き満州国の闇が浮かび上がってくることに‥
ミステリとしては特に凝ってはいないが、満州の混沌、荒涼とした雰囲気が感じられて読み応えがある話だった。『刀と傘』もよかったし、やはりこの著者の歴史ミステリは味わいがあってよい。
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てっきり最後は岸さんの一人勝ちになるのかと思いきや、流石真犯人。
探偵・月寒が丁寧に丁寧に調査を進めていくので、序盤こそ雲を掴むかの如く分からないことだらけだったのに、読者側にもきっちり真犯人が推理できる仕様。
だから、彼が指摘する前に真犯人のことは予想つくが、その人の動機やその後やらかすことまでは流石に予想できなかった。
恐るべし。
でも、これだけ丁寧に捜査し、中だるみしそうになる時にぼこられたり危機に巻き込まれたりと体を張っている探偵・月寒だが、彼は事件を止める探偵ではなく、あくまで見届け人の立ち位置である。
絶対的ヒーローやチートな探偵ではなく、泥臭い探偵なのは、応援したくもなって親しみも持てた。
その分、前述通り捜査は丁寧で、読者側が推理に必要な内容をきっちり拾ってきてくれるので、探偵と一緒になって謎解きできるミステリだったと思う。
答え合わせをするつもりで読むと、解決編が楽しい。
ただ、本当に動機までは分からなかったよ……怖い。
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第一に、やはりこの方の文章が好きだなぁと思いました。
ビネット効果をかけているような、ガス灯のような、少し仄暗い雰囲気が作風にとても合っていると思います。
「刀と傘」「雨と短銃」と同じく史実の人が絡み、「満州」が舞台だけれども、「京都」が出てきて「やっぱり」と思います(笑)。
真犯人は予想通りだったので、Why done it?が焦点になると思うのですが、真犯人のがあまり興味を持てなくて、個人的に真犯人を言い当てる前までが面白かったです。
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伊吹亜門の作品は3作目。
いずれも、導入部から湿度の多い暗闇を感じさせるミステリー。
今回のそれは、満州が舞台。
関東軍による満州の利権が絡む。
そして、黒幕は岸信介。
山口県のあの岸信介。
どのくらいが本当の話でどれほどがフィクションなのか?
はたまた実際の事件を人名を変えて再構築しただけなのか?
じわりと恐怖が近づくストーリー。
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スケール大きく満州舞台で、時代の空気感高める「莞爾と笑う」古風な文章にワクワク読み進むも、大量殺人の動機まったく理解できず。JTとのタイアップか?と邪推してしまうほどの喫煙シーンの多さと大事な場面で岸次長、次官の誤植2箇所。伊吹さんらしくない…
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今は存在しない満洲国を舞台にした歴史ミステリ小説です。デビューから三作目
小説は、過去の作品でも実在した人物を登場させています。今回は、岸信介氏と椎名悦三郎氏です。伊吹さん自身は、平成3年生まれで昭和という時代を知らない。本書の末尾には、多くの文献を読み漁り、この小説に対する熱意が窺われます。
作中「莞爾と笑った」という表記が物語にあります。思わず小説の登場人物で退役軍人小柳津義稙少将が元関東軍少将の石原莞爾氏のことか?と思いましたが、調べてみると、『莞爾(にっこり)』は、置き字であり、人物を表すものではないようです。
物語は、昭和十三年満洲国国務院産業部の岸信介が秘書をしていた瀧山秀一の不審死事件について調べてほしいと言う要望を、哈爾濱(ハルピン)に事務所を構える私立探偵月寒三四郎に破格の依頼料を渡された。小柳津義稙元少将の晩餐会に出席した後、国務院がある新京に帰ってから体調不良になり、大量の血を吐いて絶命した。死因を特定するため病院で解剖の依頼をした結果、瀧山は多臓器不全に陥っていたことが判明し、遅効性の薬であるリシンによる毒殺が疑われた。小柳津邸の晩餐会で毒を盛られた可能性が高かった。
漸く物語が始まった。
犯人捜しの観点で読むと、容易に推定できる。だからといってボーッと読んでいると、動機が一向に見えてこない。歴史的な背景と世情を鑑みれば、動機が浮き彫りになってくるホワイダニットに重きを置いた小説だと思う。原稿の冒頭で「昭和を知らない著者」と書いたが、それでも「巧み」を感じます。勿論、満洲国があった時代は、自分も生まれていない時の出来事だけれど、伯父さんは開拓団として渡満したと聞く。そして満州で終戦。
読書は楽しい
学校の日本史の授業で、近現代史は一番最後に学びます。でも、時間切れで授業が割愛されたり詳しくは教えてくれないこともある。どうしても戦後の思想が絡んで難しい。今でもネットでは問題の賛否が議論され歴史認識が定まらない。日本の学校の教科書検定で、内政干渉が生じています。自分が生まれた国の歴史に誇りを持てる国であってほしいと願うばかりです。
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2021/12/14 読了。
図書館から。
んー…前作のが好みかな…。
キャラクターと時代背景の暗鬱した感じは分からなくもないけど、犯行動機がいまいち…。
浪越さんと三日月さんはいいキャラしてたなぁ。
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椎名悦三郎というと、三木首相誕生の際の「椎名裁定」くらいしか印象に無い。
岸信介というと。この作品に出てくるようなことを、戦後も続けたというわけか。
謎解きとしては、正統派で、まっすぐ進む。
語り口は、ずいぶんとシニカルだけど。
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歴史本格ミステリ。第二次世界大戦直前の満洲を舞台にハードボイルド風味のある探偵月寒が毒殺事件の真相を追う。「刀と傘」シリーズもそうだったが、今回もミステリとしてクオリティが高かった。ただルビの多さを読みにくく感じてしまい、歴史に詳しければこのあたりももっと楽しめたのだろうと思う。
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満州国を舞台にした、作家さんお得意の時代物ミステリー。
今回も実在の人物が登場するのだが、岸信介氏をあくどく描いているだけでなく外見までこき下ろしているのが作家さんの思いもあるのかなと思ってしまった。
満州国というと1932年から1945年までのわずか13年しか存在しなかった国なのだが、主人公の探偵・月寒三四郎は満州に来て15年ほどという記述があるので、満州国成立以前から日本人は移住していたということなのだろう。
この物語の1938年の設定なので、岸信介が帰国する直前の話らしい。
肝心の事件だが、退役後も各方面に影響力を持つ元陸軍中将・小柳津(おやいづ)の屋敷で行われたパーティで、小柳津の孫娘・千代子の婚約者・瀧山が毒殺されたというもの。
岸を通じて千代子からの依頼を受け、月寒が調査を始める。当初は小柳津元中将を狙ったものの誤って瀧山が殺されたのかと思われたのだが、調査が進むにつれて違った様相が見えてくる。さらには第二の殺人事件が起きて…。
事件そのものよりも満州国という独特の環境が興味深かった。満州国と言えば五族協和だが、五族どころかロシア人もいればユダヤ人もいて、まさに人種のるつぼ。
大勢の人間が満州に夢を抱いてやってくるのだが、その実態は過酷な気候と常に猛威を振るう伝染病に嫌気がさして去ってしまう者も多いらしい。
ではなぜ月寒はこんな過酷な土地で15年も滞在し探偵業をするようになったのか。その辺りは全く書かれていないが、憲兵や司法警察の横やりにもめげず様々な人脈を築いているのだから相当な覚悟で暮らしているのだろう。
また横道に逸れてしまったが、事件の犯人は予想通りだった。だがその動機については分かるような分からないような。そのためにここまでするのか?という思いはあるが、最後はアッパレというところだろうか。
満州国の陽と陰を見せられた作品だった。
ただこの当時の時代に浸らせるためか、やたらと難しい当て漢字を出してくるので読みづらかった。例えばアクセルペダル=加速足踏棹といった具合。ずっとふりがなばかり読んでいた。
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昭和初期の満州の危ない雰囲気がよく出ている。本格ミステリであまりアクションシーンもなく、探偵が調査のため出会う人に話を聞いていくスタイル。地味ですね…淡々と読みました。
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戦前の満州で起きた連続毒殺事件を私立探偵・月寒三四郎が調査に乗り出す。
いいですね。ハードボイルドミステリな感じですね。戦前の満州というちょっと特殊な環境というか舞台をうまく使った良質なミステリという感じも。ミスリードやホワイダニットの真相もそのあたりによくなじんでいるような印象でした。
シリーズ化とかするんですかね?登場人物たちがいかにもな「キャラだち」をしているように思えたもので。
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第二次世界大戦直前の満州が舞台。
岸信介の秘書の不審死から始まる連続殺人事件。私立探偵月寒が身体を張って謎を解く…
この時代の満州の光と影とうさん臭さ。でも嫌いじゃない。やたらと煙草や葉巻を吸うシーンが多くて映像化しにくそう、なんてどうでもいいことをふと。
フーはわかってもホワイがつかめず最後まで一気読み。『刀と傘』も読まねばな。
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満州が舞台となれば、出てくるのは軍部と財閥とアヘン。この小説もそこは王道で、さらに雰囲気は退廃的でいかにもという感じ。
ミステリ的にはまぁこの人だろうなという人が犯人で捻りは少ない。