対岸の火事として眺めていては、やがて火の粉が飛んでくる。
2023/01/04 22:44
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投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国(中華人民共和国)の海洋進出、台湾有事が国際問題となって久しい。中国企業、イコール、中国共産党の戦略に添ってのチャイナ・マネー流入がおびただしい日本において、政官財ともに中国を刺激してはいけないという風潮が強い。そのため、目前の利益に惑わされ、国家百年の計が立たないのが現状だ。その国家百年の計を見落とせば、どうなるか。それを本書が警告している。
全13節、200ページ近い一書だが、伝える内容は実に身の毛もよだつ恐ろしい話ばかり。福島香織氏の取材内容をもとに、清水ともみ氏の漫画が実情を淡々と描いている。この淡々と描くところに、言葉や映像では伝えきれない深い悲しみが潜んでいる。
新彊ウイグル自治区こと東トルキスタンの人権弾圧については、ユニクロ製品の不買運動が日本にも波及した。中国共産党幹部によるウイグル人への奴隷労働の実態が日本社会に浸透したからだ。「安い」ということだけで、使い捨て商品のように身にまとっていた衣料が、実は中国共産党幹部の蓄財に協力していた事実。その陰で、膨大な員数のウイグル人が「教育」という名の下で酷使され、強制的に労働へと駆り出されていたのだ。まるで、ナチス・ドイツのユダヤ人収容所と同じ。さすれば、習近平は現代のアドルフ・ヒトラーか。
本書を読み進んでわかるのは、ウイグル人たちが自身の親兄弟、家族を人質という犠牲にしてまでも、ウイグル人のためにとして日本人に支援を求めていることだ。アメリカを始め、欧米諸国が中国共産党のウイグル人弾圧を糾弾しても、日本の政財界は動かない。中国共産党に牛耳られているからだ。しからば、無駄でも、市井の日本人に中国共産党によるウイグル人の人権弾圧を知ってもらいたい。声を上げて欲しいと願ったのが本書である。広く、一般に普及する目論見からも、漫画を使ったのだ。
そして、何より、東トルキスタンが中国共産党に侵略され、資源も何もかも奪われている現実が日本に周知されることを、二人の著者は叫んでいる。この危機は、フィクションの世界で起きているのではない。このことを、一人でも多くの日本人が声に出すことで、マスコミが中国共産党を批判することを願っている。
まず、日本人が、この現実を知り、声を大にすることが必須。これが日本の市民の責務である。なぜならば、今、東トルキスタンが置かれている立場は、やがて、日本にも降りかかる可能性が大きいのだから。失ってからでは、遅い。ウイグル人は、必死に、そう日本人に呼び掛けているのだ。
知らなった中国による民族浄化
2022/02/20 06:56
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投稿者:チップ - この投稿者のレビュー一覧を見る
新疆ウィグル自治区の問題はニュースでは聞くがよくわからなかった。
1999年に新疆ウィグル自治区を訪ねた時は、中国語は通じなかった。
人々はウィグル風の服装
「東トルキスタン」というほうがあうような風景だった。
20年後に訪れると中国化の波が押し寄せていた。
漫画でみると大変にわかりやすい
無関心でいてはいけないと切実に思った。
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歴史好きの私にはウイグルというと突厥、カラハンやカラキタイがすぐに思い浮かぶが、現在のウイグルの悲惨な状況をわかりやすく教えてくれる本。
中国関連の多くの著作を出している福島香織と漫画家清水ともみの共作。
かって欧米諸国がやってきたことを現代の中国が進めている。ターニングポイントは胡耀邦の時代で、あの時に流れた多くの血が報われていたなら……
今、世界のあちこちで悲しみが溢れている。
みんなが笑顔で暮らせる道は無いのか…
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ウイグル人を苦しめている問題が漫画と文章によりわかりやすく書かれた作品。
まず、その現実を知ること。知ったなら、それを広めていくこと。そして、共に声を上げること。
他にも出来ることはある。賢い消費者になることもその一つ。ウイグルに限らず、労働搾取の結果、安価で手に入れられる商品を買わないこと。なぜそんなに安いのか。どんな労働環境で作られているのか。それを知っていくことの重要性。
清水ともみさんの手によるあとがきの文に心を動かされる。
「真の豊かさとは、誰かの人生を踏みつけにした上で享受するものではないはずだ」
そして、ウイグルの人たちへの思いは、自分たちが当たり前のように享受している自由というもののありがたさを再認識させられる。日本という国、民族、言葉、それらを奪われないように、これからも守り続けていくことの重要性を改めて胸に刻みました。
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ウイグルに庇いすぎて公正さ欠いています。
少なくとも漢人側の声も取り上げてほしい。
ジャーナリスト失格としか思えない
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こうしている今も進行形で起こっているジェノサイド。
知らないじゃ済まされないこと決して他人事にしてはいけない事実を知ることができた。
日本は中国のプロパガンダで誤解していることもたくさんあるのだなと衝撃を受けた。
ぜひ幅広い人に読んで欲しい一冊。
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恐ろしい事実を伝えようとする人たちを尊敬する。
文化大革命の成功という、歴史上の大失敗。穏健派の失脚。生きている人間からの臓器摘出や奴隷同様の労働搾取。恐ろしい事実は挙げればキリがない。
日本人であることが罪になるとしたら、私はどうやって無実を証明したら良いのか。考えると絶望してしまう。
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漫画でわかりやすい。ただ、途中の歴史は理解することが出来ず、勉強不足を実感した。
ジェノサイド:ある人種・民族を計画的に絶滅させようとすること
無印良品などの大手企業で新疆ウイグル自治区の強制労働問題があることを知り、ウイグルについて興味を持っていた。
助けを求めることができない、助けを求めるような行動をすることで処刑されるかもしれない、そんな恐怖の中、日々を過ごしているウイグル人を思うととても心が痛む。
最近は新疆ウイグル自治区が注目されているけれど、知られていないだけで世界にはまだこのようなことがたくさんあるのではないかと思った。中国を擁護するつもりは無いけれど、中国だけがこのようなことをしているわけじゃないと思う。
現実を知り、賢い消費者にならなければならないと改めて思った。
「帰るべき故郷がある、守れる領土がある、母国語で話す、自由に仕事ができる、思ったとおりの発言ができる、国家が歌える、国旗があり公の場で振ることができる」ことの幸せを感じた。今の社会に不安はあるとはいえ、生まれ育ったこの日本が好きなんだなと。
難しいかもしれないけれど、ウイグル人が生まれ育った地で、ウイグル語を話し、心豊かに生活できることを願いたい。
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漫画で世の中に有意義なことを表現し訴えていくことができるのはいまのところ日本人だけです。
漫画により中国人により受け続けてきているウイグル人達の惨状を世の中に広めて、ウイグル人達のことを救うためにこの本は作られました。
Abduxaliq Uyghur 詩人ウイグルの危機を訴えたことにより、盛世才により処刑
本書の冒頭のこの詩のことばの内容は、わたし自身を始めとして日本人にも向けらていて、とても当てはまって、身につまされる詩の内容だと思いました。
目覚めよ!(1921)より
さあ、哀れなウイグルよ、目覚めよ。
もう十分に眠っただろう。
おまえには財産はない、
次は命を失うだろう。
もし、おまえが目を開けず、
周りを見渡さなければ何時しか死に至るだろう、
確実にだ。
もはや、おまえの体は抜け殻のようだ。
視野を広げ、周りを見渡せ、
自分の未来をよくよく考えろ。
もし、この機会を逃せば、
未来は危難に遭うだろう。
遭うだろう。
その日が来た時、
おまえは後悔するだろう。
そして、おまえは私の呼び掛けの真意を理解するだろう。
おまえは「嗚呼」と嘆くだろうが、
それでは遅すぎるのだ。
perhat tursun 1969/1~2018年から強制収容所~生死不明
P.204の4コマの漫画の中で、
「自ら守らねば、未来など、あるはずがない。すでに弾圧を受けた渦中にいる人たちが、私たちに教えてくれている。自由か、奴隷か。その二択を。」
と漫画の中に記されています。
ですが残酷なことに、いま現在までにウイグル(東トルキスタン)の地で中国人たちにより行われてきていることは、奴隷にされるどころか、民族殲滅・絶滅(ジェノサイド)・浄化させられることです。
中国人の中で理工系出身の優秀な政治家の指揮・指示・指令のもとに、まず弾圧の矛先は、ウイグル人の中でも影響力が強くて、優れている人間達の、知識人、文化人、実業家、起業家、教育者の著名人に向かった。
現代世界最先端のテクノロジーを活用してウイグル人達を監視、抑圧し、腎臓・肝臓などの臓器を取り、拷問し、処罰、虐待、処刑していく。
それらの残酷な惨状を知っているのに見てみぬふりの国際社会、特に人権を売り物にしてきた偽善・極悪・お金ふんだくり権威団体で、散々日本人からお金をふんだくり、日本人を食い物にしてきた、いまのウクライナ戦争にもまったく無力の、「国連」は、いまこそノーベル平和賞をもっとも必要としているウイグル人に授けるべき。
ウイグル人の優れた実業家である、ラビア・カーディルさんは、実際にノーベル平和賞候補に何度もノミネートされてきたのだから。
しかし世界的に著名な優れたウイグル人のラビア・カーディルさんは、すでにご高齢。
「国連」なんぞというのが、世界中の「権威」「力」「人道」『正義』「平和」なのか、存在価値があるのか?
ラビア・カーディルさんに残された生命の時間は、そう長くはないはず。
中国も「国連」もそれを待っている。
大体ノーベル賞の名前となっ��いるノーベルという人物自体が、散々と人殺しをしまくってきた極悪・残酷な「死の商人」です。
ノーベルなんぞという人間の命を大切にせずに、殺しまくってきた「死の商人」を「偉人」に祭り上げて、ありがたく思わされている今の世界中の人類は頭がおかしくて、とても不幸です。
本書に名前が登場する、ウイグル人達のことを虐殺してきた中国人政治家を始めとして、中国の政治家たち何人かのことをググって調べました。
みな「理工系」の出身です。
幸か不幸か、人類にとってもっとも正解のはっきりとしていて、信頼・信用のできる学力である、「理工系」の学力をしっかりと勉強し、身につけたうえで「政治家」になっています。
ですから中国人の代表的「政治家」たちは、みな手強くて優秀なのは当たり前だなと思わせられざるを得ませんでした。
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新疆ウイグル自治区
弾圧への認知度が日本で高まっているらしい。
☆その商品はなぜ安いのか?真の豊かさとは、誰かの人生を踏みつけにした上で享受するものではない。
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先程感想を書いた「ウイグル人に何が起きているのか:民族迫害の起源と現在」の著者・福島香織さんと清水ともみさんの共著。
本書の印象としては、上記に挙げた福島さんの本の内容を清水さんが漫画にしてより読みやすくしたうえで、さらに情報の肉付けをされている、といった感じ。
絵だけでなく現地の写真なども載っているのでイメージがとてもしやすいです。
清水さんのウイグル関連の前著「命がけの証言」(同様に基本漫画形式)よりも文章量は多いものの、純粋にウイグル問題のみを取り上げており、本書の方がウイグル問題を周りの人に知ってもらうために紹介しやすいとも感じました。
要するにウイグルの漫画で読む入門書としてベストだと個人的に思った、ということです。
さらに個人的に思ったことを言うと、福島さんの「ウイグル人に何が起きているのか」と本書を合わせて読むとすごく理解が進みました。
近いうちに他の当事者の証言本も読もうと思っています。
タイトルの「ウイグル人という罪」の意を、ウイグル人であるだけで犯罪者に仕立て上げられる現在の状況を指しているのだと思うと、胸が痛くなります…。
ウイグル人は外国にいてもなお監視されていて、自治区現地では子どもは孤児でないのに孤児院(子どもたちも常に監視され檻に入れられている)に入れられて、親が謂れのない罪で強制収容所に入れられたせいで本当に孤児になってしまったり。
多くのウイグル人の子どもがいなくなって、やっと見つかったと思ったら臓器を抜かれていたり。
強制収容所でウイグル人が拷問を受け亡くなっても、勝手に火葬されてしまったり(臓器が抜かれているとの証言も)。
無理矢理漢人と結婚させられる女性たちも。
本書の最初に、アブドゥハリック・ウイグル氏の詩・「目覚めよ!(1921年)」(抜粋)とパルハット・トルスン氏の詩2篇「ロプノール」「母語」が清水さんの絵と共に掲載されていたのですが、すごく刺さりました。
どちらも消えゆく母国の文化や民族に対する痛切なまでの思いが綴られていて…
ぜひ多くの人に読んでほしい本です。
ウイグルの詩や物語にも触れたいなと思いました。
ウイグルは狼にまつわる神話が多いそうで、とても興味深いし踏み躙られて欲しくない文化です。
踏み躙られていい文化など、そもそもないのですが…。
でも日本でウイグル人が書いた物語とか出版されているかどうかも分からないので、ちょっとその辺も調べてみたい。あったらぜひ読みたいのですが。
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Twitter上で清水ともみさんの漫画を見かけたことがありましたが、他の方がウイグル関係の本をSNSで紹介されているのを見て手に取ってみました。最後まで読むのが本当に辛かった。強烈に感じたのは"民族浄化"という言葉の恐ろしさ。ウイグル人であるというだけで自らの母国語、文化、アイデンティティのすべてを奪われる理不尽さ。そしてこの中国の体制を世界が見逃し続けていたら、どんどん触手を伸ばす中国の魔の手は日本にも及ばないとは言えないと思い恐怖を感じます。自分が生きている間は大丈夫だったとしても、未来の子供たちは安心して日本に暮らし続けていけるだろうか?
こういった弾圧が100年も前から続いてきたことを知らなかった自分を恥じました。作中にも、「日本人として出来ることがあるか?」という問いに対して「この事実を広めてほしい」というウイグルの方の回答がありました。自分にできることなんてたかが知れているとは思うけど、日本でも遠くない国で、現在でもこんなにおぞましいことが行われていることを知っている人が増えてほしい。
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正直 これが同時代に起きているということが
信じられない・・・
平和ボケ日本人と言われようとも
理解の範疇を超えてしまう
わたしたちは本当に恵まれているんだな
と苦い思いになります
人々の証言は勿論のこと
歴史的背景や各国との関係性にも言及し
なぜこんなことが行われているのか
という裏側を知ることのできた一冊
深くて根強い因縁は
戦争やジェノサイドを
いつまでも引き起こしてしまっている
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ウイグルという言葉は聞いたことがあるだけで、それが何であるのか、何が問題なのか、全く分かっていませんでした。ウイグル人に対して、いまもこのようなジェノサイドが起きているということは本当に信じがたく、驚きました。
“豊かさとは誰かの人生を踏みつけにしたうえで享受するものではない”という主張には特に共感できます。どんな理由があったとしても、だれかの人生が失われているならば、それは正当化されてはいけないと思います。考え方が違うとか信じるものが違うとかそういうことではないです。浅い知識で他の考えや思想を簡単に尊重することは良くないな、と最近思っています。